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【MOM】新カードの話:緑復権の狼煙

【はじめに】

 次々と新カードが公開されている今日この頃です。最近はスポイラーの方に気を取られていて謎デッキ研究が疎かになっていますが、全カードが公開されたら即座にリミテッド記事をやりたいとも考えているので、こりゃしばらく新作は出そうにありませんな。
 ONE環境で作った謎デッキの数は、前環境で作ったものの改良版も含めると5つ、オリジナルデッキ全体で言うと、そこに更に亜種デッキ3つが加算されるため、計8つのデッキを公開したことになります。これが多いのか少ないのかは分かりませんが、使用した色は少し偏っていて、エスパーの3色の出番が多く、それ以外の赤と緑、中でも特に緑の使用率が低い傾向があるようです。
 別にグルールを目の敵にしている訳ではありませんし、何なら緑単アグロとかは大好きなのですが、やはり除去が強い現環境でスタッツ勝負の緑を勝たせるのは難しいようで、謎デッキ的にも蔑ろにしていた点は否めないように思います。
 そこで、今回は緑復権を祈るという意味でも、緑にフォーカスした内容の話をしていこうと思います。それでは、本編へ。

【勝てる緑単に向けて】

 まず初めに、緑がここまで下火になっている状況が近年でも稀に見るものであるということは、改めて話しておく必要があるでしょう。
 少し前の緑は、禁止まで囁かれた《エシカの戦車》を筆頭に、アグロで猛威を振るった《老樹林のトロール》や《レンジャー・クラス》のような優れたパーマネントに恵まれていましたし、更に遡ったエルドレイン期には《恋煩いの野獣》や《グレートヘンジ》のような、これまた凄まじいカードを保有していました。
 つまり、今の緑の弱体化はミッドレンジ環境の影響もありますが、そもそものパーツに恵まれていないという見方もできる訳です。では、緑単が活躍するためには一体どんなパーツが必要なのでしょうか。

 緑のクリーチャーは赤のそれと比べ、スタッツに恵まれている代わりに速度面が弱点です。まあその性質自体が現環境と相性が悪いという話もあるのですが、この点を考慮すると、緑単に赤単のような速度特化のコンセプトを適用するのは賢明ではないとも言えます。
 つまり、勝てる緑単とは赤単よりも少し長いゲームで最大の効果を発揮できるものということになり、これは言い換えると、攻めるという姿勢は保ちつつ、ある程度のリソース勝負にも対応できる能力が必要な訳で、単純に殴れれば強いというテイストのクリーチャーを集めるだけでは、この条件を達成するのは困難でしょう。
 過去のカードを見ても、それは一目瞭然です。まあカード単体として強すぎる猫戦車は飛ばすとしても、例えば《老樹林のトロール》は死亡後にマナ加速やトークンの展開が可能で、特にマナ加速は十分なリソースが無ければ活かすのは難しいですし、《レンジャー・クラス》もレベルアップには時間とマナを要しますが、最大レベルまで達すると強力なリソース確保手段になります。
 ぶっ壊れエルドレインでは《恋煩いの野獣》と《グレートヘンジ》を挙げましたが、特に《グレートヘンジ》は攻撃性能よりも、マナもライフも手札も稼げる点において強力で、明らかに長期戦を睨んだカードです。
 また、これは主に猫戦車やレンクラ、《グレートヘンジ》などに言えることですが、単純な除去では対処しにくいという点も強力な要素です。赤単よりも長いゲームであれば、全体除去を含めて相手の妨害を受ける機会も増えてしまいますが、その際にクリーチャーだけでなくアーティファクトやエンチャントも扱っていると、単純な全体除去ではリセットできませんし、様々なパーマネント・タイプを捌ける《告別》を撃たれた場合も、それらのエンジンで事前にリソースを稼いでおけば戦闘を継続することができます。

 まあ要するに、今の緑単に必要なパーツとは、ある程度の長期戦を可能にするカードであり、同時に対処に手間が掛かるものであると尚更良いということです。

緑復権まで、泣くんじゃない。

 そして、そんな状況下で先日公開されたのが、こちらのカード。正に思い描いたソリューションそのものですね……。
 エンジンという意味では先程の《グレートヘンジ》に近いですが、こちらはアーティファクトではなくエンチャントで、誘発にもそこそこの差異が認められます。まあ総合的に見ると《グレートヘンジ》の方が強かったような気もしますが、あちらは《恋煩いの野獣》という相棒の存在による部分もあると思いますので、単純な比較ができるものでもないでしょう。

 ドローとして使う場合、パワー3以上という条件がありますが、これは緑にとって大したハードルではありませんし、《グレートヘンジ》では不可能だったトークンによる誘発も可能なため、強固な土地基盤を利用した緑単タッチ赤のようなグルールで使えば、《免れ得ぬ破滅、ルーカ》のトークン生成で毎回ドローし続けることも可能です。
 また、アグロからは少し離れてしまいますが、既存の緑単ランプにおいては《向上した精霊信者、ニッサ》のトークン生成でドローを享受することができますし、他にも《装飾庭園を踏み歩くもの》や《宝石泥棒》など至る所で誘発が可能です。どれだけマナがあってもスペルが無ければ無用の長物で終わってしまうため、エンジンの存在は大きいのではないでしょうか。

 勿論、パワー3未満であっても強力です。緑には《ふくれた汚染者》などの増殖を行えるカードも多いため、+1/+1カウンターの有効活用には事欠きませんし、一見すると相性の悪い《進化した適応体》も、実際は増殖を受けることで+1/+1カウンターと油カウンターの両方を増やすことができるため、それはそれでロマンがあります。
 加えて、軽量クリーチャーの強化というのは、赤の火力除去や黒のマイナス修整や《切り崩し》などに対する除去耐性としても機能するため、もしかしたらMOM環境では緑単が赤単を喰うなんてことも……。それは流石に先走り過ぎですかね。

 また、これは少し高度ですが、《しつこい負け犬》や《剃刀鞭の人体改造機》のような何度も復活できるパワー3以上と合わせればリソース勝負を滅茶苦茶にできますし、継続的なトークン生成であれば1/1や2/2であっても圧は強いように思えます。つまり、このカードは能力”自体は”拡張性に優れたものであると言えるでしょう。

 しかし、シンボルは素直に懸念事項と言わざるを得ません。ダブルならまだしもトリプルとなると流石に三色で使うのは気が引けます。また、二色であっても緑を軸にする必要に迫られ、結果として自由度は大きく制限されてしまうのではないでしょうか。まあ環境にはグリクシス・ミッドレンジにおける《絶望招来》のような例もありますし、絶対に無理って程でもないと思いますが、そこまでして使うカードでもないように思います。
 緑単であれば問題は無いでしょうから、やはり基本は単色デッキでの利用になるでしょう。逆に言えば、貴重な緑の継続的ドローでもあるため、緑単なら高確率で使われるのではないでしょうか、

 このように、《世界樹への貢納》は今まで停滞していた緑単を大きく活性化させる可能性を持つカードな訳ですが、正直に言うと、緑単アグロを復権させるにはこれだけでは不十分かもしれません。

 先程は挙げませんでしたが、緑単に限らず、過去に環境で活躍したアグロデッキというのはある共通点を持っていました。それは、ミシュラ土地を含めた攻撃的な土地の存在です。
 カルドハイムがリーガルだった時は、白でも赤でも緑でも、アグロにはとりあえず《不詳の安息地》が入っていましたし、フォーゴトン・レルムのミシュラ土地サイクルも大いに活躍しました。もっと昔には、これはミシュラ土地ではありませんが、エルドレイン期の《エンバレス城》という攻撃的な土地が存在し、これもアグロの強化に一役買っていました。
 確かに、現在のスタンダードにも《ミシュラの鋳造所》や、緑に限って言えば《自然の聖域、アルゴス》のような攻撃的土地も存在しますが、どうにも力不足な気がしてしまいます。比較対象が《不詳の安息地》だからかもしれませんが、やはりウィザーズもミシュラ土地に対して慎重になっているということなのでしょうか。

 何にせよ、緑単は確かに期待できますが、今の時点で声高に復権を主張するのは時期尚早な気がします。このままミッドレンジと一部のアグロが環境を席巻し続けるのか、はたまた久し振りの緑大活躍が見られるのか。これから公開されるカードも含めて、注目していきたいところです。

【さいごに】

 何だか新カードの話なのか緑単アグロの話なのか分かんなくなっちゃいましたが、とにかく最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
 前回の記事で軽い弾を連発するとか言ってた割りに、今回のはそこそこのボリュームになってしまいました。まあ僕としても、いつか語りたい内容ではあったので、良い機会だったかもしれません。
 ツッコミでも何でもコメントしていただけると嬉しいです。それでは次回の記事で。

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