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観劇メモ:月とシネマ2023

「月とシネマ2023」@PARCO劇場へ行って参りました!ので、自分の振り返り用にメモを書きます。
2023/11/06に開幕したばかりなので極力ストーリーバレしないように…とは思うものの、完全に伏せて感想を書くのは不可能なので、配慮せずに書きます。バレを避けたい方はお読みにならないでください。

また、私は複数公演のチケットを入手しています。複数回観劇する人に対して嫉妬心が働いてしまう方も、このnoteをお読みにならないでください。

FC先行から始まる抽選系の先行はことごとく落選で1枚もチケットが取れていなかったのですが、一般発売にて自力で複数公演を購入できました。私は単騎(一人)で戦っているので「奇跡?」と自分でも思っています。

書いていると結構長くなっちゃったので、目次をつけます。


登場人物とキャストさん

並木憲次(映画プロデューサー)

中井貴一さん。
並木は物語の主人公です。ヒット作を連発する映画プロデューサー。18歳で実家を飛び出し(母親不在)、30年間父親と絶縁状態です。と、いうことは50歳前後の設定ですね。
個人的には、貴一さんを生で拝見するのは約1年ぶり?だと思います。いつ拝見しても柔和で、懐が広そうな印象を受けます。何でも受けとめてくれそう。
ベテランの俳優さんというだけあって、表情や仕草はもちろんのこと、声色にもしっかりと「役」と「感情」が乗っていらして圧巻でした。特にそれを顕著に感じたのは映画館に帰郷するシーンです。自分が育った場所、思い入れのある場所へ久しぶりに訪れ、変わっていないことを懐かしむところ。ここの声色は素晴らしかったです。父親の訃報を受けて帰郷しているんですけども、懐かしさに思わず心が弾んでしまい、その瞬間、子どもの並木憲次になっていることが声で伝わってきました。この映画館で過ごした幼少期から地続きで今の並木があるんだということも伝わってきます。一人の人間の人生の深さを表現されている演技に、心の中で唸りました。すごい!
並木は理性的な大人ですが、感情が先立ってしまうところが多々あります。瑞帆に館長(並木の父)は素晴らしい人だったと語られて「父親としては最低」と言い返すのですが、「あなたに申し上げることではなかった」とすぐに冷静になるところや、瑞帆の心のダメージを気遣って「朝倉さん、大丈夫ですか?」と紳士的に声掛けするところなんかは、大人~!って感じがします。一方、榊監督に対して腹を立てているところは、感情先行で子どもみたいです。客観的に、榊監督と並木プロデューサーはどちらも「気持ち」を大切にされているように見えるので、反りが合わないことがあればとことん合わないだろうけど、一致したらめちゃくちゃ合いそうです。苦労しそうですが、いいタッグだと思います。

小暮涼太(映画会社の宣伝部の若手社員)

藤原丈一郎さん。
私の推しアイドル。ファン歴が浅いため、舞台での演技を拝見するのは今回が初めてです。今年の春ドラマ「ペンディングトレイン」を視聴して「演技を舞台で観てみたいな」と強く思ったので念願が叶いました。生で観たら、どんな演技(出来栄え)であったとしても顔で全部許してしまいそうだ(好きなので激甘判定しそう)…とも思っていました。なので、推す心を抑えて極力フラットな気持ちで観劇するように心がけました。
演技の第一印象としては、青さ(のびしろ)を感じました。いかんせん、私のお座席は一般発売で取得したこともあってほぼ最後尾列でした。ステージ上から発せられた演技のパワーは、最後尾に届くまでにどうしても何割か減衰してしまいます。(とはいえ、全景が見えると全体の演出を掴むことができますので私は最後尾列大好きです。)舞台のご経験を多く積まれている役者さんほど、演技で空気を操っていらっしゃるのか、この減衰率が低いと感じます。丈一郎さんは今後が楽しみです。
小暮は「若手」の愛らしさがある役柄です。「グレ」とあだ名(?)で呼ばれているときもあり、可愛がられています。

丈一郎さんは回想シーンで小暮以外の役を演じるときがあります。そのときの格好が「出オチ」みたいなもんで、登場するなり客席みんなクスクスザワザワします。どの格好・衣装も可愛いです。重ね着されていてモコモコになっているのも袖から下の衣装が見えているのも可愛……あかんあかん、推しというだけで何でも可愛く感じてしまう!こわ!
18歳の並木憲次役では、怒りを爆発させています。爆発的な怒りは、演技の中でも比較的表現しやすい感情だと思います。とてもお上手にキレ散らかしていらっしゃいました。(私は何様なん?)
館長の役では、「優しいひと」を意識して演じていらっしゃると感じました。この物語の冒頭で館長はお亡くなりになっているので、館長の人物像は登場人物が語る内容にしかヒントがありません。息子の並木憲次は「映画にしか能がない、家族をバラバラにした最低な父親」と評していますが、地元の人々からは「とてもお世話になった」と慕われています。地元の人々の話から、落ち着いていて優しいお人柄であったことが想像できます。この人物像を意識されて演じていらっしゃるんだと思いますが、丈一郎さんの口調や仕草がお優しいです。ただ、丈一郎さんはもともと甘めのお声ですし、メインで演じている小暮も愛されキャラで優しい人なので、演じ分けがバリバリに際立っている感じはしないです。小暮がもうちょっとヤンチャなキャラクタだったら違いが際立ったかも? そこがちょっと惜しくもありますが、ちゃんと演じ分けされています。特に、妻を抱いたり、妊娠している妻のお腹に触れたりなさるところの仕草はかなりお優しさが滲み出ていて、館長のお人柄を感じさせます。

高山万智子(並木の元妻、フリーライター)

永作博美さん。
テレビで観るまんまのお人だ…!と思いました。永作さんは存在がもう可愛らしいですよね。
私にとって直近の永作さんといえば、朝ドラ「舞いあがれ!」の岩倉めぐみ。めぐみさんは娘にちょっと過保護な時期もありましたが優しく理解ある母で、夫の遺志を継いで社長になるなど、愛と知性があって精神的に逞しい女性でした。今回の万智子は、仕事熱心で知性もある強い女性です。永作さんはそういう役柄がお似合いになられますね。
万智子は物語上で縦横無尽に動いていて、ストーリーを展開するうえで必要なポジションです。万智子みたいな人物を脚本に書くの楽しいだろうな~。「フリーライター」という設定を活かして探りを入れる形で動き回るので、ともすれば嫌味っぽくなってしまいかねない役柄ですが、脚本と永作さんの役の落とし込みがお上手なんでしょう、いやらしさを感じないです。
私が観劇した公演で、一度、貴一さんとお二人で話す場面で台詞が飛んでしまったご様子があったんですが、ご自身でなんとかカバーされていてお見事でした。

欲を言えば、2年前に中止になった公演でキャスティングされていた貫地谷しほりさんが演じる万智子も観てみたいです。貫地谷さんも素敵な演技をされる方なので。

児玉正義(マチキンの男)

村杉蝉之介さん。
マチキンとは、街の消費者金融です。マチキンさんはトリックスター的なオイシイ役柄です。クセが強い。
あと、輩(ヤカラ)の演技が上手すぎる(笑)「内臓売れゴラァ!タコ部屋入れゴラァ!」とか、回想シーンで別の役を演じられているときの「埒が明かねぇ!」とか。ヤカラのためにキャスティングされたのかしらと思ってしまうほど板についてらっしゃいます。(冗談です)

朝倉瑞帆(市の「まちづくり推進課」の職員)

清水くるみさん。
いま拝見したい女優さんランキング(?)に上位入りされていること間違いなしのお方です。今期の朝ドラ「ブギウギ」のリリー白川ですよ!今週(11/6~)からブギウギが東京編になったので、大阪の梅丸少女歌劇団で娘役トップのリリー白川はしばらくご出演されないでしょうから軽くロスです。清水さんを拝見してロスが癒されました。(完全に余談ですが、私はOSKの公演のチケットも買いましたので今月は京都の南座に翼和希さんを拝見しにも行って参ります!)
清水さんの演技を生で拝見するのは今回が初めてなんですが、安心と信頼の(←※個人の感覚です)アミューズに所属されているので何の不安もございませんでした。実際の演技も良かったです。声が通っていて聞き取りやすいです。表情の演技は、仕事関係と恋人関係のダブルでダメージを受けてしまうシーンの複雑な心情表現が特に素晴らしかったです。

清水さんも回想シーンで別の役を演じられるのですが、別の役で同じ言い回しを使っていて脚本がニクいです。ちなみにそのシーンは丈一郎さんがご対面されていて、全く同じ返答をします。ニクい。これについては後述します。

村上英嘉(瑞帆と深野の上司)

木下政治さん。
公式HPには「瑞帆と深野の上司」と書かれているのですが、深野とは部署が違っているので直接的には瑞帆の上司です。上司は上司でも、あまりよろしくない上司です。物語の終盤で瑞帆が「課長は自分がかわいくて仕方のない人」と評しているので、普段から尊敬できる仕事ぶりではなさそうな雰囲気があります。
私は初日はまっさらな気持ちで観ますが、以降の公演はストーリーを知った上で観ますので、村上課長の登場シーンは気に掛けて見ちゃいます。初見ではさほど気にならなかったのですが、しっかり意識して観ると登場時点からほんのりと胡散臭さが漂っていらっしゃいます。(笑) 臭すぎても駄目だろうし、臭わなさすぎても駄目だろうし、絶妙ですね。

佐々木 均(不動産屋)

金子岳憲さん。
さくら不動産にお勤めの佐々木は、最初から最後までずっと胡散臭くて、分かりやすく「小物感」があります。「どう立ち回れば最も甘い汁を吸えるか」とか、頭脳派っぽい発言があるんですがそんな発言をしている時点で小物です。(笑) 最終的には、利を得ようと働いたことが裏目に出て、自分で自分を窮地に追いやるあたりも小物で良い。こんな小物と組んで悪事を企んでも上手くいくわけがないので、悪事の人選ミスです。

深野隆史(瑞帆の同僚で婚約者)

奥田一平さん。
深野は市役所の観光課にお勤めです。瑞帆との結婚を急いでいるご様子。単純に結婚を急いでいるのか、それとも瑞帆の気を仕事から逸らせるために結婚話を持ち出しているのか、どっちなんでしょう。
ストーリー上、深野の良いところがあまり見えなかったので(かといって性根が悪い人でもなさそうですが)、瑞帆が深野のどのあたりに惚れているのかとかは分からず。深野と瑞帆は終始すれ違っているような印象しかなく、果たしてこの二人はうまくいくんでしょうかね?
複数回観劇したので気付いたんですが、水族館の話題の中で「ペンギン」を出す公演もあれば、「イルカ」を出す公演もありました。この台詞回しに奥田さんがどれだけのパターンをご用意されているのかは存じませんし、アドリブでやってらっしゃるのかもしれませんが、今後の公演で他の動物も登場するのかしないのか、楽しみです。

黒川庄三(長く務める映写技師)

たかお鷹さん。
黒川さんは「ロクさん」という愛称で呼ばれています。かなり味のあるキャラクタです。ロクさんの言動からは、義理人情に厚い性格をされていることが分かります。
瑞帆のことを「みっちゃん」と呼んでいて、可愛がっていることが分かります。年齢が離れていても、「映画が好き」という共通の趣味ある者同士で信頼関係が築かれているのは素敵ですね。館長のことも信頼していますし、ロクさんは映画好きな人と絆を結んでらっしゃいます。そういう意味ではマチキンさんとも仲良くなれるでしょうね。
マチキンさんとの絡みは愉快で、クスッとさせられます。キュートなところがあります。
物語のラストに、支配人に急かされながら飲み物を飲むシーンがあるんですが、本当に噴き出してしまった(ように見えた)回があって、支配人は笑っちゃって肩が揺れていました。

榊 哲哉(映画監督)

今井朋彦さん。
新進気鋭の映画監督、大衆受けするものというよりは独特の世界観の作品をお作りになられる監督のようです。作品に対するこだわりや思いが強く、融通が利かないところがありますが、情を大切にされている方です。
悪い人ではないのですが、容易には理解されないところがちょっと損なお人です。芸術家ってそういう傾向にあるのかも。知らんけど。

ストーリー(公式HPより)

公式HPから引用します。

【あらすじ】
とある町にある映画館「ムーンシネマ」は、映画プロデューサー・並木憲次(中井貴一)の父である館長が亡くなったことにより閉館の危機。同じ映画関係の仕事だが、30年以上父子の交流は全くない絶縁状態だった。映画プロデューサーとはいえ、経営のノウハウがない彼は映画館を売ろうと地元の不動産屋・佐々木に見積もりに来てもらうも、映画会社宣伝部の若手社員・小暮涼太(藤原丈一郎)や「ムーンシネマ」のボランティアスタッフで、市の「まちづくり推進課」職員でもある朝倉瑞帆、映写技師の黒川庄三(愛称:ロクさん)らから猛反対を受けてしまう。そこへ並木の元妻でフリーライターの高山万智子(永作博美)が現れ、映画館の相続権が瑞帆にあることを知らされるが—。

https://stage.parco.jp/program/mooncinema2023/

ここ見とかなあかん!なポイント

冒頭、作品タイトルが初めて台詞に出てきたときの小暮(藤原丈一郎さん)の表情

初見では見逃しかねない一瞬。私は、初見は全景を見て味わう主義で、ここは貴一さんと今井さんの会話が続いてるため丈一郎さんの表情に特段注目してはいなかったんですが、一回観劇してストーリーを理解すると「ここの丈一郎さんの表情演技、かぶりついてでも観なあかん!」という認識に変わります。この公演における、彼の演技の大きな山のひとつです。こんな序盤に山が張ってあるなんて、初見では分かりませんて!言うといてよ!(言えるわけがない)

佐々木、村上課長、マチキンさん、それぞれの初登場シーンの言動

ファーストインプレッションで、役が持つ「違和感」を感じ取りたいなと私は思うので、初見以降はしっかり見て「ああ、怪しいわあ(笑)」とニヤニヤしております。マチキンさんだけは、登場時点で名乗りがないのでマチキンさんであることが分からないのですが。
マチキンさんは、佐々木が立ち去った方向に背を向けつつ振り返るのが、密偵(?)に手慣れてる感じがしていいです。ふつう、人間は行きたい方向へ向く(振り返る)ので、佐々木が立ち去った上手方向に身体の正面を向けるのが自然だと思うんですが、下手方向に身体を向けて、肩越しに上手方向を見るんですよね。この不自然さが良い…!

同じ台詞や掛け合いが繰り返し使用されているところ

同じ台詞・掛け合いを別のシーンでなぞっているところは脚本のミソ!伏線ってほどではないにしろ、キャストさんたちが「同じ」をどう表現されているのかは見ものです。「同じ」を「同じ」ように見せるかもしれないし、「同じ」を「違う」ように見せるかもしれないし。

ロクさんに対して「そんなとこで油売ってないで……」と同じ台詞を言う館長と支配人。対するロクさんも同じ返しで応えます。特別感があるわけでもない、なんでもないやりとりなんですが、このときのロクさんには過去と重ねて見えている部分があるのかな…などと勝手に心情を想像して私はグッときています。

そして、丈一郎さんのファンとしては、清水さんの「違うかな?」丈一郎さんの「違わない」のやりとりの繰り返しは、もう、絶対に「見とかなあかん!」ポイントから外せないです。
このときに丈一郎さんが演じているのは並木父なんですが、並木父は確実に同じ台詞を言われた過去を重ねて見ているんですよ。清水さんに魂が憑依しているようにも見えているんじゃないでしょうか。ここの丈一郎さんの表情演技もかぶりついて見ないと!と私は思います。

丈一郎さんの繰り返しセンテンスとしては「無理するよ(します)、めちゃくちゃ無理する(します)」というのもあります。声に出して言いたい日本語。おたく、なにかと無理をしているのでいつでも言いたい。

並木と榊監督とのやりとりも、同じ掛け合いを過去と現在で繰り返しています。ここは「同じ」台詞だけど「違う」んだなぁ。
私の解釈ですが、現在軸の並木はちょっと丸くなっているし、榊に対してなかなかに信頼を寄せていると思うので(亡くなった父親の人生を映画に描こうとしてくれている監督だぜ?稀有でありがたすぎるやろ)、昔のただ単純に振り回されていた頃とは違うんですよ。ここまでどっぷりとストーリーに浸かったから、そういう違いも感じられるわけで。観劇ってたのしー!

同一人物を別キャストが演じるところ

貴一さんと丈一郎さんが、それぞれ別のシーンで同一人物を演じられます。

館長(並木父):若い頃を丈一郎さんが、年齢を重ねた頃を貴一さんが演じられています。
並木憲次:18歳の頃を丈一郎さんが、それ以外の過去と現在を貴一さんが演じられています。

時間軸が違うとはいえお二人が同一人物を演じているので、それぞれが役へ歩み寄ってらっしゃるはず。役柄を自分流に解釈・味付けするだけじゃなくて二人で解釈を合わせなければならないでしょうから、何気にキャストさんは大変なんじゃないかしら…と思いを馳せながら拝見しています。

別人を同一キャストが演じるところ

清水さんのことです。トリック的なキャスティング(?)なんですが、味わい深いなと思います。
前述したのですが、清水さんの「違うかな?」、丈一郎さんの「違わない」のやりとり、清水さんは二人分の魂を背負って演じてらっしゃるので重いだろうなぁと思います。その重さを抱えた演技、伝わってますよ~と清水さんにお伝えしたい。こんなとこに書かずにアンケートに書こう。

並木父の思いを知ってて黙っている万智子

該当シーンで永作さんが絶妙な物知り顔をされています。絶妙です。
それを抱えたままで並木と平然と向かい続けるのも万智子は心的負担があるでしょうから、然るべき時がきて打ちあけられて良かった良かった。

30年越しに誤解がとけた並木

18歳で反発して家を飛び出して、それから30年間絶縁状態だった父と子ですが、並木は真実を知って思い違いに気付きます。そこからの台詞が、お優しい。家を飛び出して「最低な父親だ」と憎く思っていましたが、父を嫌いになりきれてはいなかったということが台詞と演技からダダ漏れしています。家族の愛というか絆というか、胸の奥にほっこりしたものを感じて、「良かったねぇ~」という幸せな気持ちになります。

(見とかなあかん!ってほどではないけれど)小道具のキャラメル

終盤、ステージ上で「ゴミ」として丈一郎さんが手に持っているものは、森永ミルクキャラメルの箱と森永ハイソフトの箱です。
私は一般発売で取得したチケットで入っており後方列のお座席だったんですが、オペラグラスで拝見したところ、キャラメルの空き箱を持っていることに気が付きましたのでここに記します…。丈一郎さんのお声が「キャラメルボイス」と評されていることが小道具さんなりスタッフさんに伝わってるんでしょう。オタク(私)は「キャラメル持っとるやん!!!」と大興奮でした。
(PARCO劇場のキャパでオペラグラスいらんいらん!と思いつつ、新しくなったPARCO劇場では初観劇だったので一応持参していました)

道具系でいうと、ムーンシネマ入口にある映画ポスターも凝っていて素敵だなと思いました。カウンターのショーケースの中にも上映作品のチラシ(?)が陳列していて、じっくり見られたら楽しそうです。公演中にはじっくり見ている余裕なんてございませんが。
ショーケースの中は角度的に前方列だと見えないと思います。後方席になるほど角度(傾斜)がつくのでこういう細かく作り込まれた部分もうっすらながら見えます。なかなかに凝ってらっしゃるので、何かしらの方法で見せていただきたいです。おたくの祈り。こんなとこに書かずにアンケートに書こう。(最近の舞台はアンケートが電子なので、書くのをうっかり忘れてしまいがち。)

本編最後の捌け

丈一郎さんは清水さんと並び、ムーンシネマの未来を担って希望ある雰囲気で順に捌けるんですが、明るい未来が感じられてほっこりした気持ちになれます。
なんだか、小暮と瑞帆の二人の関係にも希望があるような感じがします。物語の中ではそういったことが描かれていないのでこれは私の拡大解釈(邪推)ですが、映画とムーンシネマを愛する仲間なのは確かです。

カーテンコール

カーテンコールは主演の貴一さんと並んで丈一郎さんが登場されました。めちゃくちゃ好待遇でオタク(私)びっくりしちゃった。
カテコから捌けるときも二人で捌けたもんだから、オタク(私)「待って待って待って!?」ってなっちゃった。大抵の舞台って、主演が最後までステージに残って最後の拍手を浴びて捌けられるじゃないですか。私は、その最後の拍手は座長(座組)へ贈るものと考えておりまして、「うそっ!貴一さん残らないの!?一緒に捌けちゃった!座長への拍手を贈り損ねた!」と思ってしまいました。ずっと拍手は贈っていたので、完全に私個人の心理的な問題です。

一緒に捌けてくださるくらいに、貴一さんは丈一郎さんを可愛がってくださってるのかな、とも思います。

カテコのご挨拶は、自分が観劇した公演のものはメモをツイート(ポスト)しますのでここには記しません。
自分が観劇していない公演のものも是非お裾分けいただきたいので、あの、観劇される方、どうか、どこかしらに記してシェアしてくたさいませ…!

感想

死ぬ人、多すぎん?

舞台上で死のシーンは一切描かれず、登場人物が死ぬわけではないんですが、誰かの語りの中で死が明らかになっていきます。病死、交通事故死、脳溢血、出産時…。つら~。

コメディ…なのか?

チラシなどには「とある町にある映画館を舞台に繰り広げられる、ハートフル・コメディ」と書かれています。
観劇して「確かに、ハートウォーミングな作品だったな」と思いました。
ところどころクスッとするシーンがあるにはあるのですが、コメディかというと、うーん、どうなんだろう。「あー、笑ったー!楽しかったー!」というような作品ではないと思います。笑いはするけど、分量的にはエッセンス。

いらん心配を勝手にしますが、これ、大阪公演の会場はどんな空気になるでしょう…。一般論ですが、東京公演と大阪公演のオーディエンスは反応が違うもの(笑いに関しては特に)で、他の舞台作品で東京の会場ではウケたのに大阪の会場で同じことをしてもシーン…といったことがあるので、はたして大阪公演ではどうなるかしらと思います。この公演は東京と大阪で客層……違うかな?違わない。
(観劇厨、公演の台詞や言い回しをす~ぐ活用したがる)(ちなみに私がこの公演を観て一番日常で使いたくなったセンテンスは「無理するよ、めちゃくちゃ無理する!」です)

「月とシネマ」という映画

公演タイトルにもなっている「月とシネマ」は、劇中で登場する映画のタイトルです。ムーンシネマの館長をモデルにした映画作品なので「月とシネマ」というタイトルが付けられている…のかな。
しかし、あの世界線で実在する映画館の名称をそのまんま映画に使うのか…?と疑問を抱いてしまいました。(そんな現実的に見るんじゃないよ…)
並木父が「ペーパームーン(見せかけの月)」のポスターと音楽を戒めとしていたことは、映画の脚本には書かれていないことらしいので、「月」というキーワードを引き出せるのは「ムーンシネマ」という名称しかないんじゃないかなと思います。映画の脚本を全部見せてくれているわけではないですし、映画のどこかに何かしら月の描写があって、それがタイトルに繋がるのかもしれませんが。
榊監督、お言葉ですが、あたしゃ、ペーパームーンのくだりを映画の脚本に盛り込んだ方が良い作品になると思いますよ。そうしたらタイトルの「月」にしっかりと意味合いが生まれるし、映画の物語(脚本)にもリンクするよ。今の脚本じゃ「月」が弱いと思うよ。取材に行ってぜひ盛り込んでください。

中止になった公演の脚本との違いはどこだろうね?

2021年に中止になってしまった「月とシネマ」と、今回の「月とシネマ2023」は脚本が違うらしいということがインタビュー記事などから判明しています。
そもそもキャスティングの番手も変わっています。丈一郎さんは21年の公演では三番手でしたが、23年の公演では二番手です。ということは脚本が結構ガッツリ変わっているんじゃなかろうか。(邪推)
しかし、中止になった「月とシネマ」は一度も上演されていないので、どう変わったのかは比較できません。公演パンフレット内で作演出のG2さんが多少語ってくださってらっしゃるんですけども、全貌は見えないです。
なんとなく、なんとなくですけど、小暮くんの家族設定あたりは今回追加されたのかな…?と思っています。そんなに世界を狭くしなくてもストーリーは成立しそうなので。邪推です、読み流してください。

無事に完走されますように!

幕が開けて、まずは一安心しています。
キャストさんやスタッフさんのみなさんが、健康に、怪我なく12月10日の大千秋楽まで走りきれますように!おたくの祈り。

おまけ

公演ドリンク、私はアルコールメニューの方を頂きました。おいしかったです。秒で飲みきってしまった。こういうのはカフェがある劇場ならではですよね~。ありがたい。
ちなみに私は生まれ変わったら宝塚歌劇団の公演デザートのネーミング(ダジャレ)を考える仕事に就きたいと思っています。クリエイティブでエキサイティングなお仕事(本気でそう思ってます)、とても憧れます!
このPARCO劇場の公演ドリンクはとってもオシャレなネーミングでした。

ホワイエのカフェメニュー!
黄色いのはAutumn Sunrise(アルコール)、
紫~赤のグラデが綺麗なのはSunset Lemonade(ノンアル)

開場後(開演前)と終演後に提供されていますので、次の機会はノンアルの方もいただきたいなと思います。

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