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スリランカの思い出

 2021年2月17日、NHK総合で『スパイス香る!カレー聖地巡礼〜リモート大作戦〜』を放映していた。南インド、ネパール、スリランカのカレーの特徴、奥義などを紹介する番組であった。スパイスを巧みに使うそのカレーは日本のカレーとは全く別のものである。世界的パンデミックの中、海外へ行けない日本のカレー料理のシェフと現地のシェフや家庭のカレーの調理方法等をリモートで紹介していて面白く思い、かつて頻繁に訪れていたスリランカのカレーの味と酷い経験を思い出したのだった。
 
  もうだいぶ昔、スリランカの工場の立ち上げに関与した時のことである。当時小生は香港に駐在しており、香港からコロンボへのフライトを1年半ほど毎月のように利用していた。当時不思議なことに香港からコロンボへの直行便は無く、キャセイパシフィックがシンガポールかバンコク、タイ航空がバンコク、マレーシア航空がクアラルンプールでのトランジットとなる。往復のうちどちらかはトランジットで入国もできるので、これを利用して観光をしたこともよい思い出である。

 スリランカでの食事

 さて、スリランカ出張を命じられ、初めての訪問はとても楽しみであった。スリランカの工場では社員向けに昼食が用意されていた。われわれ日本人も当初はそれを食べさせられていた。これが魚、肉、野菜、豆、果物などすべてカレーで、とてもスパイシー。もともとカレーが好きな小生は、珍しかったが、かなりスパイシーで辛いカレーをある意味楽しんでいた。後でどなん事態が待ち受けてるかも知らずに。工場の昼食は、コメが主食に当たるのだが、これがまん丸のコメで、かなり臭いが有ってこれには往生した。しばらくしてコメは日本人用にジャポニカ種を炊いてもらうようになり改善されたが。。。 しかしこのカレー漬けの日々は続いた。

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 そうそう、スリランカは平地では年平均気温が27-28度という暑い国である。電力事情もそれほど良くなく、街ではトゥクトゥクという三輪の小型車に魚などをそのまま乗せて走っている。従って新鮮な魚介類、肉なども傷みやすい。スパイシーなカレーはどうもこのような事情とも関連しているらしく、傷みやすいものほど辛いのだ。一番辛いのは甲殻類、次に魚、そして肉、豆、野菜はそれほど辛くなく、果物など甘いものもある。香辛料は一種の毒消しのよう、これも生活の知恵、というものだろうか。

 ホテルのレストランにもスリランカカレーのバイキングがあり、食べに行ったことも何回もあった。これは、工場のカレーよりは格段に美味しく洗練された感じなのだかあまり豪華さは無く、あまり魅力的には感じられなかった。フードコートで、パキスタンなどのカレーを食べたこともあった。しかし、フードコートの中の店なのでこれも珍しいとは感じたがそれほどおいしいとも思わなかった。どこのレストランでも非常に安価で、スリランカ人のスタッフとホテル近くのレストランで一杯やりながらスリランカ料理も食べた。とても安いのはいいのだか、ここでも辛いスパイシーなものばかり。

 一番美味しかったのは、インドのカレーだった。ただ辛いだけではなく、具材も豪華。後でスリランカ人スタッフに聞いたのだが、スリランカのカレーはレストランで食べるようなものではなく、具材が豪華ではない庶民料理、日常の料理のようだ。。

 お酒類だが、ビールはライオンビール、それからウィスキーに似たアラック。これは椰子の花の蜜から作るそうで、ハードだが甘い香りがする。スーパーなどで買うととても安いので、小生、滞在中はもっぱらこれを愛飲していた。

チキンブリアーニ

 ある日休日、同僚とガイドブックに載ってたでチキンブリアーニを食べに行った。カレーピラフみたいなものにチキンが載っていて、左のカレーのソースと、緑っぽいヨーグルトが入っている感じのソースと混ぜて食べる。おいしいがかなり辛いものだった。同行者は辛い物が苦手で、ソースをかけずに食べていた。知らなかったが、この料理は南インドにもあるらしい。 

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そうそう、スリランカでは古い英語が残っている。昔のHotelはレストランと同義語だったとか。

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しゃっくりが止まらない

 何回目のスリランカ出張のあとだったろうか。香港に戻るとしゃっくりが止まらない。1日中しゃっくりがとてもたくさん出る。仕事をしていても、食事をしていても、お酒を飲んでいても止まらない。そのうちに胃の不快感などで体調も悪くなり病院へ駆け込んだ。診断は何と言われたのかいまや定かではないが、強い薬を処方され、1日休めば治ると言われ、仕事に戻ってもよいかと尋ねると帰宅しなさいと指示されたのを覚えている。確かに帰宅後に薬を服用するととても眠くなり翌朝までぐっすり。しゃっくりも止まり、胃の不快感もなくなっていた。
 原因は、スリランカでのスパイシーな食事だった。後で聞いた話だが、日本人のスリランカ駐在者などで胃をやられる人は少なくないのだとか。
 その後は、工場のスリランカ人スタッフ向けの昼食は断ったのは言うまでもない。ランチはホテルやイギリス式のサンドイッチ店で調達するサンドイッチに切り替えた。 

 今日の結び

 スリランカは、「有史以来餓死者を出したことがない」と言われる、海に囲まれた小さな島国である。海産物、果物なども豊富で、敬虔な仏教徒がかなりの割合を占める穏やかな国である。何度も訪れたが料理が極めてスパイシーなところ以外はとても気に行っている。欧州のバカンス地としても有名らしい。小生も引退後、また訪れてみたいと考えている。
 まだまだ書きたいことはたくさんあるが、今日のところはこのくらいにしておこう。


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