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贈られた紅茶は飲み切らねばならない

【文字数:約1,000文字】

 知人から贈られた缶入り紅茶を飲み切った。

 前にも違う銘柄の茶葉をもらったことがあり、良かれと思って選んでくれたに違いない。

 タイミング悪く新しい茶葉を買った直後だったけれど、贈られたものを後回しにするのは気がひける。

 ほのかにマンゴーの香りがする紅茶は、すり潰した茶葉を丸めて乾燥させてあるために味が濃く、1日に何杯も飲めるタイプではなかった。

 かといって薄くれると茶葉が減らず、外気に触れる時間が長くなって味が落ちる悪循環だ。

 どうにか消費して贈り主に感想を伝えてから、飲んでいなかった紅茶に取りかかる。

 50個入りのものを買っていたため、これまた飲み切るまでに時間がかかる。そもそも置いていた時間が長く味が落ちていた。

 淹れる時間を短めにして、紅茶というより「紅茶風味の湯」にして渋みを抑えても喉にからむ。古いせいか色は濃く、飲んでいると気分までどんよりしてくる。

 ふたたびの苦行を越えて茶葉そのままの紅茶を淹れたとき、思わず声が出た。

 うまい!

 『鬼滅の刃』に登場する煉獄杏寿郎のようになるだけでなく、勝手に笑みが浮かんでくる。きっと心は燃えている。

 片付けの楽なティーバッグでは出せない、まんべんなく茶葉を開かせて淹れた紅茶は本当に美味しい。

 とはいえ陶器やガラスのティーポットを使うと、中に残った茶葉の片付けが面倒くさい。

 容量の欲しい数人分をまとめて淹れるなら許容できるけれど、1人分のポットは持っていない。

 さてどうしようと考えて思いついたのが、マグカップを2つ使う方法だ。

 用意するのは以下の4つ。

・同じ大きさのマグカップ × 2
・ティーストレーナー(茶こし) × 1
ふたになりそうな平たい皿 × 1

 つまりマグカップを1人用のポットに見立て、残った茶葉は水を注いで取り除くというわけ。

 ポットにストレーナーが付属しているものもあるけれど、茶葉が開きにくいので好きじゃない。注ぎ口に茶葉の出ない加工がされているのは、そもそも茶葉が詰まって淹れにくい。

 マグカップを使う方法ならポットがなくても茶葉で淹れることができるし、ストレーナーは100円ので十分に使える。

「紅茶は味が薄くて香りもないから不味い」

 あまりにも安いティーバックにありがちで、その印象を紅茶すべてにあてはめてしまう人は多い気がする。

 手軽に飲めるのがティーバックの利点だけれど、もしも余裕があるなら茶葉を試してみて欲しいと、1人の茶飲み人は願っているのだった。

 

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