見出し画像

からんと当たる氷のように 《詩》

からんと氷がグラスに当たる

むずかしい顔した2人のあいだ

涼やかな音色が染みこんで

張りつめた空気をかき混ぜる


おたがいの好きと嫌いを比べて

品定めする遊びにも飽きていた

どちらが先に匙を投げるのか

それともグラスを倒すのかと

笑顔だと思いこんだ表情のまま

もうずいぶんと時間が溶けた


グラスの中で踊る氷は1つだけ

特別に大きく歪な1粒だけが

消えた仲間たちの泉に浮かび

ゆらゆらふらふら漂いながら

外から差しこむ光の中で

拙い円舞を1人で踊る


別の誰かを探すのは簡単で

同じだけ仲良くなるのは難しい

取り替えの効かない関係は

歩み寄るための努力と

遠ざかる勇気の両方を

知らないうちに堕落させる


グラスに何が注がれていたのか

もう判別できないほど薄まり

飲まれることを拒否されたまま

片付けられもせず佇み続けて

からんと静かに囁くばかり


初出:2022/07/14 note(書き下ろし)

 カフェで過ごすなら楽しくありたいもの。

 ドリンクバーで数時間を過ごすのも好きなんですが、ここ数年で足が遠のいてしまったなと。


なかまに なりたそうに こちらをみている! なかまにしますか?