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いまはもう うごかない おじいさん

【文字数:約600文字】

 先日の夜に歯間ブラシを使っていたら、ガキリ、という感触の後で硬いものが舌の上に転がってきた。

 上側の奥にある歯の詰め物が欠けたらしく、サイボーグ009みたく加速装置が使えるかと思いきや、ただの人間にそんな機能はなかった。

 とはいえ、防御力ゼロ状態のままにしておくわけにもいかず、定期検診から日が浅くとも歯医者に連絡を入れ、2日後の予約に詰め込んでくれた。

 前回その手腕を発揮して詰めてくれたのか疑いつつ、仕事帰りに向かうと2人いる先生のうち、流れ作業のI先生(仮名)が待っていた。

 わりと話を聞かないS先生が担当になると思いきや、やはり詰め込み処置ということもあり、手が空いていないのかもしれない。


 時間になるとすぐに呼ばれ、ああうんなるほど、じゃあやっていきまーす、という流れ作業で処置が進み、時間としては15分くらいで終わった。

 具体的には欠けた部分につらなる場所をごっそり削り、超速で硬化する充填剤をこれでもかと使い、最後に余分なところを削って完成だ。

 I先生は処置が終わってすぐ何処かへ行こうとしたので、せっかくならと前に詰めたのがいつか聞いてみたら、おおよそ6年前だと判明。

 それくらい経てば脆くもなるねと納得し、おじいさん詰め物あらため、うら若き詰め物と日々を過ごすようになった。

 かかりつけ医としてI先生やS先生はどうなのか、考えなくもないのだけれど。

なかまに なりたそうに こちらをみている! なかまにしますか?