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こなざとう 《詩》

粉砂糖こなざとうみたいに

ふりつもる陽射し

傘はいらない

きっともう

意味がない


ぬれていく

体の内側にあるどこか

しんしん しんしん

木漏れ日たちの

音のないダンス

空の息吹で

森は歌う

さらさら さらさら

葉擦はずれの打ち鳴らす

拍手の傘

とどまることを知らず

楽団に指揮者はいない


自分の中に

あったはずの宝物

いつのまにか

色と重みを失って

さらさら さらさら

吹き流されて

姿形のない空白

影みたいに

いまなお揺れる

しんしん しんしん

この手の熱で

溶けてしまう

もろくて

はかない

こなざとう


目を閉じて

上を向けば

あたたかい

ゆめのような

粉砂糖



初出:2023/06/08 note(書き下ろし)

 すこし前まで心地よい日差しが、今では立派なKiLL光線になりました。ガッデム。

 ふだん粉砂糖は使わないですけれど、パンやお菓子の上にかかっているのは美しいですね。

 最近ちょっと感性がマヒしていたので良いリハビリでした。


なかまに なりたそうに こちらをみている! なかまにしますか?