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「鬼さん電話」って...

弱化の原理。

弱化の原理とは、福祉分野の支援で用いられる行動原理のひとつ。
問題行動が起こった直後、その人にとって嫌なことが生じることで、次からはその行動が起こりにくくなる原理。

働く僕らの例えでいうと...
就業規則違反をする→規則にのっとり懲戒処分→規則を守るといった仕組み。

一般的に嫌なことを生じさせるのだが、嬉しいことや楽しみが奪われるケースもあるため、こうしたアクションは、倫理的な問題もはらんでいる。



さて
弱化効果は、即効性があり、何をしてはいけないかを学ぶことはできるが、本当は何をすれば良いのかを学ぶことは、なかなかできないのも事実。


※ 弱化の原理を否定している訳ではない。
好きな物を好きなだけ食べる→今まで履いていたズボンのウエストが入らなくなる→ダイエットしたり、ラーメンにご飯付けないようにしたりするのと同じ原理。


「してはいけない」を伝えるのがゴールでもあり、「こうするんだよ」を伝えるのもゴール。このバランスが圧倒的に難しい。弱化の原理は、障害福祉の支援だけに限った話ではなく、子育ての分野でも、似たようなものが存在する。


「鬼さん電話」


このアプリは、うちの子供達の小さい頃から存在する十数年あるサービス。言うことを聞かない子供。子供が恐怖の対象としている「鬼から電話がかかってきている」と脅すことで、言うことを聞かせる仕組み。嫌なことを与え、行動の是正を図る。


脅すと子供は言うことを聞く。
言うことを聞かせた成功体験が、更に「鬼さん電話」の使用を加速させる。何々....お子様の行動促進をサポートね...。使う親の気持ちは理解できるし、アプリを使わないといけない本来の目的も理解できる。


人は何らかの役割が与えられると、そこに適した行動をとろうとする(スタンフォード監獄実験)。分かりやすいところでいえば、「お世話する人とお世話される人という関係性」。これを無意識に維持しようとすれば、『支配欲』が生まれるのかも知れない。言うことを聞かせたくなるのも頷ける。支配は、奪う文化と脅しの文化が醸成したカタチのだろう。

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