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公の場では、妥当なことしか言ってはいけないのだろうか

以前古本屋でアルバイトをしていた。

ある日の休憩時間中、他のスタッフさんとTwitterに関する話になった。なんでも、その人が推しているバンドの、山口県でのライブ告知ツイートに、別のファンが「山口は仕事で行けません... すみません!」とコメントをしていたらしい。スタッフさんは「いやお前の報告いらねーよ!がんばってくださいでいいじゃん」と笑いながら言った。

私も「たしかに」と頷きながら笑った。しかしどこかで、そんなに言わなくてもいいのに、と思った。

その思いはそのまま沈殿し、休憩時間が終わって私たちは勤務に戻った。

なんてことはない記憶。しかし未だに覚えているということは、当時それなりにもやもやしたのだろう。

あの時のもやもやは、たぶんこう言い換えられる。

公の場では、妥当なことしか言ってはいけないのだろうか


その人はきっと、「その山口県のイベント以外には私は結構参加しています」ということを、好きなバンドに伝えたかったのだろう。

たしかに、あっそうで終わる話だ。でも、それの何がいけないのだろう。どんなことをコメントするのも、その人の自由だ。

私はきっと、休憩時間のわずかな間に、会ったことも、これから会うこともないその人に、自分を見出したのだと思う。私は、その場で適切、妥当だと思われる発言をするのに、労力がかかる人だから。

もっとやさしい世界で生きていたい、と思う。間の抜けたことを言っても馬鹿にされない社会がいい。

でも私が逆の立場だったら、「そう。それで?」と思ってしまいそうだから、むずかしい。でも、できるだけやさしくいたい。



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