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「在日の金くん」ヘイトストーカー訴訟

※解放新聞中央版5月15日付号連載で「在日の金くん」ヘイトストーカー訴訟について書きました。5月30日の第一回口頭弁論の支援者集会で読み上げたものの原文です。

ヘイト投稿を提訴

2024年3月29日、東京都内に住む在日韓国人3世の金正則さんが福岡市の高校の同窓生からSNS上で「ヘイトスピーチ」を受けたとして、110万円の損害賠償を求め東京地裁に訴状を提出した。被告はXで「在日の金くん」との言葉を入れながら、原告の金さんの人格を侵害し、名誉を棄損する投稿を15件繰り返したという。

原告とは反差別の活動の中で知り合い、普段は正則オッパ(朝鮮語で兄)と呼んで親しくさせてもらっている。この提訴の前に、「裁判の焦点は「在日(朝鮮人)」という言葉、「民族名」に関わる差別と考えています。「在日(朝鮮人)」で経験した差別 や「在日(朝鮮人)」にからめて耳にしたヘイトスピーチ 、「民族名」で経験した差別 、そして「民族名」にからめて耳にしたヘイトスピーチなどこれまで経験した中で思い出すことや言葉を教えて欲しい」という連絡がオッパからあった。私は思いつくままに答えたが、その中で両親が在日であることから、日本人と結婚したいとこの結婚式に呼ばれなかったことを思い出した。選挙権がなく住民投票すらできないこと、初対面の人に名乗ると「日本語がお上手ですね」と云われることなど、数え上げればきりがないほどだった。

私たちマイノリティの日常には、ヘイトはあふれかえっている。ネット上で見ず知らずの人からのヘイトも辛いけれど、実際はすぐ身近な人から発せられる場合が多い。オッパの場合は50年来の知人からのヘイトだった。どれほどの苦しみがあったのだろう。差別は自分が生きてきた土台や思い出も破壊する。路上でヘイトスピーチが吹き荒れた時に知り合い、オッパは「今まで自分なりに在日として頑張って来たのに、これ以上頑張らせるのか」と笑っていた。

あれから11年が過ぎたのに、オッパは新しい闘いを起こし、さらに頑張ろうとしている。この裁判も全力で応援するしかない。

※※ちなみにおいらの初の著作だった「#鶴橋安寧」にも、オッパの
「今まで自分なりに在日として頑張って来たのに、これ以上頑張らせるのか」と笑っていた。
と云うエピソードは登場します。


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