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映画愛に満ち溢れていた『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』(ネタバレなし)

セックス・ピストルズやクラッシュ、アナーキーなどパンク・ロックと同じくらい私の人生を変えたといっても過言ではないのが若松孝二監督。

最初は映画監督としての若松孝二に興味を持ったのだが田舎ではなかなか観ることもできず『俺は手を汚す』という本を読み漁った。(引越しの時に見当たらなくなってしまったので買い直したほど!)

私の人生に大きな影響を受けた本


初若松監督作品は20歳くらいの時に観た『水のないプール』。当時の私には強烈だった。

そんな私なので若松孝二に対して思い入れが強過ぎるかもしれない…元来、泣くような映画でないかもしれないが劇場を出たときの私の目は真っ赤でした。

公開初日の朝10時からの回


物語は若き日の若松孝二監督(井浦新さん)を主軸にミニシアターの走りとも言える“シネマスコーレ”の館長である木全純治(東出昌大さん)、映画監督を志す若き日の井上淳一監督(杉田雷麟さん)、映画を撮りたいが様々な困難を抱える金本法子(芋生悠さん)など映画に取り憑かれた若者たちの群像劇。

劇中いったい何回「映画」というワードを聞いただろうか…。とにかくスクリーンから溢れ出るのは凄まじいまでの膨大な映画愛!!

それぞれの映画に対するスタンスというかベクトルは違えど登場人物の映画にかける熱い情熱に終始胸を撃たれっぱなしだった。

地元の劇場では井浦新くんが舞台挨拶を行うという…この日は観に行く予定はなかったがどうしても若松孝二監督の秘蔵っ子の話が聞きたくて劇場行くことにした!もう一度ならず何度でも観たい!!!

エンドロールを前に退場したかたもいたがもったいない!!絶対に客電が点くまで観た方がいい。


【追記①】…映画監督を志す井上淳一は私とほぼ同年代。映画で学習塾の講師は団塊の世代。私が学生時代の教師と全く同じだ。社会人になり当時の先生方の裏話を聞く機会があったのだが、おとなしそうな日本史の教師が実は若い時に全共闘運動で火炎瓶を投げ丸太で警官をブン殴り大暴れしていた猛者だったとか…当時リアルに聞くんじゃなく後で聞いてよかったww

【追記②】…『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』を観て帰ってきたら猛烈に『止められるか、俺たちを』が観たくなり閉店後に鑑賞。

『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』で井浦新くん演ずる若松孝二監督が「あっちゃん」という固有名詞を発するたびに泣いていた。若松孝二監督生前の著書『俺は手を汚す』の中で「もう一度あっちゃんに会いたい」と若松監督が書いていたからだ。その後2人は長い年月と距離を経てようやく出会えているらしい。

「あっちゃん」とは…本名:足立正生。若松孝二監督とは文字通り盟友であり若松プロダクションでは数多くの脚本を手掛け監督作品も残している。1974年にゲリラ組織“日本赤軍”のメンバーとなり国際手配され1997年にレバノンで逮捕、2003年に刑期が満了となり帰国。2007年には田口トモロヲ主演作品『幽閉者 テロリスト』を監督している。若松監督が亡くなったのは2012年なのでその前に昔話に花を咲かせて、お互い長年の労を労うように盃を酌み交わしたであろう。

この映画『止められるか、俺たちを』では山本浩二演ずる足立正生氏が重要な役割として描かれている。

アホみたいな話だが私はこの時代(全共闘とか…)に強烈な憧れを抱いている。喧嘩も弱いくせに“この時代に生きていたら”という妄想に駆られるのだ。

【追記③】…「“転んでもタダで起きない”じゃなくて“タダで起きないから転ぶ”」

公開初日から中1日おいて2度目の鑑賞。2度目は泣かないと思ったんだけど初回に続き号泣。初見の新鮮さとは別に物語を知ってるからこそ泣けるっていうのはあるよね。

当初は観にくるつもりではなかったが、あまりに映画が良過ぎて…しかもこの日は主要キャストによる舞台挨拶もあるということで再見。

3/17は7番シアター


場内は文系女子らしき方がほとんど。井浦新推しの貴重な映画仲間、中川さんも当然の如く会場にいらした。

貴重な映画仲間の中川さんと


1965年生まれの井上淳一監督は1964年生まれの私と同年代。今日の気づきは同じくらいの時期に若松孝二監督の著書『俺は手を汚す』と映画『水のないプール』を読んで観ていたこと。同時期に井上淳一監督も私も若松孝二監督に影響を受けたのだ。

若松孝二ライブラリー


物語の舞台となるのは1980年代の名古屋に若松孝二監督が創設したミニシアター“しねますこーれ”。ここに集まる若者たちの青春群像劇。

映画が終わり涙を拭いながらゲストの登壇を待つ…前列の席を取ることができたのでドキドキだ。

目の前に!!


なんと舞台挨拶形式ではなくティーチ‐イン!観客が出演者に質疑応答し討議という贅沢な時間となった。興味深い質問が飛び交い出演者の皆さんの真摯な応答が印象的だった。

“大きな存在だった(手も)”と語る井浦新さんによる若松孝二監督の話は興味深かったな。

私は質問というか想いを伝える言葉に溢れて挙手は遠慮したがティーチ‐インが終わりロビーのサイン会で想いを爆発させた。

出演者と監督との会話を備忘録的に記しておく。

《芋生悠(いもう はるか)さん》
芋生さんから今回のTシャツを着ていた私にTシャツのことを話題にされた。初日に観て今回が2回目だということを伝えると嬉しそうだった。「実物は更にお綺麗ですね。芋生さんの映画作品はこれが初めてでしたが、これから追いかけます。」と伝えると「これから封切られる映画もあるのでぜひ観てほしいです」と応えておられた。

《杉田雷麟(すぎた らいる)さん》
映画の中では眼鏡をかけていたが普段は裸眼のよう。「目が綺麗ですね。とても良い顔をしています」と私。照れたように「ありがとうございます」と杉田さん。『福田村事件』でもそうだったが端正な顔立ちはインテリジェンスな印象を受ける。イメージ通り言葉少なだったが秘めたる炎を感じ取ることができた。

《井上淳一監督&井浦新さん》
1964年生まれで監督と同世代であることを伝えると「私の方が1歳下ですね」と答えられた。隣に座っていた井浦新さんも「監督より1歳年上ですね」というようなことを仰られて私と監督と新さんと3者で会話が始まる。とにかく伝えたい想いがたくさんあり過ぎたけど短い時間だったので1番伝えたいことを言おうと思い井上淳一監督に「いつか足立正生さんがレバノンに行っていた時期の若松孝二監督との事を映画にしてください!」と伝えると「(レバノン周辺の)砂漠のシーンとか撮影が大変そうだな…」と苦笑いした後に井浦新さんと異口同音に「足立監督が撮るのが1番いいよね」と夢のような言葉が…!

足立正生監督、井上淳一さん脚本家、井浦新さん主演、若かりし日の足立正生さんはやはり山本浩司さん……………なんて夢のような話だろう!!!実現するといいなぁ。

映画のTシャツ👕バックプリントがかっこいい✨


そんな夢のある感無量な話しをした後に井浦新さんのサインをもらいながら「新さんと若松監督の作品はぜんぶ観てます」と伝え「頑張ってください!」と続けてサイン会場を後にした。

38年前の【ほぼ実話】だという物語ではあるが青春をジャックされるほどの映画にかけた人々の情熱は現代の人にも刺さる熱き映画だと思うのだ。

サントムーンも映画愛に満ち溢れた劇場


全124ページの豪華パンフレットがたったの1000円!!!さすが若松プロダクション狂ってる!!!

これで1000円!!元がとれるの??


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舞台挨拶の興奮を覚ますためにチャイを飲んだ☕️


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