見出し画像

喧嘩後の鮭ムニエルパスタは無味

「眼 美しく怒れ」という本が返却された。岡本太郎のエッセイ。
ちょうど昨日夫と喧嘩したばかりだからタイムリーだ。

わたしはとても醜く怒っていたと思う。
きっかけは些細なことだった。

仕事中。

夫から「友人を家に招いて遊んでいる」というメッセージがはいったので、さぞ、お部屋はキレイに掃除してあるんでしょうね?
と思って家に帰ったのだが、洗濯物は室内に干したままで、生ごみはシンクに溜まったままだった。

いつも部屋を美しく保つように小言を言われているのに、なぜ今、気にならないのだろうか。

帰り際、夫の友人に「ごめんね、散らかってて」とさらっと言ったら

「ね。忙しかったんだなと思った。」
と言われてとても嫌な気持ちになった。
(この発言については友人は悪くない。本当にごもっとも。)

その不満を夫にぶつけて喧嘩になった。

友人を呼んでもいいけど、もっと部屋を片付けてから呼んでほしい。というかいつもわたしに片付けろって口うるさいのに。と。

なんで男の人って喧嘩になると無口になるんだろう(これは本当に永遠の謎。)

相手が黙れば黙るほど、「なんか言いなさいよ」ってこっちの怒りはエスカレートして、小さな小言のつもりが、大きな喧嘩になってしまう。

それで夫を泣かせた。

次の日にわたしも泣いた。

帰宅してからわたしはずっとずっと泣いていて
それを横目に夫はパスタを茹でていた。

こういうときに夕食の準備するんじゃなくて、抱きしめて欲しいのに、そういうことを一切しない男なのだ。まったく。

そういう態度は冷たいと伝えたら、

「僕はこういうことしかできないし、甘い言葉をベタベタ吐くのは違うと思う。」って。

ふん、昭和みたいな男でますます腹が立つ。

結局、夫が作ってくれたパスタを並んで食べた。

わたしはパスタを巻きながら泣いていて、夫はティッシュでわたしの涙を拭きながら黙って食べた。

鮭ムニエルパスタという、鮭とピーマンと玉ねぎが入ったパスタ。本当に、おいしくもまずくもない味がした。

もし明日仲直りしたのなら、鮭いくらバターパスタのような豪華で濃厚なものを一緒に作りたい。

そして、パスタはふたりで茹でたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?