鼻抜け経歴(フランス編②)


留学2年目の夏、講習会に向けて練習していると鼻抜けし始めました。

あれ?やばい、、?と思って休みながらも、曲が全然仕上がってなくて練習しなきゃと練習してたら、どんどん悪化していきました。


講習会が始まるころには、吹いたらすぐ抜けてしまうくらい酷くなっていました。

いつも鼻抜けするときは1時間くらい吹いてからだったので、とても焦っていました。
力んでいるのかな?と思って脱力しても抜けるし、セッティングも重くないし、今までやっていた対処法をやっても治らず、、、

5分の曲が通せない、休んでも吹いたらすぐ抜ける、いつもと違う鼻抜けにどのように対処していいか分からなくて心も身体もかなり疲れていました。

周りの受講生は色んなことを吸収していく中、立ち止まったまま何も出来ない情けない気持ちがどんどん膨らんでもうコンサートも聴きたくないくらいでした。

鼻抜けは見た目では分からないので伝わりにくいですが、なっている当人からすると、かなり辛いです。

もちろん鼻抜けの度合いにもよりますが、酷い時は

まず身体が苦しい、鼻も痛くなったり、息が口の中に溜まりすぎて上手く息が吸えなかったり。
練習したいのに、練習出来ない。上手くなりたい気持ちと裏腹に吹けば吹くほど、どんどん下手になってる気がして精神的にもとても苦しいです。

そのダブルパンチでボコボコなのに、どうやって治していいか分からない。調べても分からない。

普段のたまに鼻抜けする
から
常に鼻抜けする
という状態になった時、毎日絶望的な気持ちでした。

結局講習会は鼻抜けしっぱなしでまともに吹けず終わりました。

ちょうど夏休みだったので、1か月楽器をお休みしました。
吹いてもどうにもならないし、身体も疲れてたしとりあえず休めばなんとかなるだろうと思っていました。

1か月後吹いたら、全然普通に鼻抜けしました。

もはや笑いました。1か月しっかり遊んだだけで、鼻抜けには効果がありませんでした。
ただ、5分くらいは鼻抜けせずに吹けるまでは改善しました。


2週間後入試なのに、どうしようと絶望的な顔をして夏休み明けレッスンに行きました。

先生は、
どうしたの!何があった!
とすぐに異変に気づいてくれて、一緒に対処法を考えてくれました。

以前と鼻抜けのタイプが違かったので、とりあえず鼻抜けしてる時間を減らすことに重点を置くことにしました。

・鼻抜けしたらすぐ吹くのやめる
・鼻抜けしてない時の状態をよく観察する
・どうしようって思わない

この3つを意識しました。

そのレッスンで鼻抜けが治ったわけでも、有効な改善策が見つかったわけでもないけれど、
先生が

りなこ、大丈夫だよ。充分吹けてるから。鼻抜けしてるだけで、ちゃんと吹けてるよ。
近くにいたら鼻抜けしてること分かるかもしれないけど、遠くにいたら鼻抜けしてるかなんて分からない。審査員は鼻抜けしてるからって落としたりしないよ

と言葉をかけてくれたことで、凄く凄く救われたし楽になりました。

結局2週間後の入試の10分間鼻抜けし続けたのですが(笑)、無事吹き切れました。

鼻抜けしても、止めなきゃ!と思わずにそのまま吹き切りました。
もちろん息は2倍出るので苦しいけれど、本番中はもう仕方ないと思ってその状況を受け入れました。


無事入試は合格出来たので、もう一回鼻抜けとちゃんと向き合おうと思い新学期を迎えました。


そこから、3ヶ月くらいはとにかく鼻抜けのことだけ考えました。
アンブシュア、姿勢、セッティング、ブレスの取り方、身体の調子などなど

なんとなくではなくて、いつどんな状況で鼻抜けして、どこを意識すると鼻抜けしやすいのか。

それを考えて、試して見て、を繰り返していくうちに、鼻抜けをする状態と、しない状態が分かってきました。

その後、今に至るまで、2年くらい鼻抜けしていません。
もちろん、たまに体調悪い時とかは、なりそうになるのですが、コントロールしてるので鼻抜けにならずに対処しています。


それを解剖学などと結びつけて、現在、
あーだからあの時鼻抜けしてたんだ、とか、あれが原因だったのか、

というのが分かるようになりました。


長い学生生活の半分を鼻抜けと共に過ごしていて、大変なこともあったけど、自分の経験が誰かの役に立てるかも、と思うと頑張ってよかったなと思います。


おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?