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視察報告 東京都中野区 日本版ギフテッド教育・2Eについて 尼崎市議会議員 池田りな

こんにちは。尼崎市議会議員 池田りなです。視察の報告をいたします。

テーマ:日本版ギフテッド教育・2Eについて
日程:2024年4月25日(木) 9時20分~11時
場所:東京都中野区NPO法人 翔和学園

【概要】
私は、この報告書において特定分野に特異な才能と同義語でギフテッドの言葉を使用しています。ギフテッドと呼ばれる児童生徒には、才能が突出している場合と発達障がいと高IQの二重に特殊な特性を持つ2E(twice-exceptional)の場合があります。

 才能が突出する前者の学びの場は既に多くの教育機関、例えば中学受験の塾などで行われています。一方、2Eタイプの子どもたちの学びの場はまだ足りていません。私のもとには、「子どものIQが高くて学校の授業がつまらないから子どもが学校に行きたがらない。先取りする塾に行かせて中学受験などできたらいいが経済的に難しい。」といった声が複数寄せられており、今回のNPO法人翔和学園の視察に繋がりました。視察では、伊藤寛晃学園長よりお話をお聞きしました。

 同学園には、小中学部、高等部、大学部の3つの部門があります。小中学部はフリースクール、高等部は民間の教育機関として位置づけられ、大学部は18歳以上の支援を必要とする若者向けの障害福祉サービスを提供しています。この学園には、ADHD(注意欠陥・多動性障害)やASD(自閉スペクトラム症)を持つ人々が通っています。

 また同学園では2015年からギフテッド教育を始めています。文部科学省は、令和4年(2022年)9月 26 日 特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する 学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議でギフテッド(才能教育)について見解が示されました。同校は、国が才能教育に注目する以前からギフテッド教育取り組んでこられました。

同校のHPでは、一般的に「ギフテッド(才能が突出している)」「天才的」と思える子でも、その突出した良さを、社会的成功につなげられるかというと、保証はありません。特に日本の社会では、難しい面がたくさんあります。そうした学校で苦しんでいる子どもたちへのアプローチをしていくのが、翔和学園の目的としていると述べられています。同校では、東京都教育委員会後援で、ギフテッドフォーラムも開催されています。

 参照:「第3回・ギフテッド教育フォーラム」開催 | 特定非営利活動法人翔和学園のプレスリリース (prtimes.jp)

 視察で注目すべき点と尼崎市で活かしたいことを2点述べます。1点目は、2Eタイプの子にも特別支援教育におけるアプローチの必要性です。小学校ではテストの点が高いため、2Eタイプの子どもたちは特別支援教育の対象になりにくい傾向があると保護者と話をしていて感じています。尼崎市においても、2Eタイプの児童生徒への特別支援教育のありかたを検討する必要があります。

 2点目は、同校がアカデミックギフテッドクラスをもうけ廃止にしたことです。アカデミックギフテッドクラスは、特別支援教育が従来、生徒の弱み、欠点や苦手を克服しようとするものであったのに対し、生徒の強みや能力の凸を伸ばすことを目指して始められました。

 しかし、「後にこのクラスの生徒の中に、クラス外の障害を持つ生徒への差別意識が生じるようになった、また、周りの大人や教育者が「君たちは天才だから」と特別視し、高い知能を伸ばすことに力を入れてしまったこと、また、保護者の中にも、自分の子どもは発達障害ではなくギフテッドだからという考えを持つ人もいた」と伊藤理事長がおっしゃっていました。IQが高い子どもを周囲が特別視せず、個々の子どもに適した教育を提供する必要があると考えます。

 3点目は、伊藤学園長がおっしゃっていた、発達障害をニューロダイバーシティとして捉える視点です。経済環境省のHP「ニューロダイバーシティの推進について」では、ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)とは、Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉が組み合わされて生まれた、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方であり、特に、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害といった発達障害において生じる現象を、能力の欠如や優劣ではなく、「人間のゲノムの自然で正常な変異」として捉える概念でもあります。と紹介されています。

 私は、発達障がいは個々の特性であり、障害と否定的に捉えるのではなく、それをポジティブに活かす考え方が必要だと考えます。この概念の普及にも尽力していきます。
▶経済産業省 ニューロダイバーシティの推進について (METI/経済産業省)


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