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視察報告 神奈川県横須賀市 インクルーシブ学童について 尼崎市議会議員 池田りな

こんにちは。尼崎市議会議員 池田りなです。視察の報告をいたします。

テーマ:インクルーシブ学童
日程:2024年4月24日(水) 15時~17時
場所:神奈川県横須賀市 一般社団法人 インクルーシブ学童sukasuka-kids

【概要】
私がここで使うインクルーシブ学童の定義は、障がいや特性の有無関わらず、放課後子どもたちが放課後同じ場所で過ごせる学童を指しています。

以前、私の元に、お子さんが支援級に通っている保護者から「地域の学校に通っているが、支援級在籍でと放課後ディサービスに通っているので地域の友達と一緒に過ごす時間がほとんどない。障がいを持っている子も遠慮せず預けられる学童があったらいいのに」というご意見をいただいたことがありました。

インクルーシブ学童について調べていくうちに、こちらの障がい児のお母さんたちで立ち上げたsukasukakidsインクルーシブ学童を見つけ視察にいたりました。同施設では、障がいのある子もない子も放課後一緒に過ごしています。一般社団法人sukasuka-ippoが横須賀市久里浜の久里浜商店街の空き店舗を活用して運営するインクルーシブ学童を視察しました。sukasuka-ippoは障がい児のお母さんたちで立ち上げた法人です。

視察では五本木愛代表から創設に至った経緯や活動内容をお聞きしました。『自分たちが足りないと思うこと、欲しいと思うものを自分たちで作っていく!』をモットーにさまざまな事業を展開されています。障がい児を育てる中で、日々の困りごとや将来への不安を感じる場面が沢山あり、「もっと情報が欲しい!」と同じように悩むママたちと、広く情報を共有するために、横須賀のバリアフリー子育て情報サイトを開設されたことが事業のはじまりだったと、五本木代表はおっしゃっていました。

そして障がい児者やその家族が地域で安心して暮らせる環境を整えることを長期的な目標として「一般社団法人sukasuka-ippo(すかすかいっぽ)」を設立されたとおっしゃっていました。インクルーシブ学童の開設後、地域企業とお母さんを繋ぐ在宅ワーク「よこすかテレワーク」による新しい働き方を進め、障がいがあっても安心して利用できる美容室「SARAH」の運営もされています。

第 15 回放課後児童対策に関する専門委員会(令和5年2月8日)とりまとめ案「放課後児童クラブ・児童館等の課題と施策の方向性」-社会保障審議会児童部会放課後児童対策に関する専門委員会 とりまとめ-においても、障がいのある子のインクルージョンの推進があげられています。とりまとめによると、放課後児童クラブにおける障害のある子どもの受け入れ状況は、受け入れクラブ数、登録児童数ともに増加傾向にあり、令和4年5月1日現在、受け入れクラブ数は 15,801 か所(59.2%)、登録児童数は 53,813 人(3.9%)です。特別支援教育を受ける子どもの数が増加しているため、今後も放課後児童クラブでの障がいのある子どもの受け入れは期待されると述べられています。

参照:「放課後児童クラブ・児童館等の課題と施策の方向性」
-社会保障審議会児童部会放課後児童対策に関する専門委員会 とりまとめ-001071892.pdf (mhlw.go.jp)

視察で特筆すべき点と、尼崎市に活かしたい点を2点挙げます。1点目は、民間学童で障がい児を受け入れやすい補助金制度です。本市の公立学童(児童ホーム)は職員も少ないので、公立がインクルーシブ学童と打ち出すことは難しいですが、障がいや特性がある子ども受入の補助金制度が拡充することで、民間でインクルーシブ学童ができればと考えています。

尼崎市では、待機児童対策の一環としてできた民間学童に対して補助金を出しています。障がい児受け入れに必要な研修を受講し、又は必要な専門的知識を有する放課後児童支援員等を追加で配置するための経費として、1施設あたり年間2,009,000 円の補助金が支給されます。視察したインクルーシブ学童のある横須賀市では、障がい児受け入れに対して、尼崎市と同様の制度に加え、障害児受入特別加算制度・障害児受入強化加算制度があります。本市の民間学童に障がい児を受け入れた場合の課題などを今後ヒアリングしていきます。

2点目は、学習支援事業「learning support」についてです。支援級在籍、または学習への支援が必要な中学1年~3年生を対象にした学習支援事業を行っています。放課後ディサービスは6歳から18歳まで利用できますが、実際の利用者は小学生が多数を占めています。

厚生労働省の「放課後等デイサービスの実態把握及び質に関する調査研究報告書」(令和2年3月みずほ情報総研株式会社)を参照すると、令和元年6月の1ヶ月間における年齢別の実利用者数の平均値は、小学生18.34人、中学生5.15人、高校生等が4.20人です。受給者証は変わらず発行されるにもかかわらず、中高生の利用者数はあわせても小学生の半分程度です。その理由として、中高生向けのプログラムを提供する施設が少ないことがあげられます。中学生対象の放課後デイサービスの見学も今後していきたいです。


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