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ポルトガル2 ポルトとポートワインからの贈り物

旅にまつわる音楽を聞きながら、記事をお楽しみ下さい♪

ワインとの関係

旅行までも、ワインは色々な場所で飲む機会に恵まれた。
本来一番好きなお酒はカクテルだったとしても、少しフォーマルな場所では、
「カクテルじゃなくてワインを……」
という気分になった。
「ぶどうの味が確かにするなぁ」
と思いながら飲んでいると、どんどん酔いが回って来る。
これが、私とワインとの関係だった。
しかし、ここポルトガルは、そんなワインとの関係をも変えてくれた。

ポートワインの色が違う?!

学生都市コインブラで、伝統のある大学、急な坂道や狭い路地を散策した後、私達はポルトガル第2の都市、ポルトへと向かった。

ディナーでは、ポルトを有名にしているものが早速出て来た。
「こちら、ポートワインでございます」
「来た〜!あれ、でも白……?」
「白のポートワインは、食前酒として飲みやすいんですよ」
ポートワイン。
ワイン愛好家のみならず、ポルトガルといえば、このポートワインがまず思いつく人もいるほど、ポルトガルを代表するワインだ。
みゆと私は、ポートワインは濃いワイン色だと思っていたからびっくりしたが、とりあえず色は気にせず、飲んでみた。

「え……甘い!びっくりするほど美味しい!」
「何これ?フルーティーでゴクゴク行けちゃう!」
「君達、気をつけて。ポートワインは、普通のワインよりもアルコール度数が高いですからね」
そんなウェイターの忠告も右から左へと流れ、みゆと私はこの甘く香りも良いポートワインを飲むのをやめられなかった。
みゆはともかく、メイン料理が来る前に私は既に異常な上機嫌になり、料理の味すら分からないほどになってしまった。

赤ポートワインのマリアージュ

少々うとうとし、お手洗いに行った後、正常な感覚を取り戻した。
「理菜ちゃん、良かった〜元に戻って!」
保護者代わりまでつとめてくれる、頼りがいのある親友、みゆには感謝そのものだ。
「みゆだって、酔っ払ってるでしょ?」
「理菜ちゃんほどじゃないよ。ウェイターも心配して、理菜ちゃん、デザートと一緒に再びポートワイン出して大丈夫かなって、聞いてくれてるよ?」
「ポートワイン!もちろん飲むよ!だってあのワインって、デザートワインでしょ?」
「だよね……デザートと一緒に飲まなきゃ、意味ないか!この後寝るだけだし、飲んじゃお!」

私達は、ポートワインのマリアージュに何が出るかも楽しみにしていたが、出て来たのは私達大好物のチョコレートで、これまた大喜びだった。
「ちょっとビターなチョコが、この赤のポートワインとピッタリ!」
「君達の顔も、ポートワインと対抗できそうな位、良い赤色だね。特に君!」
通るたびに声をかけてくれる、フレンドリーなウェイターに、またもや笑顔で顔を覗き込まれてしまった。
「からかわないで下さい!」
「彼女は、お酒に弱いんですよ!ね、理菜ちゃん?でも、このワイン、他のワインよりもアルコールが強くですか?」
「君の言う通り!このワインにはブランデーが入っているからなんだよ。朝から飲む場合は、飲む量に注意するんだよ」
「ポルトでは朝からこのポートワイン、飲めるんですか?明日も飲もう、みゆ!」
「人生初・朝ワイン、いいね!あ、量に気をつけて飲みます」

人生初・朝ワイン

私達は翌日、美しく神々しいカテドラルをノンアルコールでじっくりと観光した後、宣言通り朝のポートワインを楽しんだ。
赤のポートワインは、シナモンも感じさせられる、昨日よりも控えめで飲みやすい甘さで、たまたま出て来たチーズとも相性がぴったりのように感じた。
「量に気をつけたから、今日はばっちりだね!」
「私、ワインが好きって思ったのも、自分から場所とか関係なく飲みたいって思ったのも、このポートワインが初めてかも。運命的だわ」
「やっぱり理菜ちゃん、今日も酔い始めた?!」

冬なのにテラスでワインも、人生初

「君達、薔薇色のほっぺたが最高にキュートだね!写真を撮ろうよ!」
これまた陽気なウェイターが、ほんのり酔った私達を見つけて声をかけてくれた。
カメラに撮影された私達は、とびきり陽気で幸せそうな顔をしており、そしてなかなかの赤い顔だった。
冬なのにテラス席で座って、カラッとした空気と爽やかな風を受け、ワインが飲めるとは。
さすが、その昔に栄華を極めた国、ポルトガルだ。

「また来たい場所が、どんどん増えちゃうね」
「また来たいって、君達何日位滞在するの?」
「今夜、スペインに向かうんです」
「もう?早いね!」

ウェイターは、バスまでの時間に見られそうなポルトの美しい場所を教えてくれ、私達は、ポルトの町を一望できるという、ドン・ルイス一世橋へも向かった。
晴天のもと、平和で美しい町がとても美しく輝いていた。
「もっとポルトガルに、長く滞在したかったね」
「うん、スペインのおまけみたいに考えてて、惜しいことした……」
「理菜ちゃんがウィーンにいる間に、また一緒に行こう!ね、理菜ちゃん……?」
「あの人、すっごく気持ち良さそう……」

ドン・ルイス一世橋で気になったものは?!

目の前に、どこまでも気持ち良さそうにシエスタ(昼寝)をしている男性がいたのだ。

先ほど飲んだワインの酔いがまだ残っていたのか、私はまどろんだりウトウトしたりしていた。
「いっそ、私達もシエスタしよっか?」
みゆの名案に、私は1つ返事で賛成した。

ちょうどベンチは、私達のために(?!)、数基用意されていた。
どこまでも青い空を眺めた後、太陽に照らされる中、目を閉じた。
先ほどから私達を包みこむように吹く風、嬉しそうな鳥の鳴き声、同じようにどことなく楽しげな、川の流れが心地よく耳に届いて来る。
口の中は、まだ先ほどのポートワインの甘い味がほんのり残っているように感じる。
「昼寝って、こんなに気持ち良かったかな」
このポルトでのシエスタは、特に高揚した気分だったからか、今でもよく覚えている。

目を開けると、再びドン・ルイス一世橋が、私達を見守ってくれていた。
身体中の力が気持ちよく抜けきっているのを、感じた。

ポルト・ポートワインからの贈り物

シエスタがこんなにも気持ちよく感じたのは、きっとこのポルトという素晴らしい都市、そして甘いポートワインのおかげだろう。

また、ワインの種類や名前、味をちゃんと気にするきっかけをくれ、何よりワインを「好き」にさせてくれたのも、このポートワイン、そしてポルトだった。
ポルトガルに行かれたら、首都のリスボンだけでなく、この第2の都市・ポルトとポートワインを、お忘れなく堪能してほしい。

#休日のすごし方 #シエスタ #ワイン #ポルト #ポートワイン #ポルトガル

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