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イギリス1 出会いと別れの町・ロンドン(コンチキツアー 1-23)

<訪問国19 イギリス>
ずっと参加したかった、英語を使った国際ツアー「コンチキツアー」での思い出です。
旅にまつわる音楽を聞きながら、記事をお楽しみ下さい♪

船でイギリスへ再入国

憧れのイギリスに到着したと思ったら、即座にコンチキツアーでオランダへと出発したため、正式にイギリスに来た感覚になれたのは、フランスからドーバー海峡を越え、船でイギリスに入国した時だった。

家族の影響で大好きだったイギリスにこれから滞在できるというのに、びっくりする程ウキウキした気分にはなれなかった。
この船を降りたら、コンチキツアーは終わりを迎えるのだから。

姿を変えていた大西洋

異常な盛り上がりを見せたパリでの最後の夜をふくめ、私達はこのツアーでの数週間について語り合った。
「思い返せば、夢の中にいるような感覚だったなぁ」
「分かる。旅しながら国際交流とか、コンチキツアーならではだよね」
「Rinaは、ネイティブ以上の英語を喋るようになったね。このツアーの同窓会、絶対しような」
「6カ国で開催できるよ。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、そして日本」
「すごっ。世界旅行できるし」

私達は室内からデッキに出て、海を眺めた。
それは、最初にイギリスからフランス、ベルギーへと渡った嵐の時とも、寒さの中ライン川クルーズをした時とも違った。

ツアーが開始した時、その海はベートーベンの交響曲第6番『田園』第4楽章のような嵐で私達を驚かせたが、今は嵐の後の第5楽章のように、別人のような優しい波の音を聴かせてくれる。
全ては感動的に優しく終わる、あの第5楽章と、この快晴で温かく平和な海がなぜか強く繋がった。

「色々あった、20日間だったね」
最後の船でも、温かさに満ちた会話や展開があった。
それが、コンチキツアーならではの良さであり、マジックだろう。

再会を誓った別れ

「まだ、着かなくてもいい……」
そう思っている時程、バスは渋滞もなくすんなりと進み、あっという間にそこはロンドンの集合、解散場所のホテルだった。
同じこのロンドンのホテルで、赤の他人だった私達は出会って別れる。
私の場合、ネイティブ英語に着いて行くのも必死だったが、20日間で絆は予想以上に深まり、そしてネイティブ英語にも驚く程に慣れた。

ツアーガイド・ルーカスとドライバーの感動的なメッセージがあり、私達は彼らに心から礼を言った。
そして、ツアーメイト同士でも強く抱き合い、感謝の気持ちを伝え合った。

カナダ・アメリカでのホームステイ、ウィーンでの語学研修に続き、この時の大粒の涙が悲しくも美しいものだったことを、今でも覚えている。

この時生まれた絆は今も続き、アメリカではルームメイトのジュリーやアメリカの父・ダン、カナダではコニーやティム三兄弟、ブラジルではガルシアやカーラ達が、メキシコではセリオ達が、今も訪問を楽しみにしてくれている。

そして実際私がオーストラリアに行くことが出来た時、オーストラリアの弟・ルイスは家族みんなで私を迎えてくれた。
スペインの弟・ハビ、スペインの兄・カルロに続き、ルイスも約束を果たしてくれたことに感動した。
この再会と思い出については、更に数年先になるオーストラリア編で触れたいと思う。

ロンドンはなぜ、出会いと別れに適している?

初めてのコンチキツアーから予想以上の感動と思い出をもらい、私はロシア、スカンディナビア、ギリシャもコンチキツアーで訪れることになる。

コンチキツアーをはじめ、ヨーロッパ周遊型ツアーでは、集合・解散場所は大体このロンドンに設定されている。
それは、ロンドンが出会いと別れに適していると思われているからだろうか。
この国はなんと言っても、世界一の富と権力との出会いと別れを体験しているのだから。

自分史に残る印象的な別れの後、私には数時間後にまた素晴らしい出会いが待っていた。それは出会いというよりは、再会だった。

イギリスと日本で演奏活動をされている絹田朋子先生との、数ヶ月ぶりの再会。
美しく気品ある憧れの先生とロンドンで再会でき、何日も止まないのではと思っていた先程の涙は喜びで一気に乾いた。

「先生!」
声はガラガラでほとんど出なかったが、先生は幸い私に気づいて下さった。
「森さん!良かった、会えて!」
「私もです!」
「元気そう!あれ……すごく肌白かった覚えがあるんだけど、だいぶ焼いた……?」
「(笑)色々ありまして」
「こ……声もだいぶ変わったね?出すの大変じゃない?」
「ちょっと……。でもロンドンで先生とお会い出来てるのに、喋れずにはいられません!」

先生は私のひどい変身ぶりにも笑って応じて下さった。
器の大きい先生が、教えて頂いていた頃から大好きだった。
「今日のディナー、喉に優しいミントティーが飲める所にしよっか」
「嬉しいです。映画のロケ地みたいなレストランも、いいですね!」

印象深い出会いや別れをロンドンで

こうして、別れに涙していた学生は数時間後、笑顔で出会い(再会)を楽しむことになった。
あちらこちらで出会いと別れのある町、ロンドン。
ドラマティックな、忘れないような出会いや別れが、世界中の人々に平等に訪れて欲しい。

#イギリス #ロンドン #コンチキツアー #クルーズ #ドーバー海峡

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