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ツレは27歳年上で。

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歳の差パートナーの日常と思想を綴ったエッセイ。part1に概要記載しております。お好きな記事からお好きなようにぜひ。
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#コラム・エッセイ

【part7】やらかしとボケは紙一重。

クラッシャー森逸崎 それは私の、飲食店アルバイト時代の不名誉すぎる通り名である。 私が出勤するたびに皿やビールグラスを割ったり、新店舗オープンのために仕入れた茶碗を、同僚のスタッフから「森逸崎、絶対に割るなよ。これはフリじゃないからな、ガチだからな」と注意を受けた3秒後に箱ごと落として16個全部をお釈迦にしたことだったり、あらゆる実績によって「クラッシャー森逸崎」は名付けられた。 もちろん反省するのだけど、何しろ私はその「やらかし」の種類、というか手法が豊富なのだ。

【part8】家康殿のご指示とあらば、謹んで勝ちにいきましょう。

「二番目の女」よりも「仕事断れないイエスマン」よりも世界一都合の良い存在。それが無宗教・無神論者が取り扱うところの「神様」だと思う。 キャッシュレス神社 晴れているのに粉雪が散る景色を見て、自分がいる場所の標高が思ったよりも高いことを知る。近くの山に積もった雪が、風でここまで届いているらしい。 朝八時半。私とツレは今、日光東照宮へ続く参道を歩いている。 どんなに観光客がいても濁らないこの空気も、家康公の墓所を目前にした時の背筋が伸びる感覚も、静岡の久能山から日光への遷座

【part9】今時小学生でももう少しマシな言い訳考えるけどね。

歩くことに関しての目的は人それぞれで良いんだけど、やっぱりツレはそこんところしっかりしてた。 そう思えばそれが一番の健康法 「おー。今日は12,000歩。」 スマホの歩数カウントアプリを見て、ツレは嬉しそうに報告する。その日どのくらい歩いたのか、毎日確認しているらしい。 「へーすごい。割と歩いてるもんだね。」 「そうだねえ。今日は特に一駅分歩いたからな。一日8,000歩が目標なんだよ。今のところほぼ毎日達成してる。」 なんだか嬉しそうだ。私は思わず感心してしまった。

【part12】乳首つねってごめんなさい。

フェチは宗教用語で「呪物崇拝」のことを指すらしく、古来より「それをもっていると災厄が近づかず、幸運がもたらされる」とされてきた。 であるならば、大義名分は十分だ。 二の腕 私はツレの体のパーツの中で、二の腕がダントツで好きだ。 特に夏の半袖の時期。クーラーでいい感じに冷えた二の腕が最高である。運転中、ハンドルを握ったまま無防備に放り出されたそれは、もはや尊い。 ちなみに最初、ツレの二の腕を揉む度に私は「これこれ」と小さい声で言っていたらしい。ほぼ無意識。はたから見たら気

【part13】ありがとう。頑張る理由をあなたに置くのは、やめにする。

「信念」と言えば聞こえはいいけど、自分の首を絞めているそれを外すのに、私は随分時間を要してしまった。 信念とhave to 2ヶ月前に書いたnoteを見返して、私はちょっと、自分の必死さに笑ってしまった。 この時の私はずっと焦っていたのだ。ツレとの関係性において、誰からも認められる組み合わせで居られるように。 今思うと恥ずかしいのだけど、こう考えていた理由はおそらく2つある。 一つ目は、ツレをモチベーションにしないと、仕事に身が入らない状態にあったから。 二つ目はシン

【part14】けんほろ予防新聞、ツレに刺さる。

相手が自分を選んだ理由なんてものは、結局大して重要じゃなかったりもする。 私と付き合うメリット一年以上前、当時私が勤めていた会社の上司が発起人となり、私の上司二人とツレとの四人で飲みに行ったことがあった。 もちろん私の会社の関係者とツレは「はじめまして」な場だったのだけど、だんだん酔いも回ってきて、私と上司たちはいつものように下ネタもちょくちょく挟む会話になっていた。 その流れでいきなり上司の一人が私に対して、 「おい森逸崎、お前と付き合うメリットって何なんだよ。三つ

【part15】ドワーフってそれ、悪口だよね。

自慢じゃないけど、私は短足寸胴だ。 私の母も父も、そのまた母も父も、代々短足寸胴だ。 そんな私を見てツレが森逸崎家に付けたあだ名が「ドワーフ族」。 うるせえ黙れこの野郎、と思いながら事実何の反論もできないほど、私の家族はみんな短足寸胴だ。 先日は先日で、「似てる」というメッセージとともにこの画像がLINEで送られてきた。 ツレは最近ドラクエウォークにハマっていて、そこに出てくるキャラらしい。まあ短足寸胴ばっかりはどうしようもないし、受け入れてもらうしかないんだけど。 で

【part17】ちょっと、戸籍汚してこようかな。

多分、自分の立ち位置に今一番疑問を持っているのは、私自身なんだと思う。 強いなアンタ 求婚された。 ツレからではない。別の男性からだ。その人について詳細は濁すけど、簡単にいうと、知り合ってから15年来の友人である。 そしてその人は私にツレがいることは知っている。でもその上で、「まずはお付き合い」ではなく明確に私に「家族になろう」と提案してきた。 私は家族になるのであれば今のツレがいいし、今のツレ以外は考えられない。そう伝えるも、求婚してきたその人には、イマイチ私とツレの

【part18】待ち続けるということ

「私の過去の態度」を引き合いに出された時、思っている以上に、当時の私がツレに与えた傷が大きかったことを知る。 ◇ ツレと喧嘩じみたことをしてしまった。 「放っておいてくれ」というツレに対して私が踏み込んだら、 「自分は放っておいてくれと言って勝手に出ていくくせに、俺にはそうさせてくれないのか」とツレが言った。 私は何も言えなくなってしまった。 以前も書いたように、ツレと出会ったばかりの頃、私はだいぶ我儘で自分勝手だった。 他人に踏み入れられたくないからすぐシャットダウン

【part19】それぞれの形、居心地の良い方で。

紆余曲折あった訳だけど、私は生涯ツレと寄り添うつもりでいる。 ストン、と一本の軸が通った感覚を得た後は、ツレが私に腹を立てていようがそっぽ向かれようが、「なんだ、いつまでも待てるな」という気分で、いささかの微笑ましさすら湧いてくる。 結婚はしていない。一緒に住んでもいない。 千葉の田舎と都内の、行ってしまえば中距離恋愛。 1年前にpart1の記事を読んだ人はおそらく「変わってないじゃん」と言うだろう。実際、外から見た関係性は何一つ変わっていない。 でも今の私は、よっぽど