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テクニック別、ミュージックビデオ紹介!(1)ワンカット/マルチウインドウ

普段、アートディレクターやグラフィックデザイナーという立場で仕事をしている自分ですが、INDUSTRIAL JPという音楽レーベルを運営していることもあって、ミュージックビデオが大好き。好きな作品はたくさんありますが、今回は演出のテクニック別に好きな作品をご紹介します。

ワンカット

まずは「ワンカット」。ワンカットというのは、一度も映像を途切れさせることなく、最初から最後までカメラを回し続けた映像のこと。「長回し」とも言います。ワンカット作品をつくるときには、とにかく撮影前の事前の準備がものすごく必要。綿密に準備をして一発で成功させたいところ。映像と映像のつなぎをスムーズにして、一見ワンカットに見えるような編集方法もある。

渋谷の街で、女の子を後ろから追いかけるだけ…というシンプルな構成の作品。しかしながら、なぜだかじっと見入ってしまう。後ろ姿というのは、いろいろと想像させてしまうもので「これからどこに行くんだろう」とか「昼間なんの仕事してるんだろう」とか「どんな性格の子なんだろうか」と無限に想像が掻き立てる力がある。本編5分近くありながら、なんとなく最後まで見てしまう、秀逸な作品。事前に出演する女の子たちを待機させておき、タイミングを合わせて出てきてもらう手法だが、やはり一発OKというわけにはいかず、4〜5回は撮っているようです。TOKYO HEALTH CLUB 制作インタビュー


王様級のワンカットと言えば、こちら。何人くらいが参加してるんだろう…という、壮大さで街を練り歩いて行く。大団円、ハッピーエンド、one world、とはこのことだよ、と言わんばかりの結束感です。争いなんて、この世にない。特殊な撮影をしなくても、撮影段取、許可取りをすればここまで壮大な作品がつくれるんだなぁ…。いや、すみません。人集め、場所の許可取り、出演者が登場するタイミングなどの事前の綿密な段取り…をなめてないです。死ぬ作業なのはわかってます。本当に相当の努力を裏で感じる大作。


ワンカットとは言いつつ、ただのワンカットしているわけじゃない…!4回も同じ景色が繰り返されるが…なんと…繰り返すたび…え!?どうなってんの…魔法か…?というできごとが起きます。これは見てみるしかない。ミシェル・ゴンドリー作品はどれもシンプルで強いアイデアがあって見る人をつかんで離しません。いや…ほんとにミシェル・ゴンドリーになりたいですよ…。

ミシェル・ゴンドリー本人による制作過程紹介

パリの楕円形の交差点の中心から放射線状に道が伸びるような場所で、その中心にクレーンを設置してグルッと一周して撮影しているそうだ。

「ワンカット」再生リスト


マルチウインドウ

マルチウインドウとは、複数の窓…つまり、映像を複数に分割する技です。2画面、4画面、複数画面…分割の仕方はいろいろありますが、それぞれの画面で違う世界が同時進行するのが特徴。もちろん、時間軸が一緒だったり、同一人物が複数出現したり、まったくの同一世界だけど特殊効果としてマルチウインドウを使っていたりする例も多数。今回は、一癖も二癖もあるマルチウインドウの使い方をしている作品を集めました。

単純な上下のマルチウインドウと思いきや、エンディング近くでは、トリミングの境界が互いに侵食しあって、おもしろい視覚効果を生み出している。見たことありそうで見たことなかった演出。カメラワークもすばらしく、スピード感をものすごく感じられる…!設定や展開が不穏な感じなのもいいですよね。


マルチウインドウ…と言えば、別々の場所やシーンを同時進行のイメージがありますが、全く同じシーンを画面を分割することによって、とてもおもしろい視覚効果を出している!アナログな工夫が、精巧な合成映像以上の魅力を出してる。アナログな工夫が、ほっこりした効果を出すのはなぜなんでしょうね〜。どうやって撮ってるでしょう?わたしは、冒頭のシーンの地面に落ちる影で想像しました。

正解はこちら!

「あー…!こうなってるのね、やっぱり!」という撮影の様子が見れるようになっているので、確認してほっこりしてほしいと思います。


この作品が公開されてから、約10年たった現在…非常事態によりやっとこの様子が世界中で日常化したことを思うと、ネットワークによって世界がつながる様子をこんなにも早く視覚化しているのはすごいことだな…と…。今こそ、このビデオを見返すときなのかも。

「マルチウインドウ」再生リスト




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