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【読書ログ】『おかえり横道世之介』 吉田 修一

こんばんは。
1月末ごろからの毎日が目まぐるしすぎて、随分と前回の更新から期間が空いたような気がしてならない、凛です。
実際のところは、そんなに間は空いてませんでしたけどね^^。

書かない間も毎日コツコツ読書は楽しんでいます。
「1日1章」のペースを基本的には守りながら、楽しみを翌日にも取っておくスタイルで。


さて、今回も変わらず、「1万円選書」で選書していただいた本をご紹介します!

主人公は横道世之介。
大学を卒業後、バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食い繋いでいる男です。

と・・・これだけ聞くと「どんだけダメなヤツなんだ…」と思うかもしれません。
実際、私も最初に読み始めた頃はそう思うこともありました(苦笑)。

でも、読み進めるにつれて、世之介の物事の捉え方や考え方にハッとさせられたり、彼女(一応?)である桜子の息子・亮太との向き合い方に感心させられたり・・・していました。
「そっか、このシチュエーションでそんな声掛けしてあげるのか。亮太、素敵な大人に出会えて良かったなぁ」と思わせてもらったり^^


ただ・・・くすっと笑ってしまうぐらい面白い場面などがありながらも、正直なところ、途中までは「この本はいったい私に何を伝えたいんだろう」と問い続けながら読み進めている感じでした。

終盤ぐらいでようやく私なりに見つけたのが「善良であることの素晴らしさ」(大切さ?)です。

最後にも出てきますが、

世の中がどんなに理不尽でも、自分がどんなに悔しい思いをしても、やっぱり善良であることを諦めちゃいけない。そう強く思うんです。

吉田 修一『おかえり横道世之介』より引用

まさにこれが伝えたいんじゃないかなと思ったんです。

世之介にまつわるエピソードはたくさん出てきますが、世之介、どれを取っても、清々しいほどに「善良」なんです。
バイト先の職場で小銭泥棒の疑いをかけられ、社員登用の話が水の泡になってしまったときでも、「この人がハメたのでは?」という人に仕返しをしたり、強く出たりせず、むしろその人の境遇や状況を慮っていたりする…。

もちろん、それが「正解」ではないかもしれませんが、もし私が同じ目に遭ったとしたら、世之介のようにはいられないなぁと思うんです(おそらく、強く出てしまうタイプでしょうか)。

それに、一見何も考えていなさそうで、誰かと向き合うときの世之介が言動ひとつひとつに気を配っている様子が文脈から感じられることがあって。

(本人は無意識かもしれませんが)常に相手のこと、しかも目の前に見える部分だけでなく、背景に思いを馳せたり、少し俯瞰した立ち位置で考えてみたりできる優しさを持ち合わせているのは、世之介の強さでもあるよなぁと、特に後半はしみじみしながら読んでいました。

と思わせてくれると思ったら、普通に「もぅ〜ダメやん!」とツッコミたくなることをやっていたりもしますが!笑
←それがまた良いところなのかも^^


あとは・・・世之介がそんな風に考えるシーンにあった通り、人生いろいろなことがありますが、自分のなかで「ダメだったなぁ」と感じる時期があったからこそ、出会えた人もいるわけで。
もし今がどん底だったとしても、そのとき周りにいる人たちを大切にしながら、日々を楽しく歩いていこうとすることって、すごく大事なことなんじゃないかな、と思う今日この頃。

世之介自身も、世之介の周りにいる友人たちも、物語のなかでいろいろな出来事がありますが、その度に世之介の存在はもちろん、周りの仲間たちの存在に励まされていたりするんです。

それって、私たちの日常もそうなんじゃないかなって思います。

何気ない日常、身近な誰かが最高の宝物。
そして、どれだけ自分にとっては”ダメな時期”だったとしても、私たち自身の存在が誰かの励みになっているかもしれません。


なんだか・・・上手くまとまりませんが(苦笑)、そんなことを感じながら、ほのぼの楽しく読ませていただいた本でした。

「選書していただいたので、何か意味があるんだろうな」と思っていたのもあり、中盤ぐらいまで「何を伝えたいんだろう」の方にフォーカスし過ぎていた部分があったので、もう一度ストーリーを楽しむ方重視で読み直してみたいかもしれません^^
※「本から何かを学ぼう」と意気込んでいるときの私は、こういうことありがち^^;


今も絶賛新しい本を手に取って読み進めているので、また近々書きますね!
まだまだ寒い日が続きますが、お身体に気をつけて、お過ごしください。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!!


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