『私のディスレクシア』 感想
はじめに
ディスレクシアって何?と聞かれて、スラスラと答えられる人間は、きっと心理や福祉、精神畑の人なんだろう。残念ながら私はそういう畑で育った人間ではなく、図書館で偶々見つけて、初めてディスレクシアという症状を知った。
そして驚くべきことに、自分もどうやらディスレクシアらしい?と気づいて、この感想文を書くに至った訳である。
ディスレクシアとは?
カタカナ語が苦手な私は、『ディスレクシア』という単語をうまく認識出来ない。『ディスクレシア』などと何度も間違えて発音してしまう。なのでディスレクシアの和名、読み書き障害(本書帯より引用)の方を出来るだけ本記事では使わせてもらう。
読み書き障害とは、学習障害(LD)のひとつのタイプで、全体的な発達に遅れはないのに文字の読み書きに限定した困難があり、その事によって学業不振などと言った二次的な学校不適応などが生じる疾患、の事らしい。(※1)
単語の読解の正確さ、流暢さに困難を抱える障害(※2)らしく、知的レベルはめっちゃ高いのに読解力だけ低いから、学業とか仕事に障害が生じてしまう。
更に、WHOくんによれば、『知的発達の障害、感覚障害(視覚または聴覚)、神経障害、教育の欠如、学術指導の言語の熟練度の欠如、心理社会的逆境などが原因ではありません』って明記されてるので、本当に「読むのだけがしんどい」って状態の子のことをディスレクシアって云うっぽい。
読み書き障害の初期症状
国立成育医療研究センターが出している、読み書き障害を持つ子供の初期症状を以下にコピペする。(※1)
幼児期には文字に興味がないし、覚えようとしない
文字を一つ一つ拾って読む(逐次読み)
語あるいは文節の途中で区切ってしまう
読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む
文字間や行間を狭くするとさらに読みにくくなる
初期には音読よりも黙読が苦手である
一度、音読して内容理解ができると二回目の読みは比較的スムーズになる
文末などは適当に自分で変えて読んでしまう
本を読んでいるとすぐに疲れる(易疲労性)
読み書き障害の根底には音韻処理困難があり、表記された文字とその読み(音)の対応が自動化しにくい(※1)って書かれてたので、単純に書かれている初見の文章が頭に入って来辛いって感じなのかもしれない。
なんというか、書面上に存在する文章と、自分の頭の中で流れている思考とか言語の距離があって、そのせいで読むのが大変になっちゃうみたいな感じなのかなぁと推測する。というか、僕はそんな感じである。
読み書き障害への対応
個人的な意見としては、音で聞くのが最強だと思っている。例えば、サピエ図書館のデイジー図書を活用したり、Amazonのaudibleを使って読書するのが良い。
学校の勉強に関しても、先生の話を耳で聞いてやり過ごしていた気がする。実際この本の著者も、授業は耳で聞いてたらしいし。
学校の授業は聞いてたら分かると云う人は、もしかしたらディスレクシアかもしれない。家で勉強出来ない、文字が読みづらく、自分ひとりじゃ勉強出来ないから、学校の先生の話を必死になって聞く。結果として「俺、学校の勉強とか、聞いてたら分かるんだよね」ってなる説を勝手に唱えようと思う。
尚、テストになると文字を読まなくてはならなくなるので、点数は取れない。どうだろ、こんな人結構居そうじゃない?
フォントを変えてみる
こういう人への合理的配慮としては、文字のフォントをUDフォントにしてあげるとか、文字の行間を広く取って上げるとかするのが良いと思う。明朝体からゴシック体にしてあげるだけでも、だいぶ読みやすさが変わるので、世界はUDフォントに包まれればいいと個人的には思っている。
UDフォントの例
ちなみにWindows だとUDデジタル教科書体という神フォントが最初から入っているので、そっちをwordで使うのもオススメです。
読み書き障害を持っていない人にとっても、読みやすいフォントだと思うので、公文書とかそういうのもこういうフォントになると良いよねーって個人的には思っています。
音声で聞かせてあげる
本を読んでて思ったのが、『話せば分かる』という事である。話してもどうせ分からないから説明しない、というのが読み書き障害の子達への虐待やいじめそのものなんだなぁ…というのがよく分かった。
一番衝撃的だったのは、担任から「いいわね。絵を見て、読んでるふりをするのよ」と言われたというエピソードだ。「スラム街の多くの教師は生徒数の多さと、様々な欲求不満に苦しんでいて、訓練を受けておらず消耗しきって、」と筆者はフォローを入れているが、中々読んでて苦しいエピソードである。
人間が辛抱強く、喋って説明するのには限界がある。生成AIがいっぱい喋ってくれたら、読み書き障害の子もこういう勉強への負担から開放されたりするのかな?と個人的には期待してみた。
リーディングルーラーを使ってみる
本を読みやすくするツールとして、リーディングルーラー(例によって覚えられずリードルーラーと検索しまくった)なるものが有るらしい。
読んでる場所を定規みたいなやつで分かりやすく示してくれるらしく、そういえば図書館とかにも置いてあったのを見たことがある。
手作りできそうだったり、普通に定規使えばよくね?と思ったので私は買わないが、取り敢えずこんな感じだよーってリンクを貼って置く。
『いじめの幾分かはいじめられる側が無力感を持ち、理性的に考える能力を使えなくなることによって成り立つ。』
本文中でなるほどなぁと思った文を抜粋する。虐められちゃう子は、自分に自信がなくなってしまった子である。今回の本にからめて言うならば、文字が読めない事によって、「自分はこんな簡単な事も出来ない…」と自信を喪失してしまった子が虐められてしまう。
これを、そういう障害っていうか、個性として認めてあげる事で、その子の自信がなくなってしまう事を防げるんだろうなぁと思った。他にもこういう人居るし、君は孤独じゃないんだよ!って言ってあげる事、そしてそういう情報を拡散させる事が、無力感をなくし、いじめの防止なんかにも繋がって行くんだと思う。
まとめ
あの子はこういう障害を持っているから、という中途半端な知識が蔓延する事によって、それが差別へと変化する。自分が差別しない為に、色々な障害や人について知るのは大事だなぁと改めて思った。
まあ、全人類について知るのは無理なんだけどさぁ…。
※1 ディスレクシア 国立成育医療研究センター
※2 6A03.0 読解障害を伴う発達性学習障害 (WHOのICD-11)
※3 サピエ図書館
※4 audible
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