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<シェア記事>先進国で保育施設を1日11時間も開けているのは日本ぐらい(東京大学名誉教授・汐見氏)ほか


・「子ども第一」の制度へ 東京大名誉教授・汐見稔幸氏インタビュー【届かぬ声 子どもの現場は今】(2023年4月28日)


―保育現場はやりがいを感じながらも、回答者の6割以上が多忙感を「非常に感じる」と答えるなど負担感の大きさが浮き彫りになった。
 「保育現場の忙しさは保護者の労働時間の問題と密接に結び付いている。先進国で保育施設を1日11時間も開けているのは日本ぐらい。経済協力開発機構(OECD)の調査で、日本の給与所得者の労働時間は年2000時間ほど。フランスやドイツは1400時間台、オランダは1200時間台。そういう国では夕方には保護者が子どもを迎えにきて、園も門を施錠してしまう。そういう方向に努力し生産性も上げてきたが、残念ながら日本は長時間労働に本気でメスを入れてこなかった。日本の保育政策は子どもの幸せというより、女性労働力をいかに確保するかということに重きを置きすぎていたのではないか。そのしわ寄せが保育現場、ひいては子どもに向かっている」

…1年前の記事です。汐見先生の言葉はもっと重く受け止めるべきと思いますが、「先進国で保育施設を1日11時間も開けているのは日本ぐらい」「残念ながら日本は長時間労働に本気でメスを入れてこなかった」「日本の保育政策は子どもの幸せというより、女性労働力をいかに確保するかということに重きを置きすぎていたのではないか。そのしわ寄せが保育現場、ひいては子どもに向かっている」…いつもこの手の提言はあまり話題になりません。

この記事は、皆さんの記憶にも残っていると思うのですが、2022年9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」の通園バスで、当時3歳の園児河本千奈ちゃんが置き去りにされ亡くなるという、痛ましい事件に関する記事で、静岡新聞で連載されていた中の一部です。現在もこちらで読めるので、未読の方ぜひ読んでください。たまたま起きた事故というよりも、起こるべくして起きた・この園だけでなくまたどこかの園で同じようなことがいつ起きてもおかしくない…と思わざるを得ないような事実が浮かび上がってきます。



・保育士の立場守れてる? 暴行事件に広がる不安、汐見稔幸さんの視点(2023年2月16日 )

 もともと、保育の仕事について、専門性やその意義について、社会の理解が進んでいないことも今回の背景にあると思っています。
 子育て経験のある人なら誰でもできる仕事ではないか、そんなに専門性や権利も必要ないのでは……という意見が、まだあると感じています。
 厚生労働省が管轄する資格には、医師、看護師、助産師、社会福祉士介護福祉士などいろいろあります。
 そして、今あげた資格には、すべて「医師法」「保健師助産師看護師法」「社会福祉士及び介護福祉士法」が規定されており、立場や職務上の責任などが法律によって規定されているのです。
 しかし、保育士については、児童福祉法の条文のなかで、立場が規定されているだけで、独立した法律がありません。他の資格にはあるような、身分や立場を守るための法律が、保育士にはないことが大きな課題だと感じています。

…保育士の専門性などと言ったところで、その立場を保証する独立した法がないのが保育士です。こうした社会的に守られていない、偏見の中で、どのようにその専門性は発揮できるのでしょうか。


・【てぃ先生×大豆生田啓友】9:30~保育の質と社会への影響「今気になっているのは配置基準より保育時間」「国際的に見ても超長時間保育」「保育園の制度を変えるより、社会の働き方を変えたほうがいい」「保育を開いて子育てと繋がる」

9:30~
「…僕らが配置基準よりも今気になっているのは、保育時間です。つまりこれは国際的に見ても超長時間保育です。こんなに長時間あずかっている国はあまりないです」「本来保育園の制度を変えるよりも、社会の働き方を変えたほうが絶対に良いのですけれど、どうしてもそうはならない」「社会全体の労働時間のところに、どうメスを入れられるかの方が大事かなという気がしています」

…最後、保育園の情報が開示されて、家庭の子育てと繋がっていくことが大事というお話、私もその通りだと思いました。


このような保育の専門家からの「長時間保育への警鐘」は、いつもあるのですが、なぜかあまり話題になりません。私もツイッターで発信していたこともありましたが、議論にならない反応が多く、今は発信方法・場所を変えています。本当は全体の仕組みとして変わることを望んでいますが、「どうしてもそうはならない」と配信でも言われている現状なので、届く人に届いて、個人で対応していくのが今のところの最善かなと思っています。




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