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保温折衷苗代ってなんだろう?

苗代ってなに?


苗代とは苗を育てるベットのことです。苗床とも言います。
苗代は時代によっていろんな形をとってきました。2022年現在は苗箱に種をまき、ビニールハウスで育てるというのが主流です。ビニールハウスがない時期や苗箱がない時代はどのように苗を育ててきたでしょうか。

苗代の変遷


〇水苗代
田んぼの一角に苗床を作り、苗床を常に水がある状態に保ち苗を育てます。水は保温性が強いので、寒い時期にも育苗できます。しかし、水が多いので根の張りが弱いです。雑草は小さいうちに水をさらすと抜けるので、発生を抑えることができます。


〇陸苗代
水を張らない苗床に種をまき、苗を育てます。水は水路などを作って引っ張ります。陸苗代の場合、水を求めて根が伸び、根の張りがよくなります。しかし、種や芽が地表に出ているので鳥の被害にあいやすくなります。


〇保温折衷苗代
水と陸のいいとこどりの苗代です。初期は湛水で保温し、後期は水を抜き、根を伸ばします。特にもみ殻、油紙で被覆した物は初期生育が早く、早く田植えができます。気温が低いうちに田植えができると、秋に高温にさらされることなく、品質が良い状態で収穫できます。苗を短い日数で育てられるメリットがあり、保温折衷苗代は寒冷地を中心に広まっていきました。のちにビニール資材や保温機を用いた保温の仕方に変わり、今もその形が引き継がれています。


〇箱苗代
現在はプラスチックの苗箱に播種をし、ビニールハウスに並べるやり方が主流です。保温するための寒冷紗やラブシートといった資材も普及し、保温しやすくなりました。保温をするのが当たりまえだと思っていたので、昔は外でじっくり育てていたということに驚きました。保温折衷苗代は大きな転換点だったのですね。この栽培方法を見つけた荻原豊次さんのような探求心に憧れます。

おわりに


今は路地やプール育苗などいろいろな育苗方法が出てきています。どれだけ省力化し、作業時間を短縮できるか、そういう方向で変化していくでしょう。これから先、直播に戻るのか、それともまたいいとこどりをするのか。どんな育苗方法が出てくるのか楽しみです。


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