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営業とエンジニアの本質的な対立

こんにちは。3日間営業をし続けたRimo合同会社のエンジニア兼代表の相川です。

実はこの3日間AI・人工知能 Expoというのに出ていて、3日間立ちっぱなしでした。過去の人生振り返って、10年であったかないかぐらい立つということに関して頑張った3日間なのですが、すごく学びがあったので共有したいと思います。
今日に関しては1エンジニア視点での学びが多いのでエンジニアの方や営業の方に向けて書くつもりです。

ちなみに写真は、自分の友だちが来てくれたのに話しかけられなかったといってとってくれた写真です。

そもそもなんで展示会に出展したか

実はRimoのAI文字起こし/議事録プロダクトのRimo Voiceは、初期のリリースのとき想像以上に大企業からの引き合いが多い製品でした。要因としてはリリースのタイミングで日経新聞や日経MJに取り上げられたというのが大きいのかもしれないのですが、日本のAI/DXに関心がありそれ専任で人がしっかり張り付いているのは、スタートアップや中小企業ではなく大企業だというのが学びでした。

もともとRimoは、音声認識エンジンで優れているのは産業でも研究でもアメリカや中国であることが多いので、日本の生産性を考えたときにアメリカや中国に更に差をつけられてしまうかもしれないという危機感からやる価値を感じ始めたサービスでした。なので日本の生産性をあげるという意味で大企業の人に興味を持っていただけるのは嬉しかったわけです。
ただ、徐々にPRという露出ではなくMarketingなどになってくると、SEOなどでも営業電話などでも使ってくれるのは中小企業ばかりとなり大企業には届くこともないという日々が続いていました。そんな中で設立したばかりの会社でも大企業の人の目に留まる機会としていいのではないかと思い、値段の高さにびっくりしつつ出展を覚悟しました。笑

実際どうだったか

自分は、展示会に出るのははじめてだったので正直素人過ぎて今日の成果が成功なのか失敗なのかも判断がつくほどの経験は持っていません。けれど、とりあえず業者にどのくらいすればいいですかねと聞いて刷ったビラの1500枚は2日目の途中でなくなり、慌てて3日目に向けて刷った1000枚も3日目の途中でなくなりました。

お陰様で、自分たちのやっていることのニーズが確かにあることを知った一方、皆さんが使うためには、オンプレのハードルや、まだまだ英語圏でも制度が高いわけではない話者分離の問題や要約のもんだいなど様々なハードルがあることも知りました。

メンバーの教育的にも良かった

お客様に色々聞かれてはじめて、自分がわかってない領域に気づいたりするものです。自分は、自分で作って自分で売っているので、売り方は下手かもしれないですが聞かれて答えられないことはないのですが、この3日間一緒に協力してくれたスタッフのメンバーは違います。聞かれてはじめて、自分がよくわかっていないことに気づく問題も多くあったようで、今後想定問答集が洗練されていく気配がムンムンします。

一方で、メンバーの質問を聞いたり、お客さんの質問を聞いたりしている中ですごく危険だなと思ったこともあるので、その話もここで皆さんに共有したいと思います。それは、

応えるべきではないニーズに対して、応えようとしてしまう欲求が高まりすぎる

ということでした。

実際自分も作ってる側なので、「すみませんできません」というのが本当は誰よりも悔しいところなのですが、一方でやってはいけないことも把握しているつもりです。

選択と集中するフェーズであるということ

自分たちは大企業ではなくリソースも少ないので文字起こしのニーズの中の限定的な部分にフォーカスをせざるを得ません。今の所Rimo Voiceは
・人手で文字起こしをしているの直接のニーズ
・会議を議事録をとっている人のニーズ

に対しては、明確に応えようとしています。「はたらくを未来に」というビジョンに対しての直接的な答えでもあると思っているので。

なので、動画の字幕に対するニーズや、英語の文字起こしに関するニーズはやらないし気にしないとは言わないまでも、上で上げた人が言うニーズよりは優先度を落とすべき思っています。

使っていない人のニーズと、使っている人のニーズが異なるということ

実は上記の部分までは、結構当たり前でわかっていたことでもあるのですが、今日明確に感じたのは、特に展示会で営業をしていて感じるニーズが、普段エンジニアをしていて感じるニーズと本質的に異なるという点でした。

これは、どちらもユーザーのニーズという点では同じとして扱われたりしているものであることが問題を厄介なものにしています。よくニーズとシーズみたいな話は言われますが、そことも違うわけです。

例えば、ニーズがあるけどシーズ的にもう少し後でやったほうが良さそうなことは、0からの話者分離と議事録の要約です。この2つはニーズは高いですが、研究レベルや英語で実際にできているもののシーズから考えると、日本語での実用には1年という期間で考えるとまだ遠いはずです。1年成果が出ないものを目標にするとメンバーの気持ちも離れていったりしてしまうので、もう少し短期で成果を出せるものを積み重ねていきながらそこに挑戦していくべきだと感じています。

流れでシーズの話をしてしまいましたが、

1. 営業が感じるニーズは、まだ使ってもいない人が使うための理由
2. エンジニアが感じるニーズは、今使っている人がより使ってくれるための理由

であることが大きく違うと思いました。

例えば、1.に当たる質問は、以下のものです。

・別言語に翻訳する機能はありますか?
・電話の中身を文字起こしする機能はありますか?
・オンプレでできますか?
・放送のために遅延なくリアルタイムで文字起こしできますか?

そのお客様にとってはそれがないと使えないので、ある意味トッププライオリティな話です。

一方、2.に当たる質問は、以下のようなものです。

・領収書出せませんか?
・自動で保存できるようにできませんか?
・共有できる人をより細かく設定できませんか?

1の営業が感じるニーズに関しては、結構な確率で製品を0から作り直すような要望であるようなものであるため、エンジニアと議論すると、その工数の予想から話にもならないことがあります。一方2のエンジニアが感じるニーズは少し既存ユーザーが喜んでもアップセルにもつながらなかったり、長期的な価値向上につながっていない可能性もあったりします。

2つは交わらないのか?

実は上の例はなかなか交わらなさそうなものを選んで書いたのですが、両者のニーズが合致するところもあるとは思います。とはいえすごく割合としては少ないなという印象を受けました。
どちらを大切にすべきかというのは、なかなか難しくて、自分もなんとなく思っていることはあるのですが整理できていないので今書くのはやめておこうかと思っています。
ただ一つだけ言えるのは、どちらもちゃんと正論だし大切だけど大きく方向性が違うということです。なので、うまく対話をするひつようもあるけれど、実際お互いを体験しないと本当にわかることはないのかもなと感じてしまうほどの差がありました。

どうすればいいは書けないですが、これをお互いに知っておくのが一番の解決法な気がしています。

最後に

実は、今日の内容は結構怖い内容を書いていて、もしユーザーの方が見て自分があまり力を入れないと書いていることを期待されている方だった場合離れていってしまう可能性がある話なのですが、世の中全体で、営業とエンジニアの対立(最近は無関心構造をあえて作ることで解決している企業が多い)の本質的な原因が両方をやっている立場として目に見えたので、これを言葉にしてあげたほうが世の中のためになるのでは?と思い書いてみました。

どっちにころんだとしても、ぜひRimoをよろしくお願いします。なにとぞ。

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