退職者との向き合い方

こんにちは。Rimo合同会社で代表社員をしている相川です。今日は少し重い話題と思いを書こうと思うので、常体(だ・である調)で失礼します。


ついにこの日が来てしまった。

自分が経営者になると決めた時から避けて通れない道の一つ、自分の作った会社を辞める人が出るということだ。

自分が会社員の時でも、誰かが辞めるというのはショックだったが、それがその会社を作った人間であればそのショックがより大きいのは当たり前だ。
さらに難しいのが、それでも何事もなかったかのように会社を運営し続けないといけないし、他の社員のショックや、もしかしたら批判感も受け止めなければいけない。

正直こういうことがあった時なので、心を閉ざしたくなる気持ちもあるけれど、こういうことの向き合い方は会社を作る時から大切だと思ってきたし、あまり書かれない情報なのでこれから会社を起こそうとしてる人の参考になるかもしれないので、書くのが難しい内容だけれど書いてみようと思う。

なお、自分はこのことは全て自分の責任だと思っているし、だからこそ、小さい組織の運営に関する本を何冊も何冊も買って読んだ。なので、その知見も含めて話すつもりだ。一定の汎用性はあるばずだ。

その人ありきで会社が回ってきたということ

まず、わかりやすいように自分の会社と今回退職する方の役割を簡単に紹介しておく。

自分たちの会社は副業中心で既に60人くらいの人とは関わりがある。なので、実は小さいレベルの入社や退社のようなものは何度も経験している。ただ、だからこそフルタイムで働いてくれている人はレアで重要であるとも言える。(うちは副業メンバーもかなり重要な役目を持ってる人が何人もいるので重要という表現が難しいのだけれども)

今回の退職者の方はRimoの一つ目の製品であるRimo Voiceをリリースする前に主にカスタマーサポートの役割として入社してくれた。実は、自分は全員副業で回してみようかとも思っていたけど、次の2つの理由で正社員にした。

1. ユーザーの人たちの問い合わせやサポートは毎日人が変わるとかだと申し訳ないしうまくいかないかもと思った。自分はメインがエンジニアなのでそこまで自分でやってしまうと開発が滞る可能性があった。
2. 年齢的にも育休などを使う可能性があり、今までそこの保険金も払っているのにフリーランスになりそれが使えないのも損だし、なにより安心をあげたかった

実際サービスが出ていなく、どんな仕事になるかわからない段階で飛び込んでくれた勇気に感謝しているし、実際はサポートの他にも、営業や色々な書類系な作業、他ビジネスメンバーのメンタリングなどなど、Rimoの顔となる部分の役目は一心に引き受けてくれた。

その人の穴をどうするのか

それから一年強がすぎた中、今回の話になった。細かい話は避けるが、一言で言えば、すごく責任感の強い方なので頑張りすぎてしまったのだと思う。
一年以上仕事をやってくれていたら、その人しか知らないことやできない事も当然出てくる。その人なしでは回らない状態だ。もちろん引き継ぎはしてもらうのだが、引き継ぐ人がいない事や、自然にやっていて言語化できていないタスクやノウハウも沢山ある。

こうなったとき必死で代わりになる人を採用することも正直考えたけれど、「確かに!」と思える本と出会えた事で考えが変わった。
その本に書いてあった重要なポイントは以下の3つ。

1. そもそも、小さい会社の大企業にない魅力は、「その人なしでは回らないからこそ、自分の価値を感じながら仕事をしていくことができる」こと
2. だから、小さい会社であること決めた時点で退職者の痛手は常に起こるので、それを常に受けとめる覚悟を持たないといけない。逆にいなくても困らないようにすることはその人の存在価値を否定することや働きがいを無くすことと等しい
3. その人がいなくなる時は、その人の代わりを探すのではなく、その人がいない前提で業務全体を再構築した方が良い

引き継がれた人も加点方式で働けるように

結論は、最後の一個なんだけれど、これが納得感があるのは、結果的に今いるメンバーの得意不得意に合わせて今の形があるのだから、ある人がいなくなった時にその人がいないで成長した別の未来を考えた方が自然だよねという。
上のはうまく説明できてないかもしれないけど、これは特に新しく雇われた人とか、引き継ぎされた人にとって良いことだと本当に思った。新規に構築してきた人は基本加点評価でここまで仕事してこれたけど、引き継ぎされた側は基本減点評価で仕事することになってしまう。

それは新しくその仕事をやる人にあまりに申し訳ない。うちの場合もたまたまそのタイミングでフルタイムとして入ってくれた人もいるし、副業として入ってくれてそれを引き継いだり、既存の人が忙しいなか追加で引き継いでくれたりする。その人たちはもちろん今まで通りやるのも大事だけど、省略したりアレンジしたりするのも全然アリだし、一時的にちょっとマイナスになる点があっても許容していければと思った。

具体的にはどうやっていくか

まだ実行途中なので、どうなったかみたいな確信めいたことは言えないけれど、実際には、以下をやったと言えると思う。

・元々のタスクを言語化してリスト化してもらい5人以上の人で分担した
・より仕組みとしてしっかりしないといけない部分は、よりシステム(つまり人じゃなく機械)によって担保する様に変えた
・直近予定していたリリースとか新しい変化要因は素直に諦めた

実際にやる途中で、こんなことまでやってくれてたんだみたいに勉強になって他の人もやったらいいなってことも、これは正直簡略化して機械にやらせたんでいいなみたいなこともでてきて、分解してみることで前よりも良くなるポイントも見えてきたりした。

まとめ

以上のことをまとめると、

・小さい会社は人が抜ける痛みは常にあるから、それを受け止め続ける覚悟を持つ
・その人の代わりを探すのではなく、みんなでその穴を塞ぎ全体を再構築する

が大事なのだと思う。

自分ごととしては、自分の会社は良い会社だから退職者もいないし、10年20年働き続けてもらっても新しい学びや挑戦があり続けると思っちゃうのは流石におごりが過ぎるので、この機会に改めてこういう問題を見つめ直せてよかったと思う。

あとは、ここまで話してちょっとズルいかもしれないが、この退職する方はちょっと休養をとった後、副業(業務委託)としてうちの仕事も続けてくれる。感謝。
これは副業組織の強みかもしれないし、僕らだけじゃなく退職ではまぁまぁ聞くパターンではないかとも思う。

余談: 引き止めないのか

他のメンバーに、「引き止めなかったんですか?まだやれそうに見えますよ。」と言われたこともあるので一応書いておく。
自分は経験上、会社が社員を引き止めるときはどちらかと言うと「社員のためというより会社のために引き止める亅事の方が多いように思いていた。なので僕は続けてほしい気持ちは伝えつつ強く引き止めることはしなかったように思う。冷たいのかもしれないし、経営者として弱いのかもしれないし、わからないけれど、自分はそうしようと思った。

最後に

今までは、一般の読者にもわかるように書いてきたつもりだけれど、Rimoの会社のメンバー、特に当事者にメッセージを書きます。

Rimoのみんなはより具体的にイメージできる分ショックな内容もあるかもしれません。もし間違っていたり気を悪くするような内容が含まれていたらごめんなさい。許してください。
ここに書かれてる当事者はもちろん、特に勝手にリリースとかを遅らせたり、自分が別のことに忙しくなったせいでモチベーションが削がれた人とかもいると思ってます。
ネガティブな面はいろいろあるかと思いますが、こうやって少しずつ強く成長していくと思うので一緒に協力いただけたら嬉しいです。

他の一般読者の方は、退職の際は、辞める人、残る人、全ての人に優しくしてくれると嬉しいなと思っています。

それでは。


はたらくを未来に
Rimo合同会社代表社員 相川直視

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