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仮説検定・統計量の公式まとめ

仮説検定とは、母集団の特性についての仮説(母平均、母分散、母比率など)が正しいか否かを検証する統計的手法です。どのような標本分布にしたがうかを整理し、検定統計量を求めます。

Z-スコア(正規標準分布)

母平均の仮説検定(分散既知)
$${Z = \frac{\overline{X} - \mu_0}{\sqrt\frac{\sigma^2}{{n}}}}$$
 データの値から母平均を引いて、母標準偏差で割る(標準化)

母平均の「差」の仮説検定(分散既知)
$${Z = \frac{{(\bar{X}_1 - \bar{X}_2) - (\mu_{1,0} - \mu_{2,0})}}{{\sqrt{{\frac{\sigma_1^2}{n_1}} + {\frac{\sigma_2^2}{n_2}}}}}}$$
※$${\mu_{1,0} - \mu_{2,0}}$$を0とする

二項分布の仮説検定(確率変数Xの正規化)
$${z = \frac{X - np_0}{\sqrt{np_0(1 - p_0)}}}$$

母比率の仮説検定(サンプルサイズ大)
$${Z = \frac{\hat{p} - p_0}{\sqrt{\frac{{p_0 \cdot (1 - p_0)}}{n}}}}$$ 分子も比率(サンプルの成功数ではない)


母比率の差の仮説検定(2標本)

$${Z = \frac{(\hat{p}1 - \hat{p}2) - (p{1,0} - p{2,0})}{\sqrt{\frac{{p_{1,0} \cdot (1 - p_{1,0})}}{n_1} + \frac{{p_{2,0} \cdot (1 - p_{2,0})}}{n_2}}}}$$
※$${(p{1,0} - p{2,0})}$$は0になることが多い

T-スコア(t分布)

t分布は、標本が小さい場合や母集団の標準偏差が不明な場合に使用

母平均の仮説検定(分散未知)
$${t = \frac{\bar{X} - \mu}{\sqrt{\frac{\hat\sigma^2} {n}}}}$$ t(n-1)
 分母は不偏分散を使った標準偏差

母平均の「差」の仮説検定(分散未知)…2つのグループの分散を等しいとする場合

$${t = \frac{{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}}{{\sqrt{\frac{\hat\sigma^2}{n_1} + \frac{\hat\sigma^2}{n_2}}}}}$$
※ $${\hat\sigma}$$はプールされた分散

χ²(カイ二乗)スコア

母分散の検定

$${\chi^2 = \frac{(n - 1)\hat\sigma^2}{\sigma^2}}$$
 自由度(n-1)のカイ二乗分布に従う

F-スコア

母分散の比の検定(2標本問題)

$${F = \frac{\hat\sigma_{x}^{2}}{\hat \sigma_{y}^{2}}}$$
※ t値を二乗するとF値になる

母分散の仮説検定の流れ

正規分布した母集団から得られるデータの母分散の仮説検定には、カイ二乗分布を用いた検定が一般的に用いられます。
母分散 $${\sigma^2}$$ に関する仮説検定の枠組みは次の通りになります。

① 帰無仮説((H_0))と対立仮説((H_1))を設定

  • $${H_0: \sigma^2 = \sigma_0^2}$$ ($${\sigma_0^2}$$ は既知の母分散)

  • $${H_1: \sigma^2 \neq \sigma_0^2}$$(双方向検定です。一方向の場合は、$${\sigma^2 > \sigma_0^2}$$ もしくは$${\sigma^2 < \sigma_0^2}$$

② 観測データ (X_1, ..., X_n) の標本分散 $${\hat\sigma^2}$$ を計算します:

$${\hat\sigma^2 = \frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^{n}(X_i - \overline{X})^2}$$

ここで$${ (\overline{X})}$$ は標本平均です。

③ 検定統計量 (Χ^2) を計算します:

$${Χ^2 = \frac{(n - 1)\hat\sigma^2}{\sigma_{0}^{2}}}$$

この検定統計量は自由度 (n - 1) のカイ二乗分布に従うと予想されます(帰無仮説のもとで)。

このカイ二乗値を計算し、それが予期するカイ二乗分布の臨界領域に落ちるかどうかを確認します。臨界領域に落ちると、帰無仮説を棄却します。双方向検定の場合、この臨界領域は分布の両側にあります。

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