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1人の限界を知り、周りの協力を得よう (データサイエンティストが学ぶビジネス その3)

はじめまして。
普段IT系の会社でデータ分析やシステムの開発・運用などをしているrilmayerというものです。

データ解析職として新卒で会社に入社してから3年目に突入したので、会社での学びを自分なりにまとめて共有していこうと思います。
自分が新卒の時に知っておきたかったことや、振り返ると重要だったなぁと思うことをいくつかテーマとしてピックアップして掘り下げていこうと思います。

今回のテーマは「1人の限界を知り、周りの協力を得よう」です。

1人でどこまでできますか!?

当たり前ですが、会社での仕事はほとんど複数人で進んでいきます。
今回の記事では「自分でできる限界」と「周りの人たちに協力を得るために必要なこと」について説明したいと思います。

ということでまずは以下の図をご覧ください。

この図は、業務の中で行う仕事について(その仕事が複数の独立した作業によって構成される場合に)、「1人でできるかどうか」という観点からどんな作業があるかを示したものです。

仕事で成長すると青い点線や赤い線がグググっとずれていき、相対的に自分1人でできる作業が増えていきます。一方で仕事の難易度が上がると一番外側の枠線が広がっていくので、相対的に自分1人でできる作業は少なくなります。が、このあたりの話は今回の趣旨とはずれてしまうので、上記の説明に留めます。

さて、仕事で行う作業については「自分でできる作業」と「自分でできない作業」に分類できます。
「自分でできる作業」は上の図の水色に塗ってある「業務時間内であれば自分1人でできる作業」に相当します。入社してまず知るべきはこの領域の限界(図の点線)です。

大変厳しい1年目

ここで少し自分の体験を振り返ります。
自分の入社1年目は所属していた部署の育成方針によりパンクすれすれ(というかややパンクする量!)の仕事量を振っていただいておりました。
日々こなしきれない仕事と対峙し、仕事が溢れるようになってくると自身の処理能力の限界がわかります。

処理能力の限界を超えた仕事をすると、以下のようなアクションを取ることになります。

1. 誰かに頼み込んで仕事をやってもらう
2. 優先度をつけて仕事に取り組んで、ちょっとずつ仕事が溢れていく(溢れたいくつかの仕事はやらない or できない)
3. 途方にくれて泣く(と先輩社員や上司が仕事を減らしてくれる)

当時の自分は「2. 優先度をつけて仕事に取り組んで、ちょっとずつ仕事が溢れていく」の方針で仕事に取り組んでいました。

そうした日々で積み上がっていく仕事、終わらない作業を見つめながら気づいたことがあります。それが「スキル限界」と「リソース限界」という考え方です。

リソースの限界とスキルの限界

「1人でできない作業」を分解してみましょう。
自分で何とかできるが時間がないためにできない作業と、スキルや権限がないためにできない作業があります。
私は前者を「リソース限界作業」、後者を「スキル限界作業」と呼びます。

■リソース限界作業
無限に時間があればできるかもしれないけれど、時間がないためにできない仕事完遂のために必須な作業です。
例えば、4つの異なるアンケート調査の集計を明日までに行わなければならないのに、半日立って1つしか終わっていない状況などがそうです。そのほか、テレアポ(電話営業)を今日中(8時間=480分)に100件しなくてはならないにも関わらず、1件5分かかる場合、100 - 96[480 / 5] = 4 件がリソース限界作業となります。

■スキル限界作業
自分1人ではどう頑張っても完了するのが厳しいけれど、仕事完遂のために必須な作業です。
例えば、エンジニア職の人が営業を行ったり、マーケターの人が法務を行ったりする厳しさを指します。

他人の力を借りることを知る

どんな時に周りの人の協力が必要になるかを確認してきました。
仕事の全体像を整理した時に「ここから先の作業は限界だ・・・」という作業を事前に把握した上で、作業を進めながら周囲に協力をお願いしておくことが重要です。

おそらく新入社員のうちからリソース限界で協力をお願いすることはあまりないかもしれません。というのも、上司や先輩が自分自身で解決できるサイズの作業にしてくれる可能性が高いからです。
何にせよ自身が周囲に協力を求める際にそれが「リソース起因なのか」それとも「スキル起因なのか」を意識するが重要です。

スキル起因の協力を求める際に重要なのが、冒頭で示した図のどの部分を担って欲しいのかを出来るだけ自分の中で明確にしておくことです。
この領域が明確になっているかどうかで、協力の得られる可能性、協力者のやりやすさが段違いになります。

キードライバーに協力をお願いしよう

仕事を進める上でどんな人に協力を求めるかはとても重要です。
協力を頼む人によっては、仕事進みがものすごく良くなったり、考えきれなかった作業領域を潰してくれたりします。
そういった人を私はキードライバー(信念を持って仕事に力を貸してくれ、依頼内容の勘所を把握している人)と呼んでいます。

日々の仕事の中、自身の仕事の中で自身の限界はどうなるのかを把握して、キードライバーと協力してぐんぐん仕事を進めていきましょう。

今すぐ始めよう

1. 自分のリソース限界を把握するために、仕事を出来るだけ引き受けてみましょう。ただし、仕事を溢れさせてしまうのと今後の信頼に影響が出てしまうので、引き受ける形ではなくて「自分でやると決める」というやり方も良いかもしれません。

2. 自分のスキル限界を把握するために、できることを書き出してみましょう。エンジニアであればできるプログラミング言語や扱えるデータ形式などを思い浮かべてみると良いでしょう。自身が身につけたと思うビジネススキルやツールなども書き出して見ると良いかもしれません。

3. 自分の周りのキードライバーとなるような人を把握しましょう。「あの人と協力すると仕事が進む」や「あの人は勘所(詰まるポイント)を抑えている」といった評判の人はいるでしょうか。何らかのスキルが必要になった際に頼れる人は思い浮かぶようにしておくと良いかもしれません。

おまけ その1 スキル限界は実は気付きにくい

これは自分の体験でもあるのですが、自分ではできると思っているスキルが実はできない(もしくは不完全)ということが結構あります
データサイエンティストを例にあげると、本人は「エンジニアリング」もできると思っているにも関わらず、実はできていないということは良くあることのようです。

例えば、新卒のデータサイエンティストで、コードの可読性や拡張性、運用観点、セキュリティ観点、大規模なトラフィックに耐えられるかといったことを考慮してシステムを作るのは困難です。
ただし、自分でWebアプリを作って公開した経験があったりすると「自分はシステム作れる」と思い込んでしまい、本来なら協力を求めるべきシーンで協力を求められないという不幸が起こる場合があります。

こういったことを避けるために、たとえできると思っても常に自身のスキルにを疑い、協力者を見つける癖をつけておくことが重要です。

おまけ その2 新しいアイディアが生まれるとき

この記事で紹介した図は「仕事の枠が与えられて、その中が独立した作業により構成されている」という物理の問題などで出てくる摩擦係数0の床みたいな状況です。
単純化してモデル化するのには良いですが、現実の仕事は当然もっと複雑です。

注意したいのが新規事業や研究開発など新しいアイディアを複数人の議論の中で作り上げていく場合です。
こうしたクリエイティブな仕事は、ここまで説明したような進め方を行なっていては多くの場合得られないタイプのアウトプットとなります。

こうしたアウトプットを得るための動き方についてはまた別の機会に共有させていただければと思いますが、アウトプットの形に合わせて仕事の進め方を変えることも重要です。

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