見出し画像

Wrangler「7 ICONS」 Part2



ネクタイが結べなくて、アルバイトをクビになったことがあります。



こんばんは。栗山です。






今回もWranglerのディテールについて。


前回「7 ICONS」をご紹介しましたので、
今回はその他の特徴についてご紹介していきます。


前回の記事はこちらからチェックお願いします。





さっそく行ってみます↓↓





・ブロークンデニム

インディゴ面が多い独特の表情



デニム素材は、「綾織り」という組織でできています。



一般的には「右綾」が主流で、Levi’sがその代表。
左下から右上に向かってライン(綾)が走ります。



「左綾」はLeeがその代表。
右下から左上に向かってライン(綾)が走ります。



そんな中、Wranglerは「ブロークンデニム」を採用しています。



右綾と左綾を交互に組み合わせた織りの組織で、ギザギザとした見た目。
鮮やかなブルーと、独特の色落ちが特徴的な織り方です。


ただ、見た目や色落ちの為に、この「ブロークンデニム」を採用していたわけではありません。



理由は、”ねじれ改善”の為。


デニムに限らずですが、出来立ての織物は何もしないで水につけると縮み、捻れます。

当時の生地メーカーはこの2つの欠点を改善するために試行錯誤してきました。


"縮み"は比較的早くから「サンフォライズド加工」が開発されていたのに対し、


"捻れ"の改善は遅れをとっていました。


捻れるとシルエットが崩れますし、サイドの縫い目が正面に来たりして美しくありません。


そんな欠点を改善するために生まれたのがブロークンデニム。


生地は”綾”の方向に捻れが起きるのですが、その綾を左右交互にして、お互いを打ち消すようにして、捻れないようにしてあるんです。


ものすごくシンプルな方法ですが、当時は本当に画期的な開発だったはずです。


その副産物として、Wranglerならではのきれいな表面感や独特な色落ちが生まれていきました。


裏面の方がより分かりやすいので、Levi’sとの比較画像をご覧ください。



Wrangler裏側

ギザギザ


Levi's裏側

斜め







・サイドシームの巻き縫い

2本針の巻き縫い



こちらは足の外側の縫製仕様の事。


ジーンズの”赤耳”という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、
これは生地の端を使い、それを摘まむようにして、ステッチを入れたシンプルな縫製。


縫うのが比較的簡単で、大量生産に向いた、効率を追求した仕様です。


一方の巻き縫いは、
生地をかみ合わせて2本のステッチで縫っていくので、とても強度の高い仕様。

ロデオはとても激しいスポーツなので、負荷のかかる外側に強度を持たんですね。

※古いモデルは内側も巻き縫いになっており、”巻き巻き”などと呼ばれます。



言葉にすると簡単なようですが、巻き縫いは生地の重なりが多く、縫うのに非常に高度な技術が必要です。
さらにサイドシームの長い距離を縫うのはとてもとても大変。


しかしながら、Wranglerはカウボーイの為に、生産効率よりも強度を求めてジーンズを作っていたのです。



下記の図解が分かりやすかったので、参考文献として使用させていただきました。



図解

噛み合わせて縫う。
見るからに丈夫そうですね。



画像引用元:岐阜のアパレル会社「Yoshikawa inc.」さん
https://www.yoshioka-inc.com/2024/01/13/334/






・きれいなシルエット

裾が絞られていないことが良く分かります



シルエットがきれいな事で有名なWrangler。

ブランドのデザイナーは、ハリウッドの衣装デザイナーである「ロデオ・ベン」。


タフさが求められるのはもちろん、スターとして、大衆の憧れの的であったカウボーイには見た目も重視されました。


全体的に細身ですっきりと、ウエスタンブーツが穿きやすいように、裾は絞り過ぎないストレートカット。

無骨で粗野なイメージのあるジーンズですが、Wranglerはまるでトラウザーズのようなきれいなラインを描きます。

着用感に関しても、股上がしっかりと深く、ヒップを包み込むような安心感があるのが特徴です。


そして、前回の「7 ICONS」も、すべてこのロデオ・ベンがデザインしたディテール。 

この人はブランドを語る上では欠かせない、超重要人物です。

実際着用してみるとその違いが分かりやすいかと思いますので、
ご興味ある方は、是非店頭にてお試し下さい。




・フロントスウィングポケット



これはフロントポケットのカーブの事。

通常のジーンズは、コケットのカーブがきつめで、”L”字のようなライン。

一方のWranglerは、なだらかなカーブのラインを描きます。
こういった表現が正しいかはわかりませんが、”半楕円”のような形をしています。

これによって、ポケットに手を入れやすくなっているんです。

大げさではなく、少しのカーブの差で、こんなに違いがあるのかと驚かされるくらい。

個人的には、Wranglerのジーンズで一番好きな部分かもしれません。




・フロントベルトループ



こちらもベルトループ関連。

7本のベルトループは前回ご紹介しましたが、実はフロント側にも”秘密”が。


上記の画像は、上がWrangler。下がLevi’sになるのですが、
同じウエストサイズのはずなのに、比べてみると2本の間隔が少し違うのがお分かりいただけるかと思います。

Levi’sは狭め(一般的な間隔)ですが、Wranglerは少し広いですよね。


これは、「ベルトのバックル」が大きく関係します。


スターであるカウボーイのバックルは、
装飾的な意味合いで目立つものが多く、その大きさも通常の物より大きいのが一般的。


通常の間隔では、「そもそも入らない」or「かなり窮屈」になってしまうので、ベルトのバックルをよりきれいに見せるために、やや広めに作られているんです。


細かいですが、意外と重要なディテールです。






以上、2回に渡ってお送りした「7 ICONS」でした。


かなり長くなってしまい、すみません、、



ディテールから紐解いていくと、Wranglerがカウボーイのために開発されたジーンズという事が、”より強く”認識できますね。


たかがジーンズ1本でも、ブランドによってこんなに多くの違いがあります。


そして、他のブランド、アイテムにも様々な背景があり、何てことないディテールに歴史が詰まっていたりします。


そういった事を考えたり、調べるのも古着の楽しみ方のひとつ。



皆様の楽しい古着ライフのきっかけになれれば幸いです。




ご紹介してきたジーンズはこちら

オンラインからもお買い求めいただけますので気になる方は是非。



栗山

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?