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鏡の中の二人。


部屋の中に
一枚の鏡がある。

その鏡には
二人の住人がいる。

二人は、わたしを見つめ
わたしは、二人から目をそらす。

住人の一人は
わたしが落ち込んでいる時に顔を出す。
わたしの心を見透かしている。
そして、ささやく。

「キミはよく我慢したよ。
キミを苦しめる世界に囚われる必要はない。
もう休んでいいよ。」

・・・わたしはキミが嫌いだ。
でも、キミの言葉に流されそうになるんだ。

もう一人の住人は
殆ど顔を出さない。
キミはわたしの事を解っていない。
こんな事をささやくから。

「キミはまだ終われない。
この世界に爪痕を残したいでしょ。
だから、また歩こう。」

わたしはキミが大嫌いだ。
キミの言葉に囚われたらまた悪い夢を見るから。
でも・・・

わたしが部屋の鏡をひっくり返しても、
逃げた先に鏡があれば
まだキミたちは簡単に顔を出す。

わたしは、逃げられない。
キミたちからも、運命さだめからも・・・

だから、わたしは決めた。

キミたちが嫌いだから、
キミたちの言葉が大嫌いだから、
キミたちに何かを言われ続けるのが一番嫌だから。

わたしは、キミたちに反抗する。
わたしのこれからの行き先は、今のわたしが決めるんだ。

キミたち二人の事をわたしは知っている。
わたしの過去。
わたしの焦り。


誰の言葉にも流されない、
わたしが自分で選んで、辿り着いた先に鏡があったら

キミたち二人は、絶対に映させない。
キミたちを部屋の鏡に置いていく。


それでいいんだよね。


多分、キミたち二人も


今のわたしが大嫌いだと思うから・・・




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