見出し画像

料理人目線で見る“昆虫食の魅力”とは?

先日巨匠(内山先生)から、ニュースレターの原稿を依頼され、「昆虫食の魅力について自由に書いてください」とのお題を頂きました。
そこで改めてなぜ食材として昆虫を扱うことにしたのか、どんな魅力があるのかを振り返ってみることにしました。

前回も記しましたが、私が魅力を感じ興味を持ちことになった理由は
・面白そうだから【好奇心】
・誰もやっていない(少ない)から【稀少性】
であり
料理人目線で感じた
・もっと美味しく出来るのはず!!【可能性!!】
でした。

伝統食や先人達の残したレシピもありますし、日本に限らず海外でも昆虫は多くの人に食されています。料理としてのレシピも勿論あるのですが、あれだけ多種多様に繁栄している昆虫達がいる割に、表に出ている食材として扱われた文献が少なく、活用法も限定され狭いものが多い。使われていても素材ありきで調理法としては残されているものの、料理として応用されたものはなかなか世に出てきていないと感じました。
いわゆる料理本みたいな、私が参考にしたかったものは少ないです。

調べ方が足りないのは否定しませんが、牛や豚や鳥、ジビエですら、検索すればプロから家庭料理までレシピや料理の画像が出てくるのに、虫は殆どありませんでした。

それなら…自分で作ってしまおう!?

それが動機であり、新しく作り上げていく事が出来るかもしれない!という魅力でもありました。


私は初めて蜂の子を食べたときに、シンプルな調理でしたが本当に美味しくて、食材としてのポテンシャルの高さに驚きました。
同時に、調べても調理法や活用法が少なく、正直なところ「もっと美味しい食べ方があるのではないか?」と思っていました。

諸々のタイミングもありましたが、運良くお店を開くことができ、そこに昆虫食のメニューを載せ、そして定期開催の昆虫のフルコースへと発展する中で、昆虫を使った新しい料理を作り上げていくことでより昆虫食に魅了されました。

昆虫料理を創っていく上で難しいのは、今まで従事してきたイタリアンやフレンチとは違い情報は多くはありません。比較対象がないのでこれといった正解もありません。
なので昆虫料理を作るときの成否の判断基準を自分で設定しました。
必要なのは

・美味しいか。
・昆虫を入れることによって料理としてプラスになるか。

その二点のみです。それを満たしているかどうかが、自分の中で成否の判断基準となっていきました。(それも後付けではあるのですが…)

当初は昆虫を入れる事を重視し過ぎて(というか扱い方がわからなかった)バランスが悪いものもよくありました、、、。
正直、入れない方が美味しい。作ってる本人がそう思うことも全然ありました。ごめんなさい。。。

ですが幾度かの失敗を経て、作り続けることで食材としての昆虫の扱いに慣れていき、最近は何となくひとつの料理として良さを引き出せているかな?というところです。
未だによくわからなくなりますし、迷子になりますが…。


そんなわけで話を戻しますと、私が料理人として見た昆虫食の魅力は
【面白くて誰もやったことのない美味しい料理を作れること】
しかもその料理はもしかしたら日本で、ひょっとしたら世界で初めてかも!?そう考えただけで魅力的であり日々創るのが楽しくなります。

今後昆虫食が食文化として更に発展するためには、料理としての完成度を高めることであり、調理技術や知識を持った人がどれだけ“昆虫”という昔からある新しい食材に興味を持ってもらえるかだと思います。

食材としてはまだまだイロモノ扱いではありますが、少しでも美味しい食材のひとつだと気が付く人が増えるように
「昆虫“も”乗っている美味しいひと皿」を創り続けます。

✳要約した文面が昆虫採集ネットワークのニュースレターに掲載されます

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?