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「ハングリーであれ。愚か者であれ」(前編)

おはようございます。りくです。

”Stay Hungry, Stay Foolish”

この言葉、聞いたことありますでしょうか。

アップル創設者のスティーブ・ジョブズ。

彼が2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチは、
自らの生い立ちや闘病生活を織り交ぜながら、
人生観を余すところなく語り、広く感動を集めました。

”Stay Hungry, Stay Foolish”
「ハングリーであれ。愚か者であれ」

わたしがこのスピーチを知ったのは
大学時代、ESS(English Speaking Society)に所属し
英語のスピーチ活動で触れたことがきっかけです。

当時は「ジョブズの生き方ってかっこいいな~」
「ハングリー精神を忘れずにいこう!」
というくらいの感想だった気がしますが
わたしも社会人として働いて10年経過。
いま聴くと、当時よりはるかに心に刺さりました。

ジョブズのスピーチは大きく3つの話で構成されます。

1.点と点をつなぐ(Connecting the dots)

2.愛と喪失(Love and Loss)

3.死(Death)

スピーチフリークのわたしが好きな演説は
キング牧師、オバマ大統領をはじめほかにもあります。

が、現代を生きるわたしたちに
もっとも刺さるのはジョブズのこのスピーチ、
等身大の生き方のヒントになると感じています。

特に、「キャリアの思考法」として秀逸なのです。

そんなジョブズのスピーチの魅力と
わたしの気づきを書いていこうと思います。

できれば、一度、動画を開いていただいて
14分間の『本物のスピーチ』をお聴きいただけると嬉しいです。

全文(英文・和訳)はこちら。

かなりボリュームがありますので、今日は、

1.点と点をつなぐ(Connecting the dots)


について触れたいと思います。

ではいきましょう!

1.点と点をつなぐ(Connecting the dots)

点と点をつなぐ、はジョブズのキャリア観をあらわす話です。
ジョブズが登壇したのはスタンフォード大学の卒業式。
が、実はジョブズ自身は大学を卒業したことがありません。

「世界でもっとも優秀な大学の卒業式に同席できて光栄です。私は大学を卒業したことがありません。実のところ、きょうが人生でもっとも大学卒業に近づいた日です。本日は自分が生きてきた経験から、3つの話をさせてください。たいしたことではない。たった3つです。」

彼はなぜ大学に入り、辞めてしまったのか。
そこが後からどんな経験となって活きたのか。
3つの話のひとつめ、「点と点をつなぐ」物語です。

「まずは、点と点をつなげる、ということです。」
「私はリード大学をたった半年で退学したのですが、本当に学校を去るまでの1年半は大学に居座り続けたのです。ではなぜ、学校をやめたのでしょうか。」

ジョブズが大学に通うことは生まれる前から決まっていた

ジョブズには生みの親と育ての親がいます。
そして生みの親は育ての親に対して、
「大学に通わせる」ことを条件に養子に出しました。
ジョブズは生まれる前から、それが決まっていたのです。

「私が生まれる前、生みの母は未婚の大学院生でした。母は決心し、私を養子に出すことにしたのです。母は私を産んだらぜひとも、だれかきちんと大学院を出た人に引き取ってほしいと考え、ある弁護士夫婦との養子縁組が決まったのです。ところが、この夫婦は間際になって女の子をほしいと言いだした。こうして育ての親となった私の両親のところに深夜、電話がかかってきたのです。」
「『思いがけず、養子にできる男の子が生まれたのですが、引き取る気はありますか』と。両親は『もちろん』と答えた。生みの母は、後々、養子縁組の書類にサインするのを拒否したそうです。私の母は大卒ではないし、父に至っては高校も出ていないからです。実の母は、両親が僕を必ず大学に行かせると約束したため、数カ月後にようやくサインに応じたのです。」

しかし、大学に通った彼は、その価値を見出しませんでした。
結果、半年間でドロップする決断をしています。

「そして17年後、私は本当に大学に通うことになった。ところが、スタンフォード並みに学費が高い大学に入ってしまったばっかりに、労働者階級の両親は蓄えのすべてを学費に注ぎ込むことになってしまいました。」
「そして半年後、僕はそこまで犠牲を払って大学に通う価値が見いだせなくなってしまったのです。当時は人生で何をしたらいいのか分からなかったし、大学に通ってもやりたいことが見つかるとはとても思えなかった。私は、両親が一生かけて蓄えたお金をひたすら浪費しているだけでした。私は退学を決めました。何とかなると思ったのです。」

そこから彼は自由になりました。
苦労をしましたが、それが楽しい日々だったと語ります。

「多少は迷いましたが、今振り返ると、自分が人生で下したもっとも正しい判断だったと思います。退学を決めたことで、興味もない授業を受ける必要がなくなった。そして、おもしろそうな授業に潜り込んだのです。」
「とはいえ、いい話ばかりではなかったです。私は寮の部屋もなく、友達の部屋の床の上で寝起きしました。食べ物を買うために、コカ・コーラの瓶を店に返し、5セントをかき集めたりもしました。温かい食べ物にありつこうと、毎週日曜日は7マイル先にあるクリシュナ寺院に徒歩で通ったものです。それでも本当に楽しい日々でした。」

退学後、ジョブズは直感と興味にしたがった

その後、じぶんの興味のままに学んだといいます。
文字を美しく見せるための手法であるカリグラフを選択して学びます。

「自分の興味の赴くままに潜り込んだ講義で得た知識は、のちにかけがえがないものになりました。たとえば、リード大では当時、全米でおそらくもっとも優れたカリグラフの講義を受けることができました。」
「キャンパス中に貼られているポスターや棚のラベルは手書きの美しいカリグラフで彩られていたのです。退学を決めて必須の授業を受ける必要がなくなったので、カリグラフの講義で学ぼうと思えたのです。ひげ飾り文字を学び、文字を組み合わせた場合のスペースのあけ方も勉強しました。何がカリグラフを美しく見せる秘訣なのか会得しました。科学ではとらえきれない伝統的で芸術的な文字の世界のとりこになったのです。」

当時はそれが役に立つとはかんがえていなかった。
が、それが10年後、マッキントッシュの設計に活かされるのです。

「もちろん当時は、これがいずれ何かの役に立つとは考えもしなかった。ところが10年後、最初のマッキントッシュを設計していたとき、カリグラフの知識が急によみがえってきたのです。」
「そして、その知識をすべて、マックに注ぎ込みました。美しいフォントを持つ最初のコンピューターの誕生です。もし大学であの講義がなかったら、マックには多様なフォントや字間調整機能も入っていなかったでしょう。ウィンドウズはマックをコピーしただけなので、パソコンにこうした機能が盛り込まれることもなかったでしょう。」

点と点は後からしかつなげない

これがジョブズのいう「点と点をつなぐ」話です。
将来をあらかじめ見据えてつなぎあわせることはできないが、
いずれどこかでつながって実を結ぶと信じる。

それが大きな差を生み出すのだと語ります。

「もし私が退学を決心していなかったら、あのカリグラフの講義に潜り込むことはなかったし、パソコンが現在のようなすばらしいフォントを備えることもなかった。もちろん、当時は先々のために点と点をつなげる意識などありませんでした。しかし、いまふり返ると、将来役立つことを大学でしっかり学んでいたわけです。」
「繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。」
「運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。」

わたしの点と点がつながった経験

思いがけずつながった点と点、わたしにもあります。

わたしは小学生のころ、三国志が大好きでした。

横山光輝のマンガ三国志(全60巻)は
おそらく10周以上読んだのではなかろうか。
武将たちの生きざまがかっこよくて好きだった。

で、これがなにかの役に立つとは当たり前ですが
思ってなかったし、役立てるつもりもなかった。
20年くらい、三国志には触れずに過ごしていました。

ところが。わたしはこの点が蘇る経験をしました。
今年、わたしは作家の北野唯我さんのオンラインサロン、
SHOWSに入り、本づくりのお手伝いをしています。

そこでたずさわった最初の作品がこちら。

そう、『戦国ベンチャーズ』です。

歴史上1代でゼロからのし上がった名将で「年功序列」の人事制度を使った人物はいなかった!

突然だが、「史上最強のヘッドハンターは誰か?」と問われたらあなたはなんと答えるだろうか。
私の答えは、日本史なら徳川家康。世界なら三国志・曹操。この2名のどちらかだろう。両者の共通点、それは「人事の天才」であったことだ。曹操が行った人事戦略は唯才是挙(ゆいざいぜきょ)と呼ばれる。この意味は、才能を強みによってのみ評価するということである。時には、過去に自分を苦しめた人物でも、才能があれば仲間に入れるなど、徹底した人材集めを行った。

見ての通り、「ビジネス」×「歴史」というテーマ、
そして題材がわたしの大好きな三国志でした。

さらにいえばわたしはいま人事と経営企画を仕事にしており、
いわゆる年功序列の人事制度を改革するプロジェクトを担ってます。
これはまさに「曹操」がめざした人材戦略から学ぶものでした。

もっといえば、本書では、人の「強み」に着目せよという
主張がなされており、「ストレングスファインダー」という
ツールを例としてあげて論展開されています。

わたしのnoteをご覧になっている方であればお気づきのとおり、
私自身も「ストレングスファインダー」マニアで愛用しています。

つまりこの『戦国ベンチャーズ』本づくりとの出会いは、
偏愛「三国志」×本業「人事・経営」×愛用「ストレングスファインダー」
という点と点のつながりを見せた驚きのプロジェクトだったのです。

まさか三国志がここにきて活きるとは。
わたしは「人事目線」「ストレングスファインダー目線」をもって
三国志のエピソード監修・データ収集をお手伝いしました。
これが「I loved it.」でした。

キャリア観としてのConnecting the dots

点と点をつなぐ、これはキャリア観そのものだと感じます。
実はいまの仕事や活動は、これまでの点とつながっている。
それは原体験だったり、そこから得た価値観であったり。

上記の『戦国ベンチャーズ』のようなわかりやすい例ですが、
そこまでダイレクトでなくとも、解釈で点と点をつなぐこともできる。

わたしはこれまでの原体験を振り返って、
そこからの学びをすべていまの自分につなげる作業をしました。

ジョブズのいうとおり、
点と点を未来を見据えてつなぐことはできません。

であればやるべきことは?
直感と興味にしたがって、
「いつか役に立つ」と信じて進むこと。

そしてときに振り返り、
自分なりに点と点をつなぎあわせること。

それが自分のキャリアの満足感を高め、
そして次の一歩に確信を持たせてくれるのではないでしょうか。

自分の心に従って。あくなき挑戦を。

”Stay Hungry, Stay Foolish”
「ハングリーであれ。愚か者であれ」

長くなりましたが、ジョブズのスピーチより、
その一つめの「点と点をつなぐ」話でした。

それではよい一日を!
Have a nice day!!

りく


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