人生で初めて長男の重みを感じた喪主務め
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私は父が亡くなるまで、自分が長男である事実をあまり深く考えてこなかった。単純に「最初に生まれた男子だから長男だ」程度に思っていた。
しかし親の葬儀では、当然のように喪主になることを求められる。そこまでは想定の範囲内であったのだが、叔母達が「六道君が、辻家の家長なんだから」と口々に言うようになったのは、想定の範囲外であった。
彼女達は、自分が嫁いで辻家を出ても、辻家の者であるという意識を持っているようだ。そして、これまでは亡父が辻家の家長の役割を務めていた。父が亡くなり、家長の役割が私に下りたと認識しているようだった。
日本の敗戦に伴い家制度がなくなって70年以上が経つが、まだまだ老人世代にはこの「家」意識が顕著である。葬儀の時などに、それが顕在化して我々世代と軋轢を生じることになる。
もっとも、私の場合はそうしょっちゅう会うこともない方々なので、深刻に受け止めないようにしている。
ただ、嫁ぎ先から出戻った叔母が「私は辻家の墓に入りたいので、家長様よろしくね~」と言っており、恐らく彼女の葬儀の喪主も私が務めることになるのだろうと思うと、少し気が重い。
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