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Coolという言葉の多彩さ

朝は結構温かかったものの、帰路は寒さを感じています。こういうのがなくなると、今度は虫さんに悩まされることになりますね。

さて、……

「人としての幅」という言葉を聞いて、太った人を思い浮かべる人はあまりいないと思う。基本的には人徳や包容力に近いイメージで語られているのではないか。

この「人としての幅」は、頭の良し悪しとは必ずしも連動しない。頭の良い人であっても人としての幅が狭い人はいるし、それほど頭脳明晰でなくてもその幅を感じさせる言動をする人はいる。

こういう書き方をすると後者の方が良いように思うかも知れない。でも、それは違う。

人を率いる指揮官という観点で冷静に比較すると、クリアな頭脳と人としての幅の両方が必要であり、片方だけが優れていてもその任を十分に果たすことはできないと考える。

有名な経済学者のケインズの師であるアルフレッド・マーシャルは、経済学を学ぶ学生が心がけるべきこととして
Cool Head,but Warm Heart.
(冷静な頭脳を持て、しかし暖かい心も持とう)

と言った。

この言葉は、マーシャルが学生を貧民街に連れていってその状況を見せながら言ったと聞いている。彼の経済学者としての思いがにじんだ重みを感じている。

もっとも、この言葉は特に経済学の関係者に限るべきではなく、社会一般の人が心すべきものだと思う。

どんなに理詰めで考えられた立派なものであっても、そこに人に対する温かい気持ちがなければ、本当に役立つものにはならない。目の前で困っている人間に対して何かできることはないか。そういう思いを頭の片隅に起きながら、ものごとを理論的に解明していくべきなのだと私は理解した。

英語の「Cool」という言葉には、冷静という意味の他「頭が良い」「格好良い」「いいね」といった意味がある。それらも踏まえてのマーシャルの言葉であり、学生たちにも大きなインパクトを与えたと思う。

そして、今を生きる私たちも、その言葉の重みにたじろぐことなくキチンと受け止める必要があるだろう。

ちなみに、Coolという単語で私がもう一つ印象に残っているのは、映画「アポロ13」の主任管制官であったジーン・クランツの言葉。

Let's everybody keep cool...Let's solve the problem, but let's not make it any worse by guessing.
(みんな、冷静さを保って、問題を解決しよう。でも、憶測で悪化させないようにしようぜ)

アポロ13号の故事については、若い人はご存じないかも知れない。ググって調べてほしい。クランツはNASAにいるのだからもちろん頭脳明晰であったのだけど、打ち上げ直後にトラブルに見舞われたアポロ13号の乗組員を絶対に無事地球に帰すという強烈な思いを持った人でもあった。

Failure is not an option.
(失敗は選択肢にない)

この言葉も彼の発した言葉であり、結果としてその通りになった。冷静さと温かさを兼ね備えた強いリーダーシップが、この結果を導いたと私は信じている。

お読み頂き、ありがとうございました。

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