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坂本龍一さんの死を悼む

今日も肌寒い一日でした。明日から天気が下り坂だと聞いています。まだまだ春爛漫と言うには程遠いですね。

さて、……。

坂本龍一さんが亡くなった。心より深く哀悼の意を表するとともに、ご冥福をお祈りする次第。

世の多くの方は「戦場のメリークリスマス」が坂本龍一さんの代表曲のように挙げられていて、少し違和感がある。私は、中学時代に聞いた「テクノポリス」の鮮烈さが忘れられない。TOKIO,TOKIOである。

この曲を耳にした私たちは、大いにざわめいたと言って良い。そして当時いかにも中学生っぽい議論をしたことを覚えている。それは「シンセサイザーを用いた曲は、音楽と言えるか」というテーマであった。

つまり、人間が直接音を発しないもので成り立った音の集合体は、音楽ではないのではないか、という問いである。あなたはどのような解を用意できるだろうか。

今ならスマホの着信音も当たり前に音楽だと認識されている。あえて電子音を外す理由はない。だけど、当時はピアノもバイオリンも三味線も人間が演奏するからこそ音楽だという固定観念があった。

そういう固定観念を、YMOは見事に覆したのだ。それも軽妙な「音楽」で。厨二病生たちにそんな議論をさせるくらい、彼らの音楽は前衛的で進歩的でナウかった。

間違いなく世の中の音楽シーンを変えた。そのインパクトは、私見だがビートルズに匹敵するのではなかろうかと思っている。

それほどまでに彼らの音楽は強いメッセージ性を持ち、聞く者の心を浮き立たせ、強い輝きを伴って世に旋風を巻き起こした。インパクトと言えばビジュアルも独特で、もみあげを耳の上のラインから下を剃ってしまうテクノカットも彼らに近づきたい若者の間で流行った。

坂本龍一さんは、YMOでのこのようなフロンティアとしての活躍があって、戦場のメリークリスマスがあって、ラストエンペラーがあった。私はそういう認識である。

東京芸大修士卒なので、教授になるのは本来難しいとは思うものの、その音楽性の広がりと高さから、教授というあだ名もしっくりとくる方であったと思っている。

長い間、我々を楽しませてくれた巨匠が、また一人この世を去った。寂寥なき能わずである。

お読み頂き、ありがとうございました。

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