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情報統制は、自分の心理からも行われる点に留意
今日も遅くなりました。事情はご賢察頂きたく。
さて、……
太平洋戦争において、大本営発表という情報統制が行われていたことは先の記事に書いた。
ただ、全国民がそれをまともに信じたか? というとそうでもない。少なくとも、私の母は違った。
今は認知症を患い、私の名前すら忘れてしまっている母であるが、当時はそのような状態では全くなかった。以下の言葉は、私が小学生時代に聞かされた話。
「サイパン島陥落のニュースを聞いて、これは日本は負けると思ったわ」
ただ「皆の前でそんなことを言ったらタダでは済まないし、誰かに自分の考えを伝えることはできなかった」そうである。
また昔読んだ新聞の戦争特集記事についての記憶のため、うろ覚えであることをお許し願いたいが、当時の軍国少年は「敵の戦艦を10何隻も撃沈しているのに、しばらく経つとまた同様の戦果の発表がある。アメリカは何隻戦艦を持っているのか、おかしいとは思った」と語っている。
いかに情報統制をして戦意高揚のプロパガンダを流そうと、しかもその情報の受け手がまだ未熟な子どもであっても、100%信じ込ませるのはかなり難しいということを示していると思っている。
私はここで、だから情報統制があっても大丈夫だと言うつもりはない。
ここから先は、受け手側の心理というのが出てくる。ヘタなことを言えば非難されると思えば当然口には出さないし、信じたい情報じゃないならば受け入れにくくなる。
何と言っても戦争に負けるとなれば、これまで「欲しがりません勝つまでは」と考えてやってきた我慢が水の泡になる。国が受けた損失も計り知れない。それが今でいうサンクコストになるのである。
こうなると、それを受け入れるのにはかなりの心理的な抵抗を生むことになる。つまり、日本が負けそうという情報を受けても、受け入れない・無視するという対応がやはり起こり得たのである。
特に、当時の日本は本当に食うや食わずの状態であり、個人個人が立ち止まって状況を考えられた時代ではない。しかも、考えたことを軽々に他人には話せない。
結局、正しい情報を得たとしても、それが即ち正しい振る舞い、つまり戦争反対に向けた動きに直結するかというと、かなり怪しいというのが私の結論である。
今後ロシア国内で何が起こるのかについても、この視点を忘れてはならないと思っている。
お読み頂き、ありがとうございました。
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