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ウクライナから来た子どもの成長を寿ぐ

風音がうるさいと、朝方の眠りが浅くなった時にもう眠っていられなくなってしまいますね。

さて、……。

以下のNHKの取材記事は、長いけれど読み応えがあった。

ウクライナとロシアの戦争状態は1年2ヶ月目に入っている。この間に多くのウクライナ人が戦果を逃れて祖国を出た。そのうちの何人かは日本に来て生活を始めている。

多くの外国人にとって、言葉の壁は大きい。大人も職を探す上で言葉がハンデとなっている。そういう中で、地方の公立小学校で何とか頑張ってきた少女の軌跡をこの記事で伝えている。

彼女の周りの子は、決して意地悪ではない。むしろ何とか理解し配慮しようと一生懸命だったと思う。しかし、遠い故郷を思いながら過ごすマリヤは、なかなか周囲と打ち解けることができなかった。

どうしてもこの手の記事は「苦労も葛藤もあったけれど、うまくいった」という型にはまりがちで、実際この記事のアウトラインはその通りである。でも、この記事は少しだけ作りが違った。何度も発生した「うまくいかなかったこと」も隠さず端折らず伝えている。

そういうマイナス部分を小さめに扱わない本記事は、信用ができる。

よく、子どもはすぐに言葉を覚えると言われる。しかし、それは半分正しく半分は正しくない。例えば日本語は、述語が文末に来る。その点では世界の言語の中では少数派に属する。それに慣れるだけでもかなりシンドイ。

おまけに、主語を省略することが多い。古文では、尊敬語の重畳具合から誰のことを話しているのかを問う問題が出されるくらいである。そういう主語を明示せず推し量らせる文化も、外国人にはなじみがない。

それでも、日本人が英語をしゃべれるようになるよりも、外国人が日本語をしゃべれるようになる方が早いような気がする。多くの外国人タレント達は、流ちょうに日本語を話しているからだ。

しかし、最後は個人差というのもあるのだろう。そういう中で、少なくともマリヤは日本語に苦手意識があった。この点は間違いない。

個人としての故国に対する思い。これは他人が軽々に語るべきではないだろう。

中国残留孤児を描いたドラマ「大地の子」でも主人公の陸一心と生き別れた妹のあつ子の会話の中で「にいちゃん、日本に帰ろう」というセリフがあった。

映画にもなった「ビルマの竪琴」でも「おーい水島、一緒に日本に帰ろう」という呼びかけがあった。この故郷に帰りたいという思いは誰にでもあるのだ。

そういう思いは思いとして持ちながら、今の現実と折り合いをつけて生活していく。年端もいかぬ少女が大変な努力をしていることを我々も知るべきだろう。

お読み頂き、ありがとうございました。

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