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【感想文】「飯は食えるときに食っておく 寝れるときは寝る  自衛隊が教えて くれた人生を明るく生きぬくコツ」を読んで

朝は相変わらずの冷え込みでしたが、昼が近づくにつれてかなり温かくなりました。こういう日がこれから少しずつ増えていくことを強く期待しています。

さて、……

表題の本を読了した。私的にはとても面白かったので、もし時間的に余裕があれば、あなたにも読んでもらいたいと思い、ご紹介する。

本書の内容は、著者が主に自衛官だった頃に学んだライフハック(日常生活や仕事での作業効率向上のためのアイデアやテクニック)を、我々に語りかけるものである。

この種のものは、今の世の中に結構出回っている。市井に生きる人達が生きづらさを感じていることの証でもあるように思う。「今を何とかしたいんだよ」という切実な思いに寄り添い、それを満たそうとすることは貴いように感じられる。

類書がひしめく中で本書のセールスポイントは、有事の際に戦場に赴く可能性も低くない立場にいた著者が、そういう事態も念頭に置いて学んだ知識や経験を語っている点にあると思っている。

我々の日常生活や仕事も決して楽なことばかりではない。しかし、やはり戦場となると大変さが別格となる。そういうところでも生かせるものの見方や考え方、そしてその対処法をいろいろと提案してくれている。これは間違いなく強みだと思う。

従って、基調は大くくりにはサバイバル系である。ただ、生死に関わるほどではなく日常の生活環境を前提とした話がほとんど。メンタル面に多くを割き、心を折ることなく平常心を保つことに主眼を置いている。

そしてメンタル面だけの話ではなく、家を買う時の注意やブラック企業の見分け方等も書かれている。後者については、自衛隊退職後にそれなりに苦労されたことがうかがえる。

なお、語り口はとてもソフト。私たちが自衛官に抱くイカツいイメージとは程遠く、語りかけるイメージでスッと入ってくる。上からズバズバ指摘するような物言いではない。「ちょっと良いかな……」的な、すぐ隣からささやくような印象である。

最後の4分の1くらいは自衛官時代のエピソード(や著者の自衛隊への思い)が書かれている。こちらの方は自分なら絶対に経験しないようなできごとが豊富に書かれていて興味深かったけれど、ライフハック度はほとんどなくなる。

この部分については別冊にするか、本文の途中の囲み記事にした方が良かったのではないかな、と思った。

総じて楽しめて役に立つ内容が多く、思想信条的に自分には合っていたので、私の文章を読んでくださる方にも合うのではないかと思ってお勧めする次第。

著者はtwitterでも、以下のような染みる言葉をつぶやいておられる。私には深く刺さったことを申し上げておく。

本の内容とは離れるけれど、こういう方が自衛隊という組織の中で自分を生かし切れなかったこと。それは大いに残念だと思っている。

お読み頂き、ありがとうございました。

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