カムカムエヴリバディを観て、ふと死語になりつつある「糟糠の妻」の私的エピソードを思い出した
未明の地震、昼過ぎにも余震があって、大分や宮崎の方の心が安まらないことを案じています。早く収まると良いですね。
さて、……
こちらにお越しの方は「糟糠の妻」という言葉はご存知だと思うのだけど、世代的にそうではない方もおられるかも知れないので、念のために書いておく。
まず、この言葉は「そうこうのつま」と読む。
「糟」は酒かすで「糠」はそのまま(米の)ぬか。これらを食べるくらいの貧しさを表す。糟糠の妻とは、そのような貧しい時代から苦楽を共にしてきた妻のこと。
ただ一般的には、その後夫がある程度成功して世に認められた場合に用いられる。言い換えると、貧しいままの場合にはそういう表現はされない。
典型的なのは芸人さん。下積みの前座を経て売れっ子になった芸人がいたとして、下積み時代を支えた妻は大抵「糟糠の妻」とされる。
こんなことを考えたのは、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」を見て思い出したことがあったから。朝ドラの来週の予告を見る限り、これからお話しする内容とは違う展開を予想するのだけど、思い出したことをここでお伝えさせて頂きたい。
それは、もう25年くらい前のこと。
私の古い友人の姉が、ある男性を家に連れてきたという。そして家族に告げた。「この人と結婚したい」と。
突然のことで、ご家族はビックリしたらしい。でも、まあそれはそれとして受け入れたらしい。
ここで父親が「失礼ですが、お仕事は何をされておられますか」と尋ねたところ、「バックバンドの一員」との答え。
旧友のお父さんは普通のサラリーマンであり、この男性が帰った後に成り行きで家族会議となったという。
多少ぼやかして書くけれど、親側のご意見としてまず出たのは
「バンドマンって、収入は一定じゃないだろうし、生活は大丈夫なのか」
という言葉。
更に
「ある程度売れないと生活できないから困るんだけど、売れたら売れたで近寄ってくる女性もいるだろう。そちらに心が移るんじゃないか?」
と続き、この最後に
「糟糠の妻って、残念ながら結構捨てられちゃうんだよ」
との言葉が出たらしい。
聞いた当時「そこまで言うか」と私も思った。しかし、姉はその説得を受け入れず、さりとて決裂させもせず、何回かその男性を家に連れて行って、人柄をアピール。礼儀正しく常識的な振る舞いに、ご家族も最後には折れたと伺った。
幸い、その後も円満な家庭状況が続いているらしい。
職業で人を推し量るのはどうかと思う一方で、自分も娘を育てているのでこの友人のご両親の気持ちも分かる。残念ながら、芸人関係のくっついた・別れた話はよく見聞きする話でもあるし。
ただ、こればかりは最後は運であり、親は何かあればできるだけの助けはできるように備えるしかないんだよな、と達観している。
カムカムのるい編も佳境。見方が親の立場になってしまうのは、年齢や立場上やむを得ない。
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