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140文字の駄文

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詠んで頂けたら、何かの形で表現して頂けたら幸せます。連絡頂けたら、飛んで参ります。
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2017年6月の記事一覧

名前を呼んで。ちゃんと名前があるの。忘れてしまったの?もう、名前では呼んでくれないの?私の名前…忘れないでよ。『お母さん』なんて言わないで。貴方に名前で呼んでもらえなかったら、私はその一言が名前になっちゃう。名前で呼んで。私にはちゃんと名前があるの。お願い。忘れないで呼んで名前を

頭に霧がかかったようなそれでもそこに貴方がいて私の名を呼ぶ優しい声音で耳朶を食むように。私も答える貴方の名を呼ぶ貴方の耳朶を食むように。貴方はクツクツと喉を鳴らして笑う『くすぐったいよ』って。時が来たら貴方は帰って逝く。『また帰ってくる』そう言って。その時まで『行ってらっしゃい』

『さよなら』って言わないよ。『またね』って言わせて。また、帰ってくるよ。君に逢いにね。『ただいま』って言って、こうやって君の傍に帰ってくるよ。『お帰りなさい』って迎えて。とびきりの笑顔で。優しい微笑みで。僕の名前を呼んで。僕も君の名を呼ぶから。優しい微笑みで、君を抱きしめるから。

ブクブクと泡から生まれた泡姫は
好いてはならぬ者に恋をした。
わかっていても募る想いに泡姫はその者に逢いに出掛ける。泡姫は彼の者に愛し、愛される者がいることをしる。叶わない想いを知る。泡姫は泣いた。自分が溶けて無くなるのも忘れて。泣き続けて消えて無くなるその時まで想いを胸にして。

『ちょっとたんま!』「なぁ、お前、付き合ってるヤツいないんだろ?」「だから、なに?」「俺で手うたない?」「馬鹿言ってる。」「本気なんだけどなぁ」「いつものからかいなんでしょ?」引き寄せて抱き締めてやると。「あんたがそこまで言うなら…」キス顔。「えっ、ちょっとたんま!」「冗談よ。」

「衆道の気はないんだが?」「俺だってないぜ?誘ったのはお前だろ?経験はねぇが何とかなんだろ?」「人の話をきけ!衆道の気はないと言っているではないか!」「物欲しげに俺を見つめてたろ。」「月明かりに照らされた貴様の顔が⁉」捻り寄られて、耳の裏を舐められる。「あぁっ…ちょっとたんま⁉」

『風鈴』

貴方が居なくなってから幾年月が流れたでしょう。
「お婆様。また、風鈴を見ているの?」
「この風鈴は、お爺様との思い出が一杯つまったものなのよ。」
孫が私に問うのです。
風鈴をしまわないのかと。
私は答えるのです。
「お爺様が来た事を知らせて鳴らしてくれるからよ。」と。

『此処にいなさい』

怖い、怖いよ…。

お母様、怖いよ…。

どうして?どうして、皆は僕を追いかけるの?

あの中には、僕の友達だった子もいるのに。

僕を悪魔だって。魔王の子だって。

殺すって。

「貴方は、此処にいなさい。」
お母様は、そう言って、2度と帰って来なかった。