見出し画像

日本と移民のwin-winを目指す

第161回多文化共創フォーラム21「経済学の視点から移民政策を考える!」に参加して来ました。学生でもなく専門的に学んだことがあるわけでもない一般人を、みなさん快く迎えてくださって有難かったです。

■参加のきっかけ
急に多文化共創に興味を持ち、無遠慮に学会にまで足を踏み入れたきっかけは、幼保無償化の対象外になる保育園が存在すると知ったことだった。

この浜松市と同様の措置を杉並区できないか、、と考えたのが出発点。でも、今日本で何が起きているのか、始まろうとしているのかあまりにも無知識で、区内で該当施設が存在するのかさえわからない。全然わからないけれど、わかるために参加してみようと決めたら、とにかくレッツトライ!短期間(1ヶ月弱)で本を読みまくる。

・内藤正典『外国人労働者・移民・難民ってだれのこと?
・庵功雄『やさしい日本語-多文化共生社会へ
・宮島喬、鈴木江理子『外国人労働者受け入れを問う
・小崎敏男、佐藤龍三郎『移民・外国人と日本社会
・宮島喬『開かれた移民社会へ (別冊『環』24)

■経済学の視点から移民政策を考える!
フォーラムの前半は、小崎敏男先生のご講演「マクロデータからの外国人労働者の考察」で、近著の『移民・外国人と日本社会』で示されるデータと分析をご説明いただく。
印象的だったのは、「全体像の把握が必須」と強調されていたこと。一部分を採り上げると、ミスリードな報道や分析結果を招く危険があるということ。経済、財政、少子高齢化などそれぞれの専門家はいれど、各分野を横断する研究は他にあまりない。2018年12月入管法改正法案で一気に注目が集まってきた「労働力、人の流れ」という切り口、小崎先生はそこを横断する研究の第一人者だ。

外国人の受け入れで社会一般が感じる不安について、データに基づいて以下の分析が示される。(一般的な感覚と、経済学の示唆は多々乖離している。)
・日本では外国人女性の出生率は低い(アメリカ等他国とは逆傾向)
・外国人観光客の増加は、地元経済の活性化、住民の所得を高める効果は確認できなかった(北海道倶知安町を事例に)
・外国人労働者の増加は、わずかに賃金にプラス影響を与える。雇用にはマイナス影響(外国人労働者10%増に対して就業者1.2%減程度で大きくはない)を与える。
・外国人の増加で犯罪が増える根拠はない。

※他にもポイントはたくさんあるけれど、書ききれないので詳細は『移民・外国人と日本社会』をご覧くださいませ。

後半は、先生方のパネルディスカッション(というより万城目先生、佐伯先生、貫先生から小崎先生への質問総攻撃・笑)に、他の参加者も話に入っていく形式だった。

■目指すのはwin-winの関係
フォーラムで度々登場した言葉は「win-win」だった。「感情論に偏りがちな移民を、勘定論でも考えよう」!!
日本に来るのは労働力ではなく人間だという人権の視点と、人口減少・少子高齢化で急速に進む生産人口減・経済減速にどう立ち向かうのかという視点、どちらも必要だということ。

私は「労働力を得て、社会保障を提供して差し引きマイナスでも、移民の受け入れはすべき」というlose-winの思考に陥っていたが、それでは周囲の理解は得られない。日本人から外国人への憎悪が募る社会になってしまうだろう。逆に、経済のみ優先して日本と移民がwin-loseになったら、外国人は社会的にも経済的にも隔離された存在になってしまうだろう。日本は外国人に「選ばれない」国になる。

外国人労働者は今後急速に増える。開かれた移民社会を不時着させるには、感情論と勘定論で、日本と移民のwin-winの関係を作るしかない。

■フォーラムの後
参加者の女性(現在、博士課程で学び直し中とのこと)と帰りの電車をご一緒させていただいた。数年海外で生活した後、日本に帰って来たら日本語しか聞こえてこないことに違和感を持つようになり、新大久保であったり日本語以外の言語が聞こえてくる場所に来ると落ち着くそうだ。
慣れは大切。息子には、自分と違う言語や服装を怖いと身構えずに、いろいろな人がいることに自然に馴染める子になってほしいと思った。

8月のnote「無償化分を寄付した」のは、2019年10月から約半年分の保育料だ。その続きは、多文化共創をテーマに何かやりたいと考え中で、少しずつアイディアの形が見えつつある。研究者だけでなく、一般の人々の理解が進むかどうかが鍵になるから、素人の私が橋渡し役になる意味はあると思っている。

多文化共創については、まだまだ学び始めたばかり。次は、自治体国際化協会(クレア)主催「多文化 Opinion Exchange」2019/12/7に参加する予定。

twitter(@rikubo_hatena