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008. 金はいらないから愛をくれ

給料があがった。年俸でいうと20万ほど、手取りで言うと正確に計算してはいないが毎月1万くらいだと思う。うちの会社は外資系のベンチャーなので成果に応じてちゃんと給料があがるし、もともとの基準も高いので同年代の平均年収の2倍以上はもらっている。給料が上がることは世間一般的には嬉しいことかもしれないが、私は「お給料が上がりました」という報告を上司から受けるたびに憂鬱な気分になる。結構本気で「もうこれ以上私の給料は上げなくていいので他のメンバーの分を上げてください」と言うが毎回流されている。だって、給料があがっていいことは何も無い。そもそも生まれてからずっと過大評価を受けていると思っているし、自分に現在の給料ほどの市場価値があるとは到底思わない。給料があがればそれ相応のパフォーマンスを求められるし負わなければいけない責任が比例して大きくなっていく。(正確にはすでに出した成果を基準に給料があがっているので、未来の成果とは無関係なのだが、どうも私の脳はそのような処理ができない。)仕事の負担が増えるにつれて私生活はおろそかになっていくし、大体の同年代の男より稼いでいるので(他にも原因は山ほどあるが)恋愛からは遠のいていく。そのくせ金遣いはとことん荒いので、給料があがればあがるほど、生活水準がバグった地に足のついていない孤独なアラサー女が育っていく。側からみたら、金稼いでいるくせに何生意気なこと言ってんだと思われるだろう。なぜなら私もそう思うからだ。だけど、うるせえ。私には私の辛さがあるんだからほっといてくれ。そんなことを思いながらも、頭の片隅では来月何を買おうかとウキウキ考えている自分もいるのだから、私はダメな人間なのだ。

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