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建築とダークツーリズム

B4のとき、環境問題や人種差別といった日常の裏側にあって目を背けている問題、"未来"に向けた問題提起、アンビルドだからこそ可能な強い力を持った建築の形を考えていた。

"過去"はどうだろう。

M1後期は、過去に人間が犯した過ち、もしくは天災によって被害を被った場所や人について考えた。そこに対して建築は何ができるのであろう。

それをダークツーリズムという切り口から、その2つの場所、設計を通して考えた。

ダークツーリズム

ダークツーリズムの一般的な解釈としては以下の解釈である思う。

ダークツーリズムの基本的な目的
・その悲惨さを後世に伝えていくために関連施設を保存すること
・現地を訪れることで災害や戦争の悲惨さを追体験すること
wikipedia

一般的なレジャーとしての観光とは異なって、学ぶことが観光の目的とされる。しかし、ダークツーリズムの定義は難しい。例えば、人が1人殺された殺人事件であっても、ある人にとってはとても悲惨なことで忘れてはいけない事件になるからである。世の中で起きた多くの事件や事故がダークツーリズムの対象になり得るのである。

上記のことは考慮しつつ、恣意的に幾つかのダークツーリズムと言えるだろう場所を対象として考察してみた。主に災害や環境公害、戦争遺構などである。

  網走監
  新潟水俣病
  東日本大震災
  福島第一原発
  イタイイタイ病
  足尾銅山鉱毒事件
  四日市ぜんそく
  阪神淡路大震災
  広島原爆被爆地
  長崎原爆被爆地
  軍艦島 

ダークツーリズムMAP

上記のダークツーリズムの場所を横軸(地方⇆都市)、縦軸(人災⇆天災)のパラメータで分類した。また、○の大きさは、単に被害の大きさだけではなく、話題性や社会的事件かどうかなど目に見えない意味も含めた"大きさ"で表した。


ダークツーリズム散布図

青○と赤○の大きく2つのタイプと例外の福島第一原発に分けられた。

青○は比較的"大きい"○かつ都市における天災もしくは人災である。広島・長崎の原爆被曝地や東日本大震災・阪神淡路大震災など何年経っても忘れ去られることのない大きな事件や事故である。被害も大きく毎年メディアなどで取り上げられ人の心に残る。特に広島などでは、被爆地の原爆ドーム以外にも厳島神社をはじめ多くの一般的な観光地や食文化も多くあるため沢山の人が必然的に訪れる。ダークツーリズムの1つの在り方として理想的な形であると思う。

赤○は比較的"小さい"○かつ地方における人災である。水俣病をはじめ、環境公害や戦争遺構がここに分類される。このグループに分類される場所や被害は、都心地である広島や長崎などとは異なり、地方であることから一般的な観光地として訪れられることもない。そのため、認知度が薄れ、後世に伝えていくことができないのではないかと思った。

そして、例外の福島第一原発。これはなぜ例外かというと、東日本大震災による災害と考えれば天災、自然の力を見誤り、核エネルギーの利用方法を軽く考えていたという点では人災でもある。また、原発の問題は世界中でも注目される"大きな"問題であるからである。 

後半の2つ。

1つは地方における人災に分類される水俣病に対して、

2つめは福島第一原発に対して

建築、或いは建築家は何ができるのか考えた。

過去に悲惨な出来事が起きてしまった場所で、今何が問題で今後繰り返さないために語り継ぐにはどうしたらいいのか。

今現在、問題が起きてる場所で未来に向けてどんな提案ができるのか。

長くなるのでそれぞれ別のnoteで書くことにします。。

ダークツーリズムに興味があれば
東浩紀さんや井出明さんの本がとてもおすすめです。
たくさん参考にしました。

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