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映画「MINAMATA」を見て。

映画について

映画が好きで色んな作品をよく観る。SFやアクションももちろん好きだけど、特に人間の本質を突くような作品、見終わってから色んなこと考えさせられたり、気づかさせてくれる作品、映画でないとできない物語や描写・表現に魅力される。そう感じるのは、ダークな世界観やドキュメンタリー、猟奇的な映画に多い気がする。他の映画の話もまたどこかで書きたい。

「MINAMATA」は、好きなハリウッド映画俳優のジョニー・デップが主演の日本を舞台とした映画と聞いて、とても楽しみにしていた。水俣病を撮ったユージン・スミスという写真家のドキュメンタリー映画である。卒業設計で、環境問題等に触れた身としては公害問題も考えなくちゃいけない事の1つとしてあった。映画を見終わって、色んな意味で期待以上の事を得たので感想をしっかり書きたいと思いnoteを始めてみた。ネタバレを含むので気になる方はご注意を。

物事の本質

水俣病。それ自体は、中学の社会の授業で日本の四大公害の1つとして教えられ、知っていた。なんとなく企業が汚染水を垂れ流して、地域の人が病気になってしまったということも事実としては知っていた。事実としては知っていたけど、それは表面上の話で分かった気になっていてその怖さの本質を知らなかった。映画を見終えて本当にそう思う。

ストーリーが進むにつれ、水俣病の症状、無責任な企業、それと戦う被害者の苦悩と闘いを知り、引き込まれていった。終盤でユージンがある一枚の写真を撮るところは鳥肌がたった。その一枚の写真「入浴する智子と母」を撮るシーンにはこの映画で伝えたいことの全てが詰まっていた。水俣病に限らず、社会の発展の裏では公害問題が度々起きていて、それによって今も苦しむ人達、闘っている人たちがいる。

私たちは、知ってるようでその物事の本質を何も知らないのかもしれない。他人事で、自分たちにはどうにもできないと思ってしまう。そうかもしれない。けど、知らないことと何もできないけど知ってることは大きく違うと思う。

映画のエンドロールでは世界の公害問題が羅列され、その中にはチェルノブイリや福島の原発もあった。ちょうど別件で福島の東日本大震災・原子力災害伝承館に行ったり、色んな資料・本を読んでいたこともあったので、ドキッとした。その時も、もう震災から10年が経つのに物事の本質について何も知らなかったと反省した。(原発についても今取り組んでることが終わったらまた書きたいと思う。)


僕自身、両親が長崎出身で、もう亡くなってしまっているがひいおじいちゃんは被爆者であった。幸いなことに僕はもちろん、両親、祖父母共に大きな影響も今のところない。しかし、原爆でも今も苦しんでいるひとはいる。他の人よりは当事者に近いはずなのに、このことも日常生活を送っていると記憶の隅に追いやられてしまう。

今回の映画を観て、改めて物事の本質や裏側に目を向け、それを忘れないようにしたいと思った。そして少なくとも自分の大切な家族や周りの人に伝えていきたいと思う。誰のためでもなく自分のために。

写真家としてのユージン・スミス

作中での見せる写真家としてのユージン・スミスの生き様とそれを演じるジョニー・デップはかっこよかった。写真で人々に真実を伝えることに文字通り命懸けで、写真家としての信念を貫いていた。

「1枚の写真は1000より多くの言葉を伝える」
「写真は撮る人の魂を奪う、無傷ではいられない」

といった作中のユージンの言葉は僕の心に強く残った。たしかに、文字や言葉よりも絵や模型、図面で伝えることの大事さは建築をやってても感じる。水俣病のような事実を伝えるためには写真や映像という媒体はそれ以上に効果的であると思う。見る人に大きな印象を与える。
 また、水俣病のような被害者を写真で撮ることは、被害者側の同意や理解を得ることが難しいことや、側にいるのに撮るだけで何もしてあげられないため、撮る自分自身とても苦しくなると思う。僕だったらカメラを向ける勇気はないかもしれない。そう考えると、さらにユージン・スミスの偉大さを実感する。

また、この時代はフィルムカメラしかなく、現像してみないと分からないから、1枚撮るのにも技術が必要で、撮ってから現像までにはお金と時間と手間がかかるので、1枚1枚にすごく重みを感じた。

また、映画の表現の話になってしまうが、映画という動く媒体なのに、カラーからモノクロへの変換・差込み・無音・スローといった撮り方や役者の演じ方で映像を写真的に見せているところが素晴らしかった。そういった表現で人の心を大きく動かせることに感動した。

映画として内容も映像もとても良く名作。
人生初のパンフレットまで買ってしまった。

もっと簡単にまとめたかったけど、ちょっと長めになってしまった。。はじめてnoteを書いてみたけど、見た内容や考えたことを整理して、言語化できるのでとても良い。そもそも国語力なくて拙い部分あると思いますが読んでくれた人、ありがとうございます。

写真引用  https://longride.jp/minamata/

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