見出し画像

抜毛症という病気について

長男は抜毛症という精神障害の一種で、自傷行為のひとつとされている病気を患っている。抜毛症は正常な髪の毛を自ら抜いてしまう行為で、原因はストレスや不安からとされている。

きっかけは中学受験だった。

毎週行われる週テストと偏差値に終われる日々が始めり、初めはストレスによる”脱毛症”だと思っていた。脱毛症はストレスにより自然と頭皮の一部が抜けていく病気だ。

当初は長男が自分で抜いているとは少しも思わず、そして、本人も隠していたので皮膚科で脱毛症の薬をもらっていた。

でも、ある朝、長男の顔を見ると明らかに形相が変わっていて愕然とした。今まで髪の毛だけを抜いていたのに、症状がエスカレートしてまつ毛と眉毛も抜き始めてしまったのだ。

女の子のように長くてクルンとカールをしたまつ毛をしていたので、まつ毛がなくなった事でギョロリとした異様な雰囲気になってしまった。

何か大変な事が起き始めている、と感じた瞬間だった。

環境を変えたり、児童精神科に通い始めたり、トークン(毛を抜かなかった日をマークして何かご褒美を用意する)等、色々と試した。

いっそ、坊主にしてしまおうか?と考えたが、

”僕、抜く毛がなくなったら、どうやってストレスを解消したらいいの?”と泣きながら訴えてきた。

今は大分落ち着いてきたけれど、それでも、彼の髪の毛や眉毛、まつ毛の量は彼の心の安定を知るバロメーターになっている。

身体も心も不安定な思春期。

私も今思うと余計な心配や不安を沢山抱えていた。桜の時期は特に、新しい始まりにワクワクするよりも、不安が大きかった。

八重の桜を見ながら長男も早く大人になって、あの時は大変だったな、と振り返る日が訪れてくれるといいのに、と思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?