離婚の3つの方法と注意点

離婚しようと思ったら、まず理解しておくべきことは離婚には3つの方法があるということです。

1)協議による離婚
2)調停による離婚
3)裁判による離婚

それぞれの技術的な説明は離婚の解説本などで説明されているので、ここでは、全体観を理解できるように、また私の体験談を交えて説明してみたいと思います。

協議による離婚

ざっくり言えば、1)の協議離婚は夫婦間で話し合いをしてお互いに納得して、役所に離婚届を提出するものです。このとき、子供の親権をどうするか、離婚後に改名するか(結婚時に改名した方が元の姓に戻るか、今のままの姓に戻るか)を決める必要があります。

2つ注意点があります。一つは、自由度が高いということに由来するものです。財産分与(二人の財産を分けること;現金、銀行口座の預金、家や土地といった不動産、家にある物品をどちらが所有するかを決めます。)について特段の決まりごとがなく、夫婦どうしで納得していればどのような分与も可能であることです。自分たちに合った離婚条件を実現できますが、話し合いによっては、とんでもない条件で相手に納得させられかねません。財産をたくさん持っていかれる可能性があります。以前の記事「『話せば分かる』に要注意」で述べましたが、離婚するくらい意見が違うので、財産分与についても常識どおりにいくとは限りません。当人どうしで、話をする(協議する)ことには限界があると考えてください。私の場合、話せば分かる、この方法が一番近道と思って粘り強く話し合いを1年近く続けましたが、結局、相手から法外な要求を出されて協議が破綻しました。協議中はいつでも意見を変えられてしまうというデメリットもあります。時間稼ぎで離婚協議をされているケースもあるようです。

(離婚協議において、間に弁護士などに入っていただき、話をまとめていただくという手もあるでしょう。私は経験していないので解説できませんが、よい弁護士を見つけることができれば、そのような手もあるかと思います(参考になりそうな本を挙げておきます)。これについては、ただ、素人や親族などが間に入ることは、話がややこしくなるので、私は全くお薦めしません。専門知識もなく、ある価値観に偏っているのでバランスに欠けます。基本的に、争いごとを解決するには関わる人間の数は少ない方がよいと思います。)

二つ目の注意点は、決めたことを相手に守ってもらうことが法的に担保されていないということです。子供の養育費を毎月〇万円払うと約束した相手が、守らなくなったというケースも多々あります。離婚後に相手に新しい恋人ができて支払われなくなったなど、いろいろなケースがあるようです。協議離婚は速やかに離婚できますが、急ぐあまり後で泣きを見ることになりますので、十分注意してください。そのため、離婚の条件については「公正証書」というものを作って、法的な約束事にする必要があります。いろいろな解説がネット上にありますので、「離婚」「公正証書」というキーワードで情報を集めることをお薦めします。

調停による離婚と裁判による離婚

協議離婚に対して、2)と3)は、調停もしくは裁判を家庭裁判所に申し立てて、離婚の条件を決めて離婚する方法です。間に第三者が入って離婚が決まること、その結果が法的な約束事となるということが特徴ですが、調停もしくは裁判は月1回程度のペースで進むのでどうしても時間がかかります。さらに、申し立てから最初の調停もしくは裁判が開かれるまでにも時間がかかりますので、ざっと言えば、調停は半年、裁判は1年はかかると思ってください(と私は弁護士の方に言われました)。ただ、離婚の話し合いすらできないという場合は、これらの方法を選択するしかありません。

申し立ての申請など、経験と知識が必要なので、どちらの場合も弁護士をつけるケースがほとんどです。離婚調停の方は弁護士をつけないケースも比較的あるようですが、普段の仕事をしながら、論争について考えるだけでなく、手続きも勉強しなければならないというのは相当大変でしょう。また、離婚までの全体像が分からないまま物事が進んでいくのでいい結果が得られるかは相当に疑問です。安くはない弁護士費用ですが、自分や家族の人生がかかっていることなので、必要経費と思った方がよいでしょう(金額よりは弁護士選びが重要です)。

調停離婚と裁判離婚の違いは、調停は調停人、裁判は裁判官が間に入ります。裁判官はまさしく法律の専門家ですが、調停人は良識のある一市民の方がなっているので、専門家とはいえません。イメージは町会長さんのような方です。双方からの話を聞いて、意見が違う点をすり合わせしてくれます。

3)の離婚裁判は、2)の離婚調停が開かれてからでないと開くことができませんので、あなたの最初の判断としては、1)の協議離婚を目指すかどうかです。

なお、2)の離婚調停も3)の離婚裁判も、家庭裁判所で離婚という結論が出たときに離婚が成立します。その後、役所に離婚届を提出することになりますが、これは報告としての届け出であり、離婚成立日とは無関係です。

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