離婚のために弁護士を探す、相談をしに行く

離婚の協議を始めたら、あるいは始める前でも、弁護士の目星をつけておくことはしておいた方がよいと思います。協議がうまく行かなければ、あるいはうまく行きそうもなければ、離婚調停に進むことになります。弁護士のサポートは必須でしょう。また、離婚協議においても当人同士で下手な交渉をするよりは、場数を踏んだ弁護士に進めてもらった方が泥沼になりにくいうということもあるでしょう。あなたが仕事をしているとしたら、仕事の合間をぬって良い弁護士をすぐに見つけ出すのは難しいと思うのです(私の場合もそうでした)。早めに動いておいた方がよいと思います。

でも、弁護士にお願いするって、なじみのないことですよね。できることなら避けておきたいかもと思ったりするのは不思議なことではありません。私も、最初は緊張しました。

ぶっちゃけ、病院の先生に診てもらうようなものだと思ってください。弁護士事務所(病院)に行って、相談内容(具合の悪いところ)を書いて、法律相談(診察)をしてもらう。特段にすごいことではないのです。きちんと診てもらえていないなと思えば、他のところに行けばよいのです。病院と一緒です。

私は複数の弁護士に相談してみて、自分に合いそうな方、それから、この人にお願いしたら離婚が無事実現できそうかを上手に見極めるのがよいと考えています。また、離婚の調停や裁判を進めるうえで、お願いした弁護士の方にやや不安が生じた場合など、セカンドオピニオンを聞きたいようであれば、そのときに他の弁護士に法律相談をすればよいと思います。以下では、私が7名程度の弁護士の方と法律相談したときの経験とそれをふまえての注意事項を紹介させていただきます。

第一は、法律相談は、自分の気持ちを聞いてもらう場ではないということです。それは他でやりましょう。事実を積み上げ、相手の弱点を把握し、自分が主張していける点を、これまでの判例などの知見のなかから作り出していくのが弁護士の仕事になります。必要な情報を伝えるのがあなたの役目です。気持ちよりも、事実をきちんと用意していきましょう。家族構成、これまでの経緯の概略、何を離婚事由(理由)とできそうか、離婚の協議や裁判にあたっても懸念事項などです。

第二に、相談の時間はアッという間です。最初の法律相談では30分間無料としてくれるところも多いですが、弁護士の方からの状況確認などの質問に答えていたら、30分はあっという間です。依頼してよい先生かという判断もできません。私は最初の相談の時間は少なくとも60分は確保した方がよいと思っています。お金を払ってもです。

第三に、弁護士の先生の立場で考えると、最初の面談は、仕事を引き受けるかの判断の分かれ目になります。割の合う仕事かどうか(要は、お金がとれるか、勝つ見込みがあるか)で、弁護士の収入が左右されますので、自分が判断される立場であることも認識しておいてください。

第四に、どうしたらよいかの具体案を出せる方にお願いしましょう。気が付いたら、自分の話だけを聞いたもらっただけで終わってしまうことがあります。弁護士とのやりとりにおいては、どう行動するかという指針が得られるかを大切にしてください。「そうね」「大変だね」という返事は、弁護士でなくともあなたの友人にもできることです。

第五に、今後の見込み、あるいは協議や裁判における難所を明確に述べることができる方にお願いしましょう。これについて、私はいくつかの悪いパターンがあることに気が付きました。一つのパターンは、やたら「離婚できない」と驚かしてくる弁護士の方です。難しい状況だということを述べて、その分、弁護料が高いことを正当化するものだと理解しました。その場合、どうしてそう判断するのか、その判断が変わるのはどういう条件になったらよいのか(例えば、「別居1年では離婚が難しい」と言われたのであれば、「別居何年がよいと思うのか」「これまでの判例として別居1年で離婚できたケースはないのか」)などを質問するとよいでしょう。逆のパターンとして、安易に大丈夫というのも注意が必要です。どうして大丈夫と判断できるのか、その理由についてきちんと説明できる方がよいと思います。

第六に、2名ほどですが、ずいぶんと高圧的で偉そうにしている弁護士の方にもお会いしました。対等に話をできる方、誠実な方を探した方がよいと思います。専門知識があってそれを使ってマウンティングしてくるような方には注意が必要です。「分かってないな~」という見下す態度がでたら、注意です。最初の法律相談でそれが出るということは、仕事を引き受けて以降はもっと出てくるでしょう。それから、こちらが法律相談の初心者であるにも関わらず、「こういうことはしないのよ!」と怒るような方にも注意が必要です。私は、事前に説明書類を用意して送っておいたのですが、「こういう書類は、送られてきても事前には読まないのよ。法律相談のなかで説明しなさいよ。」と怒られてしまいました。こちらは仕事の流儀に口をはさむつもりはないですし、それならそうと述べればよいだけなので、怒る必要は全くないのです。逆に、真摯に話を聞いてくれる弁護士の方も数名おられました。仕事がとれるまでは頑張るけど、仕事をいただいてからは動かないというケースがあることも聞きました。最後まで一緒に戦える方か、戦場で背中を任せてもよい方かを考えてください。

第七に、連絡がスムーズに行っていただける方かにも注意が必要です。調停や裁判ともなると、短い期間の間にやりとりして、文書を作らなければならないこともあります。そういうときに、連絡がつくにくい方ですとストレスになるはずです。

第八に、家庭裁判所に近い弁護士にお願いするのもよいでしょう。裁判所が近いとその分、そこでの仕事(裁判や調停)が多いので、担当する裁判官が他の案件でどのようにふるまったかを把握していたりします。離婚裁判を進めるうえでの有利な戦術を考えやすくなることが期待できます。

第九に、当然といえば当然なのですが、弁護士の方の離婚裁判の経験も大切です。離婚裁判は、法律だけでなく当事者の人間関係に影響を受けると思います。単に弁護士の資格を持っているだけでは有利に物事を進めることはできないと思うのです。

以上、参考になりましたでしょうか。こういったことを意識しながら、弁護士との法律相談をしてみてください。よい弁護士とめぐりあえることを願っております。

ちなみに、私は、「弁護士ドットコム」というポータルサイトで、弁護士さんを探しました。ご参考まで。

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