離婚裁判を始める

離婚裁判って、どんな感じなのでしょうか。どのように進むのでしょうか?私の経験から裁判の様子を何回かに分けてお話したいと思います。

私の場合、離婚調停を取り下げて、離婚裁判をはじめました。離婚裁判は、訴状をつくり、裁判所に提出するところから始まります。

訴状は、離婚調停で作った調停申立書と比べると、ずいぶんと法律的な文書です。申立書が口語体で書いていたと譬えるならば、訴状は文語体です。ですので、弁護士がいなければとても文章はつくれないと思います。離婚調停なら、専門文書に慣れている方であれば、なんとか自分で作成できるかもしれませんが、訴状はそうもいかないでしょう。内容としては、調停申立書に添付した離婚の理由や離婚の条件(親権や財産の扱いなど)を書きます。少し紹介しましょう。

訴状
(略;裁判所宛、原告名、原告側弁護人などを記載)
離婚等請求事件
 訴訟物の価額160万円     
 ちょう用印紙額1万6600円
第1 請求の趣旨
 1 原告と被告とを離婚する
 2 原告と被告の長男〇〇(平成〇〇年〇〇月〇〇日生),二男△△(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)の親権者をいずれも原告に指定する
 3 被告は,原告に対し,判決確定の日から〇〇までの間,1人につき1か月相当額の金員を毎月末限り支払え
4 被告は,原告に対し,離婚に基づく財産分与として相当額の金員を支払え
5 訴訟費用は被告の負担とする
 との判決を求める。
第2 請求の原因
 1 当事者等
(略;親子関係など家庭の背景状況を記載)
 2 離婚事由の存在(民法770条1項5号)
(略;離婚して当然である理由を記載 ※ここが最も重要
 原告と被告との婚姻関係は,すでに修復不可能な程度に破たんしており,婚姻関係を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)が存在する。
 3 親権者の指定
(略;どちらが親権者として適当かを記載)
 4 養育費
(略)
 5 財産分与
(略)
6 調停の経緯
(略;経緯を記載。調停では決着がつかない理由を説明)
第3 まとめ
   よって,原告は,被告に対し,・・・を求める。

訴状には、証拠書類を添付します。夫婦関係と親子関係を示す戸籍謄本や、夫婦共有財産の証拠として不動産の登記情報(全部事項証明書)、離婚事由や親権者の適格性を示す情報です。

ところで、訴訟物の価額が160万円となっていますが、気にしないでください。離婚裁判での決まった額であり、財産分与の額で争う金額というわけではありません。

このような訴状を作成・提出して、2か月くらいで最初の裁判が行われました。初回は、訴えが起こされたということを原告と被告の両方で確認する回でした。いわゆる裁判所という法廷の部屋に案内されました。原告と被告の席がそれぞれ左右にあり、真ん中に裁判官の席と机がある部屋です。初回と判決がなされた場合の最終回は、この部屋で行われますが、それ以外は、これまでの調停と同様に小さな会議室で行われます。この部屋は、裁判が開始する場合と終了する(判決が下される)場合に使われるようです。

法廷では、他の案件も一緒に扱われます。ですので、私らの後に入ってきた方が相手側の弁護士だと思ったのですが、別の案件の方でした。何人かが集まってきた後に、裁判官が入ってきました。

まず、判決が下される案件の判決文の読み上げが行われましたた。「判決、離婚を認める。被告は・・・」。静かな部屋に、裁判官の小さな声が響く。きわめて機械的で、感傷すら全くありません。

次に、裁判が始まる案件に移りました。最初に、自分の案件が呼び出されました。弁護士とともに傍聴席(柵の後ろの席です)から移動して原告席につきました。弁護士だけでないことに裁判官が気づいたようで、おや、という顔をされました。こういうところで、本気度を見せて少しでもなんとか有利にもっていきたいと考えていたので、私は全ての回に出席しました。法的に扱われるとはいえ、裁判官も人間です。ぎりぎりの争いになった場合には、顔の見えている人間であることが少しでも有利に働くと考えたからですし、担当いただいた弁護士からもできるだけ出席した方がよいとの助言をいただいたこともそのようにした理由です。

裁判官は、訴状内容のうち、最初の「請求の趣旨」の部分に触れるだけで、詳しいことは何も述べません。証拠となる書類のやりとりをこちらの弁護士と秘書官との間で行った以外は、被告とのやりとりはなく、次の裁判の日を決めるだけでした。相手からは何の反論もありません。全部で3分ぐらいだったでしょうか。拍子抜けして、退室しました。

このように、裁判では、原告側あるいは被告側から提出された文章を裁判の当日に正式に受理します。裁判官は、その内容で確認すべきことがあれば確認し、相手側はその次の回までに反論等の文章を用意し提出することになります。裁判は約1ヶ月おきに開催されますので、こちらが話を迅速に進めようとしてもそうはいきません。1ヶ月後の次回に相手側から反論がされ、2ヶ月先が次の自分の番・・・。とても気が長くなるプロセスです。

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