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「そんな離婚理由は認めない!」いつまでも理解してもらえないのは相手の心理を分かっていないから⁈(第2話)

前回、結婚25年目の妻との離婚を希望している男性の「一度を妻を愛した瞬間はなかったかもしれません」という言葉を紹介しました。

その後、妻の反応はどうだったのでしょうか。ADR(民間調停)でのやりとりを以下にご紹介します(ある特定の方のご紹介というより、こういったケースの特徴を事例にしてお伝えします。)

何度伝えても伝わらない離婚理由

ADRの冒頭、妻は夫に対して、「なぜ離婚したいのか理由を知りたい」と伝えました。すると夫は、「もう何度も説明したのに、まだ分かってくれないのか」と表情を曇らせます。

実は、こういったやり取りは、離婚したい人としたくない人の話合いの際、よく見られるのです。この夫も、妻に対して、以下の点を何度も説明していました。

  • 大前提として、これまでの結婚生活において、子どもを立派に育ててくれたことは感謝している

  • そうは言っても、日々繰り返される口撃に心身ともに参ってしまった。

  • どのくらい参っているかというと、LINEの着信音を聞くだけで動悸がする

  • 君からは「家庭参加が足りない」と何度も言われていて、その点は反省している

  • 君の将来的な生活の保障はしたいと思うので、通常よりも手厚い条件を提示したい

なぜ、妻は何度も説明されているにも関わらず、再度の説明を求めたのでしょうか。これは、妻の気持ちとして、単に理由を説明してほしいだけではなく、「自分が納得できる」理由で説明してほしいということなのです。

恐らく、妻にとって、夫の言った「口撃に耐えられなくなった」という理由に対して、「そんな程度で離婚だなんて納得できない」とか「口撃されるのはあなたが悪いからだ」といったような妻なりの言い分があるのです。

本来、離婚したい理由は、相手が認めるとか認めないといった類のものではなく、その人独自の理由でいいのです。何なら、理由なんかなくてもいいのです。「離婚したい気持ちになった」、それが離婚の理由なのです。

こう考えると、離婚意思を相手に伝えるって、とても難しいですね。私がいつも思うのは、相手を責めるような離婚理由の伝え方はあまりメリットがないということです。

例えば、「君の性格がいい加減すぎる!こんな期待ない部屋で一緒に生活なんかできない!」と離婚理由を伝えたとします。
すると、相手としては、「結婚する前から私がおおざっぱな性格なのは分かっていたでしょう!何を今さら」とか、「そんなにきれいなところに住みたいなら、自分が片付ければいいじゃない!」と反論されるだけです。

それより、そんな相手の心情を先回りして、「君が悪いと責めるつもりはないけれど、現状として、今のような汚れた家で生活することがつらい。片付けを手伝わない自分も悪いけれど、今は君と協力関係を続けることすらしんどいから、とにかく離婚したい。」といった伝え方の方が伝わるかもしれません。

離婚意思を伝えるって難しいですね。次回は、このADRの続きとして、妻側の言い分をお伝えしたいと思います。





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