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新型コロナワクチンは接種すべきなのかー「ワクチン啓発活動」が反ワクチンに火をくべる懸念

新型コロナワクチンは接種すべきなのか――。

開発中の新型コロナワクチンの中間解析の発表が相次いでいる。11月9日には米製薬大手「ファイザー」と独スタートアップ「ビオンテック」が、11月16日には米保健省(NIH)と共同開発中の米「モデルナ」が共に「約95%」という期待を上回る有効性を発表した。パンデミックもやっと終息の糸口をつかんだかと世界は胸を撫でおろし、株価はにわかに活気づいた。11月21日、ファイザーとビオンテックが早速、緊急承認の申請を行った。

そんな中、当然の起きてくるのが、冒頭に書いた「新型コロナワクチンは接種すべきか」という問いである。本当に効果は期待できるのか。安全性はどうか。ワクチンは安全でよく効くというメーカーの発表は信頼できるのか。メーカーと似た話をする専門家も、メディアも信頼できるのか。

これから数か月間、世界中でくりかえされることになるだろうこの問いについて、国連のイニシャティブとしてソーシャルネットワークで情報発信を行う専門家を募集しているので参加して欲しいという依頼が来た。

中心となってこのプロジェクトを進めるのは、以前からWHO(世界保健機関)などとも協力しながら世界各国の「反ワクチン度」の評価を行っている、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の"Vaccine Confidence Project"だ。メンバーに医者はほとんどおらず、多くはメディアやコミュニケーションなどの研究者などである。開発前から起きている反新型コロナワクチンの動きに対し、ワクチンへの信頼(confidence)を築くことが目的だそうだ。

企画自体は悪くはないものなのかもしれない。
私はそもそも啓発という考え方自体が好きではないし、啓発活動やロビー活動というものには関わらないことにしているが、心配なのは、こうした活動が新型コロナ以前から高まっている反ワクチンの流れに火をくべる恐れだ。

今年6月に実施された世界19カ国、13426人を対象とした新型コロナワクチンに関する調査によれば、「効果と安全性の確認されたワクチンであれば接種するか?」との質問に

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