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人災としての医療ひっ迫

去ったと思えばまた押し寄せる、コロナ流行の波。これだけワクチン接種率が上がったのに、こんなに時間はあったのに、検査をなかなか受けられない、医療機関が混雑するといった状況がまだ続いています。

原因の1つは、日本では精度の高いPCR検査へのこだわりが強く、PCR検査である必要のない場面でも、抗原検査を用いた方がいい場面でもPCR検査を使うことを求め続けた結果、抗原検査を普及させることに失敗したからです。

皆さんの多くは、抗原検査のデメリットの方ばかりを聞かされ、「抗原検査は安かろう悪かろうのPCR検査の代替品」だと考えられているのではないかでしょうか。しかし、抗原検査にはPCR検査にはないメリットがあります。

正しく検体採取した場合の抗原検査の驚きの精度

抗原検査のデメリットは、皆さんご存じのとおり、1回ごとの検査の精度がPCR検査には劣ることです。メリットは、検査が簡単なこと、結果がすぐわかること、コストが安いことです。

ドイツでは2021年5月から今年7月まで、すべての市民が1日1回まで受けられる「市民検査」と呼ばれる無料の抗原検査が、かれこれ2年近くもの間、断続的に実施されてきました。売店で打っているセルフテストではなく、医療者に正しい方法で検体を採取してもらう検査です。申し込みはインターネットで簡単にできて、検査を受けて15分もすると結果が電子メールで送られてきます。陽性であれば電話もかかってきて、PCR検査による確定検査に回されます。

このような医療者が検体を採取した場合の抗原検査の感度・特異度はどのくらいだと思いますか?

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